地震・防災・災害関連用語集

カテゴリ:地震

GPSと地殻変動

GPS(Global Positioning System)は汎地球測位システムあるいは全地球測位システムと呼ばれ、人工衛星(GPS衛星)から送信される電波を受信して船舶・航空機や自動車などの移動物体の位置を決める衛星測位システムです。

受信アンテナのある位置の座標(X、Y、Z)と時間(t)の4つが未知数であるため、4つ以上の衛星の電波を同時に受信してそれぞれの衛星から発射される電波の伝播時間から受信位置を決めることができます。これを単独測位法といいます。単独測位法はGPSの基本的な使用法ですが、高精度の位置決定が必要である場合は2地点における電波の到達時間の差を電波の搬送波自体を尺度として測定する方法が用いられています。これを干渉測位法といいます。

GPS観測による平均変位速度図(国土地理院)

なお、GPS衛星は高度2万kmに6つの軌道を持ち、24個の衛星(6軌道×4個)が地球を周回しています。

GPSはカーナビゲーションとして広く知られていますが、小型化が進み携帯電話にも搭載されるようになっています。この技術は地殻変動の観測にも応用され、GPSの観測網(電子基準点)により地殻変動の連続的な観測が可能となり、定常的な動きに加え従来の測地測量では捉えられなかった短時間で終息するような非定常な動きまで捉えることができるようになりました。

右の図はGPS観測から得られた平均変位速度図(国土地理院)であり、日本列島がダイナミックに変動している様子がわかります。

日本列島の太平洋側では日本列島の下に海洋プレート(フィリピン海プレートあるいは太平洋プレート)が沈み込んでおり、この沈み込によって日本列島は横方向の圧縮力が加えられています。沈み込む海洋プレートから受ける圧縮力またはその他のプレートから受ける圧縮力も加わってこのような地殻変動が生じていると考えられています。

GPS観測網は1995年の兵庫県南部地震によって地震と地殻変動の関係が注目され、2003年現在では全国で1200点の電子基準点よりなるGPS観測網が整備され、国土地理院(茨城県つくば市)に電話回線を通じて集められています。