地震・防災関連用語集
カテゴリ:災害
火砕流は、火山の噴火によって生じた高温のガスと火山灰や軽石などの火山砕屑物が混ざり合って火山の斜面を急速に流下する現象であり、火山砕屑流ともいいます。また、高温の本質火山物質からなる熱雲も火砕流に含まれます。
火砕流は火山砕屑物をほとんど含まない熱風の部分(火砕サージ)が先端にあり、地形にあまり影響されずに移動するため、流下速度は時速100kmを越え、到達距離も数十kmに達する例もあります。
火砕流の発生原因には次のようなものがあります。
火砕流の例
西インド諸島のペレー火山で生じた火砕流は、サン・ペール市を全滅させ、約3万人の犠牲者を出しています。
仁田峠より平成新山を望む(絵)
日本では天明三年(1783)浅間火山の噴火に伴い発生した火砕流が北側の山麓の村落を襲いました。さらに、この火砕流は吾妻川を一時せき止め、決壊して吾妻川沿岸の村々に大被害を与えました。この災害による死者は13,000人以上といわれています。
当時、吾妻川の下流である利根川は東京湾に流れ込んでいましたが、多くの死体が漂着したそうです。東京都葛飾区の柴又帝釈天には流れ着いた人々の墓があり、墨田区の回向院や江戸川区の善養寺には慰霊碑があります。
雲仙火山では1990年から1995年までの噴火活動により、たびたび火砕流が発生しました。1991年6月3日の火砕流では、死者40名、行方不明者3名の犠牲者が出ました。普賢岳の東肩に噴出した溶岩ドームは普賢岳山頂よりも130m近く高くなり、右の絵のように平成新山に成長しました。山体斜面には崩壊や侵食を受けやすい多量の噴出物が堆積しているため、山麓にはダムや導流堤の設置および緑化工事などの大規模な防災施設が設けられています。