地震・防災関連用語集

カテゴリ:地盤・基礎など

コンクリートの中性化

正常なコンクリートは強アルカリ性であり、コンクリート中の鉄筋は表面が酸化被膜に覆われて一般に非常に安定した状態にありますが、コンクリートの中性化は鉄筋コンクリートに致命的な打撃を与えます。

コンクリート内部に細かい空隙やひび割れを介して空気中の二酸化炭素が入り込むと、二酸化炭素と高アルカリ性を保持している水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が反応して、炭酸カルシウム(CaCo3)に変化し、コンクリートは徐々に表面から中性化が進行します。中性化が鉄筋付近まで達すると、鉄筋表面を覆っていた酸化被膜が破壊され、鉄筋はさびて酸化鉄に変わります。酸化鉄に変わることによってその体積が2.5倍程度に膨張するため、その膨張圧でコンクリートにひび割れが発生したり部分的に剥離するようになります。以上のような経過をたどることによって、コンクリートは亀裂化と劣化が急速に進行していきます。

防潮堤にコンクリートが用いられているように、コンクリートそのものにとっては、塩分の存在はほとんどの場合問題とはなりませんが、鉄筋コンクリートの中の鉄筋がさびる現象は塩分の関与(塩害)が大きく影響しています。

鉄筋が錆びることによって鉄筋は陽極となった部分で鉄イオンとなって溶け出し、鉄イオンは水酸基と反応して、Fe2+→Fe(OH)2水酸化第一鉄→Fe(OH)3水酸化第二鉄(赤さび)なる腐食反応が発生します。塩分の他に自動車の排気ガス中の二酸化炭素や酸化物および酸性雨等もコンクリートの中性化を加速する可能性があります。フェノールフタレンはアルカリと反応して赤紫色を呈することから、フェノールフタレンによって中性化の程度を確認することができます。