地震・防災関連用語集

カテゴリ:都市機能

防潮堤

高潮や津波から陸側を守るための構造物を防潮堤といいます。海岸堤防や河川河口付近に設けられた堤防のうち、高潮や津波を考慮に入れた堤防が防潮堤に相当します。なお、河川で高潮に対処する堤防を高潮堤といいます。

【宮古市田老地区の防潮堤】

田老の防潮堤(2012年10月撮影)

宮古市田老地区には「万里の長城」と呼ばれる防潮堤(海面からの高さ10m、総延長2433m)があります。三陸海岸は1896/6/15(明治29年)の明治三陸地震津波で壊滅的な被害を受け、さらに1933/3/3(昭和8年)の昭和三陸地震津波でも再び壊滅的な被害を受け、田老村は「津波田老(太郎)」とさえいわれました。昭和の津波後、高所移転が推奨される中で、当時の田老村は防潮堤の建造を選択し、1934(昭和9)年に村費で工事が開始されました。その後は県や国の費用が投入され、戦争の影響による資金や建設資材の枯渇のために14年間の工事中断を余儀なくされながらも1958(昭和29)年には全長1350mの防潮堤が完成しました。その後も増築工事が実施され、1966(昭和41)年に全体が完成し、総延長は2433mに達しました。

田老町は昭和三陸地震津波から70周年に当たる2003(平成15)年に「津波防災の町」を宣言しましたが、、年2011(平成23)年の東北地方太平洋沖地震による津波は防潮堤を破壊し、あるいは防潮堤を越えて市街地に侵入して、町はまたもや壊滅的な被害を受けるに至りました。

参考資料

山下文男 三陸海岸・田老町における「津波防災の町宣言」と大防潮堤の略史 歴史地震 第19号(2003) 165-171頁

元田良孝 宇佐美誠史 東日本大震災(速報) ~岩手県宮古市・田老地区の被災状況