地震・防災関連用語集

カテゴリ:h物理探査

表面波探査

レイリー波の振動特性

表面波探査は表面波の内、レイリー波を用いて地下のS波速度構造を推定する探査法です。測定方法は地震探査屈折法と良く似ていますが、利用する波と解析方法が大きく異なります。一般的な測定では、振動源としてカケヤによる打撃を用い、その振動(表面波)を測定することによって地表から10m程度の深さまでのS波の速度分布を知ることができます。

表面波にはレイリー波とラブ波がありますが、測定に上下動の地震計を用いると表面波の進行方向に対して上下方向に楕円軌道を描くレイリー波を選択的に捉えることになり、測定される波はレイリー波になります。

表面波は地表に沿って伝播する波であり、右の図のレイリー波の例のように振幅は地表付近で最大で深度方向に急速に減少する波動です。また、表面波は波長(周波数)によって伝播速度が異なるという分散現象を示すという大きな特徴があります。

表面波探査においてS波速度構造が求められる基本原理は次の通りです。

  1. 表面波(レイリー波)は周波数によって伝播速度が異なるという分散性を示すので、測定波形を解析することによって周波数と伝播速度との関係(分散曲線)が求められる。
  2. 周波数は深度と関係するので、周波数と伝播速度の関係は深度と伝播速度の関係に置き換えることができる。
  3. 表面波とS波の伝播速度の関係を利用して、表面波の伝播速度をS波の伝播速度に変換できる。
  4. 結局のところ、表面波の分散現象を利用して、分散曲線を満足するようなS波の速度分布を求めようとするのが表面波探査であり、連続した測定点においてそれぞれ散曲線を求めると距離と深度方向のS波速度断面図が得られることになります。