地震・防災関連用語集

カテゴリ:物理探査

地震探査

人工的に発生させた振動が伝播する性質を用いて地質構造や地下の物質を推定する探査を地震探査と呼びます。振動の発生はダイナマイトの爆発、起振機、かけやの打撃などが用いられています。

調査対象となる地盤や岩盤は波動的には弾性体と考えられることから、弾性体を伝わる波を弾性波と呼んでおり、地震探査は弾性波探査ともいいます。弾性波は物質の境界で屈折・反射することからこの現象を利用する探査は屈折法と反射法に大別されます。

【屈折法】

地表で人工的に起こした弾性波は地中のあらゆる方向に向かって伝播しますが、性状の異なる層境界では屈折の法則に従って屈折します。層境界に沿った方向に屈折する弾性波に着目すれば、地表から層境界経て再び地表に向けて屈折し地表まで到達します。この弾性波を地表の地震計で捉えることによって、層境界の分布深度および伝播速度を推定することができます。伝播速度は弾性率や剛性率など弾性体の性状を反映していることから、伝播速度は岩盤の硬さや亀裂などの性状を間接的に表していると解釈することができます。例えば地表近くの土砂中では1秒間に300m程度で伝播しますが、地下の風化の影響の少ない硬質岩盤では1秒間に5km程度の速度で伝播します。

地震探査屈折法の結果は測定された起振点と受振点間の距離および振動の到達時間との関係(走時曲線)を満足するような速度分布断面図を作成することで表現されます。

【反射法】

魚群探知機や音響測深機は船底から音波を発射して魚群や海底で反射して返ってきた音波を船底のセンサー(受音器)で受信して、音波の往復時間からその深さに換算するものです。地震探査反射法は魚群探知機や測深器と原理的には同じです。

海上での起振源としては一般に圧縮空気を急激に開放するエアーガンという装置が使われますが、地表では大型の起振機が一般的です。簡易的あるいは探査対象が浅い場合はかけやで起振する場合もあります。

なお、海底下の比較的浅い領域を高分解で探査するには電気のスパーク音などを用いる方式があり、これを音波探査と呼んで地震探査反射法と区別することがあります。

地震探査反射法は石油探査を通じて発展してきた技術であり、膨大なデータの波形処理技術を基本にしています。 地震探査反射法の結果は処理波形を連続する受振点ごとに並べたものとして表され、振幅の大きな反射波形の連なりを層境界として視覚的に認識できるようにした断面図といえます。

屈折法と反射法で得られる断面図を比較すると、屈折法が解析という過程を経て再構成された断面であるのに対して反射法は観測波形が描く直接的な断面です。また、屈折法は地下の速度を比較的正しく求められるのに対して反射法は地下形状の凹凸や層の重なり順序を識別するのに優れているという特徴があります。