地震・防災関連用語集

カテゴリ:環境

地球温暖化

大気中においてCO2のような多原子分子は、単原子分子よりも低い振動数帯域(熱赤外線帯域)のエネルギーをより多く吸収する性質があります。大気中に二酸化炭素のような多原子分子の濃度が増すと、通常よりも多くのエネルギーが吸収され、大気中に蓄えられることになり、下層大気では気温が上昇し、逆に上層大気では気温が低下します。この現象を温室効果とよんでいます。

19世紀以降、産業の発展に伴い人類は石炭や石油などを大量に消費するようになり、大気中の二酸化炭素の量は200年前と比べ30%程増加しています。大気中の二酸化炭素の増加原因は、海洋との交換、植物の光合成・呼吸作用などによる二酸化炭素濃度のコントロール機能を超える量の二酸化炭素が人間の活動によって放出されているためです。

温室効果ガスとしては、二酸化炭素のほかにメタン、アンモニア、一酸化窒素、フロン、オゾンなどがあります。メタンは二酸化炭素の20倍、フロンは二酸化炭素の約1万倍の温室効果を持っているといわれていますが、排出量による温暖化への寄与率は二酸化炭素が最も大きく約64%を占めています。

地球の温暖化は、平均気温の上昇にとどまらず、大気の流れの場を変え、雲の分布や降水量の分布を変え、更に湿潤、乾燥地帯の分布を変えることになります。植物相は適した環境への適用が遅れ、従来とは異なる気候の中に取り残されることになり、適応が困難な森林は衰退していきます。

シベリヤなどの広大な大地には大量の有機物を含んだ土が分布しており、温度上昇により有機物が分解すれば温室効果ガスである多量のメタンガスが発生します。また、厚い永久凍土の中には当時の植物が分解されることによって発生したメタンが大量に蓄積されていますが、永久凍土の融解によって大気中にメタンが放出されることになります。最近、多くのマンモスが発見されているのは永久凍土の融解によるものであるといわれています。 

ネパールやブータンでの調査によると、地球温暖化のため気温が上昇し、氷河の後退と氷河湖の拡大が大きな問題となっており、氷河湖の氾濫が新たな災害を発生させています。

砂漠化の拡大、熱帯雨林の減少、氷河の縮小や永久凍土の融解などの相乗効果は温暖化を加速させます。巨大化するハリケーン、猛暑、極寒、豪雨、乾燥などは地球温暖化と関連すると考えられ、災害の多発や厳しい環境の拡大が懸念されています。

地球の温暖化を防ぐためには温暖化の主因である二酸化炭素の排出規制および分離・回収や固定化の技術開発および砂漠の緑化、熱帯雨林の再生などが緊急の課題となっており、1997年の地球温暖化防止京都会議では先進国の温室効果ガス排出量を数値目標で規制する「京都議定書」が採択され、国際的な取り組みがなされつつあります。しかし、国際間の利害や貧困という南北問題が絡んでいる他に最も二酸化炭素の排出の多いアメリカが反対するなど、容易ではない状況にあります。いづれにしろ、生存基盤である環境への負荷の増大を厳しく抑え、持続可能な発展を目指すよう、大量生産、大量消費、大量廃棄型の現代文明を見直す必要に迫られています。