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資料紹介 2002 夏


たけしの大英博物館見聞録
ビート・たけし

2002 新潮社
この本は、これまで私が読んだ大英博物館についての本よりも、
コンパクトで、ヴィジュアルで、くだけており、
やはり、あのビート・たけしさんならではの著作です。

この博物館は、私もいつか行ってみたい。
でも、ひと通り見るだけでも如何に大変かまで、
教えてくれた本でした。

ルーブルへいった先輩が、
リュック一つまで身軽にしても、一通り見るのが如何に大変かを
語った事も思い出しました。

でも、でも、読んでてやっぱり見に行きたくなる。(笑)


友と書物と
吉田健一

2002 みすず書房
今年も新たに、今は亡き吉田健一さんの本が刊行されました。
ファンの一人として、うれしいものです。

読み出すと、一種独特の時間が流れ出し、
文章の息の長さで、
自分の心肺機能も、頭脳も鈍っているのを、認めざるを得なくなる。

思い出す文章も、忘れたか、未読かの文章もあって、
読むうちに、時間が経つのに気づかなく、
吉田さんの文章があちらこちらで違っているのに気づく。
自分が、吉田さんの晩年の文章から読み出した方である事も、
今更に、気づく。


「超」一流の自己再生術
二宮清純著

2002 PHP研究所
先に紹介した、近藤唯之さんが読者の心情に訴える文章なら、
こちらは、読者の知性に訴える文章と言っていいでしょう。

この中の野茂投手についての文章を読んでいる最中に、
今シーズンの勝ちを二桁に伸ばしたニュースに触れ、
心底納得できました。
あれだけいろいろなチームを渡り歩き、
評価をいろいろされながら、
現在に至っている野茂さんを理解することが出来ます。

マラソンの小出義雄監督の事も紹介してあります。
他の二人の有名な選手にも触れ、走る事・コーチの奥の深さを知る。

いくつかのチームでコーチを歴任し、実績を上げてきている、
プロ野球の黒江さんも紹介していましたが、
実は、黒江さんの自著が市図に有って、
これは、読み応えがありました。

ラグビージャパンの監督向井さんも登場して、大喜びする。
今、日本ラグビーは大きく変わりつつあります。
今W杯アジア地区予選の勝ち方に気づきました?
予想を上回るブッチギリですよね。
向井さんの志向するところの高さが窺えます。
それと、日本選手権を巡る大会の運営方式の改革が本決まりになりました。
未だ、課題は残されているようですが、大きな前進に思え、注目します。

読み進むと、阪神というチームについても触れているのに
オヤッと驚かされました。
いくらこけてもただでは起き上がらないチームカラーを分析して、
ただの皮肉に終らないのに呆れましたが…。(笑)

松井・小宮山・イチローも出てきます。
熱烈ファンには、周知の事でしょうか?


未来におきたいものは
鶴見俊輔

2002 晶文社
これは、晶文社から次々に出ている鶴見俊輔さんの対談集の一冊。
表紙のカバー裏に次の言葉が記されていました。

「私はもし明日死ぬとしても、
やっぱり千年生きる価値というものによって
生きたいと私は思った」

深く頷いて読み出すと、
いつもの鶴見さんらしく、
類い稀な経験と深い思索とに裏打ちされた、
明快な話が続く。
時折、余りの飛躍についていけませんが、(笑)
教えられる事は相変わらず多い。
日頃マスメディアばかり見聞している人は、面食らうでしょうね。
もっとも、そういう読んで欲しい人にはなかなか読んでもらえないのですが…。
2002.8.4 記
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2002年6月の紹介本in県図

 

ライト・フライヤー号の謎
 飛行機を作りあげた技と知恵

鈴木真二著

2002 技報堂出版

人類初の飛行機を飛ばしたのが、ライト兄弟である事は、
だれもが知っているけれど、
それ以外のことは案外知られていないのではないでしょうか?

初飛行の成功は、1903年12月17日、キティホークでの出来事です。
自転車の製造事業で得た自らの資金で成し遂げました。

彼らが、飛行機に取り組んだ時、
どれだけのものが、物質的に、理論的に用意されてあったのか?
彼らに寄り添って、この本は書かれています。
機は十分に熟していたのではありません。
間違った理論もありました。
幾度も実験を繰り返し、その時の最新情報を収集しながら、
成し遂げた偉業なのです。

飛行に関するいくつもの理論、
実験の仕方、
飛行に必要な機材の発達と密接に関わっていた様子、
それになにより、私の一番惹かれた様々な創意工夫が、
次々と紹介されて、
あの頃、ライト兄弟のみならず、
その他の大勢の人たちがそれぞれに、必死に取り組んでいた熱意が伝わってきます。

初飛行ばかりでなく、その後の展開も紹介されて、
必ずしも奇麗事ばかりでなく、
ライト兄弟の偉業がたった一行で要約されるようになっていった、
飛行機を取り巻く時代の趨勢も書かれていて、
いろんな事がいつまでも頭をよぎる読後でした。

半分近くは理論的な本ですから、そう気楽には読めませんが、
高校で物理学の及第点が取れた人なら理解できるでしょう。
(私が理解したと言うのではありませんよ〜(笑))

1935年に初飛行したDC−3で、
ジャンボジェット機に至る基本的な設計方式が確立された由。
空を見上げて目に入る飛行機は、想像を掻き立てられて、見飽きないのですが、
それまでに見慣れた景色の奥行きが増しました。

 

評伝 広津和郎

坂本育雄 著

2001 翰林書房

もう出ないであろうと思っていた広津和郎さんの研究書が、
又、一つ出て大喜び。
著者は、1928年生まれで、大学で文学を教えていらっした方です。

広津和郎さんについての、問題点は大方出尽くしてはいるのですが、
それでも、違った人によって、後から書かれると、
それまでに見落としていたものに気づいたり、
今までと違った重きをもって見入らされる事があり、
読みながら、充実のひとときを過ごしました。

この本であらためて感じた事は、三点ありました。
まず、父・広津柳浪の生涯。
次に、散文精神への足取り。
そうして、松川裁判。

毎日のようにいろんな事件が起き、その報道に触れる度に、
散文精神を思い起こすことがあり、
それで、いそいそと無用な事を感情的に書かずにすんでいる。

国家権力機構にまつわる事件も後を絶たず、
それで松川事件を参考にしていい事も以前としてあるのは、
残念です。

広津親子の生き難い信条を貫いてきた生涯は、
それぞれに落ち度があっても、後世の人たちに励ましを与えるものと思う。
でも、その家族にとっては、実にやりきれないものであったでしょう。
この度、広津和郎さんで検索していたら、
劇団民藝で、2001年の秋に、
「静かな落日ー広津家三代ー」という評伝劇を公演していたようです。
ご覧になった方の感想を知りたいですね。

 

比較野球選手論 / 平成版

近藤唯之 著

2001 新潮社

書棚で見つけ、オオッ!新しいのがでてる〜!と、
思わず手にしました。
この近藤さんの文章、今時めずらしい名調子で、
節回しに独特の趣きあふれ、読んだ事のある方なら殆どの方、一読してすぐに分かるものです。

よくよく読めば、何でそういう展開になるの?という文章ですが、
読み進めば心情として納得行くところへ落ち着いていきます。
読み出したら止めらず、
その夜のワールド・カップを見損じて夜更かしまでしてしまいました。(爆笑)

私は、いわゆるスポーツ新聞と言われるものは一切読まないのですが、
日本プロ野球に関しては、近藤さんの文章を割合によく読んできました。
一つ一つ掌で愛しむように暖めていたネタを、
思いのたけを込めて書き込む姿勢、これを見習いたい。

毎日マスメディアで流される情報が焦点距離の短い広角レンズによるものだとしたら、
近藤さんの文章は、奥行きのある望遠レンズで捉えたものと言える。
新聞・テレビのニュースで辟易している方は、是非一読なさっては如何でしょう?

 

映画に魅せられて

佐藤忠男 著

2002 現代書館

映画評論家というより、映画研究家と紹介したい仕事振りの著者にしては、
めずらしく最近のメジャーな作品を、前半に、多く取り揃えて紹介してあります。

後半は、この方らしくマイナーな作品を愚直に紹介しています。

まずは、前半だけでもお読みください。
淀川長治さんの後継者といっていいほどに、
作品の良さを実にうまく汲み上げて紹介してあります。
それも、多くの知識を手堅く隠し味にして。
こういう映画評書きたいな、と思うが、
いかんせん日頃見ている量の差、研究の差が歴然とありますからねぇ〜。


2002.6.16 記
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若葉の向うに聳える県図(高いんだわ)

 

ロッカーのキーについている,黄色のプラスチックの板、
なんて言うんでしょうか?
あの大きさは、どうしてあの大きさなのでしょう?

ちょっと,否、はっきり大き過ぎる。
この間、使おうとしたら、上のロッカーにぶら下がっている板が、
下のロッカーを閉める際に、いたずらをするのです。
下のロッカーを閉めるときに邪魔にならないくらいに小さくした方がいいでしょう。
それとも,秘められた理由があるのでしょうか?
誰か,教えて〜。

 

久々に
資料紹介をしましょう

 

カニグズバーグ作品集 3
ぼくと(ジョージ)
ドラゴンをさがせ

2002 岩波書店

カニグズバーグさんの作品集,着々と入っておりますよ。

 

ウォーターランド
グレアム・スウィフト著

2002 新潮社

とても分厚い本です。
イギリスにこのような土地があるなんて初めて知りました。

 

字書を作る
白川 静
2002 平凡社

 

ろう学校の窓から
伊藤雋祐著作集 手話と人生3

1998 文理閣

 

かくしてバンドは鳴りやまず
井田真木子

2002 リトル・モア

 

印刷に恋して
松田哲夫
イラストレーション 内澤洵子

2002 晶文社

 

リリアン・ギッシュ自伝
リリアン・ギッシュ&アン・ピンチョット

1990 筑摩書房
しばらく前に、映画「八月の鯨」を観ました。
そこに出てらっしたリリアンさん、大変有名な女優さんだそうで、
一体どういう方なんだろうと書庫から出してもらいました。
「八月の鯨」で姉妹の妹役を演じています。
お姉さん役の方よりズーッと年上なんですって!
メイン州の海辺の家に住む老姉妹の夏の2日を描いた秀作です。
人生の奥行きを感じさせてくれます。

 

そうそう県図のカウンターにも新しい顔ぶれが並んでいます。
でも、こちらはいつも以前から見知っている顔がちゃーんと傍に居ます。
カウンターにむいている人って,確かにいる。
向いてない人って、固くてキツイのよね。(^_-)
中には、成長する方がいて、
時と共に変わっていくのを見るのが楽しみ。
これからも、よろしく。

 

さて、
5月の連休明け、川辺の青葉を眺めながら赴いて、
書棚の間を回る時、手にしていたのは、
「みすず 490   2002.1」です。
そう,以前にも紹介したと思いますが、
この小冊子の年頭の書評アンケートは秀逸!
何冊もの良本に出会えてうれしくもあるし、
こんな本より他に現を抜かしていた自分が恥ずかしくもある。
ごく一部を記しておきましょう。

 

科学は今どうなっているの?

池内 了
2001 晶文社

 

医者井戸を掘る
 アフガン旱魃との闘い

中村 哲
2001 石風社

 

以下は、「みずず」とは関係ないのですが、
注目の本です。

評伝 広津和郎
 真正リベラリストの生涯

坂本育雄
2001 翰林書房

数少ない広津和郎さんの関係書。

 

親しかできない,子どもを賢くする方法

和田秀樹×子安増生
2002 小学館

これは、ものすごく濃い実践的な教育書です。
数多ある建前本やしょうもないハウツウ本とは一線を画して、
良く出来ています。
中学の息子に今、因数分解を教えています。
数学をやってて良かったと思える数少ないひと時を、
皆さんも過ごされては如何でしょう?(笑)

 

最後に一言。
県図のカウンターに申し込めばインターネットが利用できることはご存知でしょうか?
リリアン・ギッシュの名前が思い出せなくて、利用しました。
とても便利です。
これからは、図書館にインターネットの窓口が無くっちゃ!と,確信しました。
利用にあたっては、いろいろ頭の痛いこともおありでしょうが、
関係者の善処を切望します。

あっ、もう一言。
私が使った時だけかもしれませんが、
アクセスに大変時間がかかり、我が家のアナログ回線の何倍も待たされました。
こういう事があるかも、という覚悟で。(笑)

2002.5.12 記
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読み応えのある本が、続々


資料紹介です。



パリ左岸のピアノ工房
T.E.カーハート
2001 新潮社

既に、どこでも図書館へ感想をアップしています。

読み出して、すぐに、このような本が、否、
この本が、ずーっと読みたかった本なんだ、と思いました。

読んでいる内に、いろんな事を思い出すし、
書かれてあることが心にしみるようで、落ち着きました。

しばらく次の本には、手が出ず、文章を書いて過ごしました。



二十三年介護
ねじめ正一
2000 新潮社

ねじめさんのお父さんを、
二十三年も介護しつづけたお母さんの手記に、
ねじめ正一さんが文章を添えた本です。

私の母が、10年ほど祖母の世話をするのを、
毎日見てきた程度に、介護の大変さを知っています。
このねじめ正一さんのお母さんの、
介護の日々を支えたものは何なんだろう?



古本屋 月の輪書林
高橋 徹
1998 晶文社

市立図書館で紹介した、
「石神井書林日録」の著者、内堀 弘さんの、
友人の著書です。
こちらの方が先に出ていましたね。



日はまた昇る
ヘミングウェイ
2000 角川春樹事務所
高見 浩 訳

新潮社から、高見浩さんの訳で出た、
「なにを見てもなにかを思い出す」を読んで以来、
もう一度ヘミングウェイを読み返したいと思うようになり、
まだ果たせていません。
大学生の時、カルロス・ベーカーの伝記が出て、
教官から直々借りて、読み耽った思い出があり、
その後に読み次いだ彼の作品が輝いているように思えたものです。

この作品は、ここから出ていたのか、ふむ〜!

外国語の作品は昔書かれていても、
翻訳の度に生まれ変わり、古びないと、
あらためて感じさせられます。



ロワールの贈り物
清宮伸子
2000 沖積舎

この本の分類番号は、022です。
でも、ルリュール製本家の回顧録なので、
随筆の本と思って読まれたほうが、失望しないですむと思います。

フランスの田舎ロワール地方とパリの近郊とで過ごした著者の、
その当時の日々と周りの風景と、付き合った人々とを、描いています。

製本について触れるところはあっても、
あまりつっこんだ記述では、ありません。

この方面の本として、栃折久美子さんの「モロッコ革の本」が有名ですが、
栃折さんとは全然違った人生を歩まれています。

久々に、しばらくモノとしての本のことをいろいろ思いました。
手元の本で、糸綴じの本はどれくらいあるのかな?
紙表紙でない本は、どれくらいあるのかな?

思い返せば、今から30年ほど前、
まだまだ、製本で魅力のある本が出ている頃に、
この分野に関心が持てて間に合ったな、と思わずにはいられない。

今、図書館の書庫へ自由に出入りできる人でないと、
この方面への関心はなかなか持続できないでしょう。
さもなくば、古書の世界に踏み込んでお金に苦労しそう。

「パリ左岸のピアノ工房」は、残念ながらアジロ綴じでしたが、
この本を製本するなら、どんな製本がいいかなって、
しばらく遊んでみました。



13歳の沈黙
カニグズバーグ
2001 岩波書店

カニグズバーグ作品集9、ですが、
第一回の配本で新作です。
本の紹介を書こうか、検討中です。

大学生の頃、彼女の初期の本を続けて読み、
いろいろ学びました。
あれから、30年。
今、自分の息子が13歳!

人間としてなかなか成熟できず、
彼女の本から、今回もいろんな事を教わりました。
又、自分の思春期のあれこれを思い出す事も多かった。



今回は、ここまで。
さすがに、新着本が多くなって、
本棚に納まりきらず、ワゴン二台にも、載せていましたね。
2002.2.6 記
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2002年も県図へ行こう!


最近の新聞で、
東京都の図書館に設置されている防犯装置により、
ペースメーカーのプログラムが変えられてしまった記事を読みました。

設置所とメーカーとの早い対応と、
身につけている方の自衛とで、対処されて、
大事に至らぬよう願っています。

(人工内耳の方は大丈夫なのでしょうか?)


さて、今年最初に、県図へ参上しますと、
私にとっての惨状を目の当たりにする事になりました。
新着本を並べてある棚にかかっていたファイルが無くなっていたのです。

棚には常に新着本の全てが並べてあるわけではないので、
この新着本のリストのファイルは、ありがたく、楽しみなもの。
しかし、日々増えつづける新着本を十分フォローできないので、辞めた由。

すまなそうな司書のお顔を見て、何も言えなかったけれど、
今、こうして家で落ち着いて振り返ると、
やっぱり、HPもあることで、なんらかの形で広報して欲しいと切に思う。
例えば、納入月のインプットをし、そこから詮索できるようにすれば、
意外に楽なんじゃないのかなぁ〜?

ともかく、残念では、あります。

そうであるならそうで、
この私設新着本紹介コーナーに力を入れなくっちゃ!
偏向しているのは当然ですが、それでも、役立つのでは?
(と言うのは建前。
本音は、同じ好みの人に拙HPへ訪れて欲しいし、
掲示板へ関連事項など、書き込んでいただきたい。(笑))


知と熱 日本ラグビーの変革者・大西鐵之祐
藤島 大
2001 文藝春秋

毎年大学ラグビーの、各チームがそれぞれに様変わりし、
その各チームがお互いに新しいゲームを創造していく様子は、
本当に興味尽きません。

成長していく選手を見るのも楽しみですが、
監督が交代したり、選手に応じて手法を変えたりしているのをみるもの、
大変おもしろい。

一昔前までは、明治の北島監督、早稲田の大西さんらといった、
長きに渡り名を響かせた方々がいました。
その大西さんについて、初めて正面きって書かれた一冊の本です。

大西さんご自身も本を書かれているので、
それらと読み合わせるのも一興です。
大西さんの本で、本格的なものがちょっととっつきにくい方は、
この本から入る方が、いいと思います。


寝ても覚めても本の虫
児玉清
2001 新潮社

毎月、新潮社の小冊子「波」に連載されている、
児玉さんの文章を楽しみにしています。
もう、何年目になるのだろうか?
それらの文章も含めた、一冊です。

児玉さんは、自ら海外へ出向いて本を買い、
原書で早々と読んでいるのです。
時間と足とをかけて書いてある辺りは、その熱気に中てられます。



介護保険と聴覚障害者
全国手話通訳問題研究会
2001 クリエイツかもがわ

全国手話通訳問題研究会(全通研)が行なった、
「介護保険制度における聴覚障害者の情報保障・コミュニケーション支援に関する調査研究」の結果をまとめたものです。
指が欠損した方も含め、私の想像を超えた事例が紹介されており、
とても、簡単に紹介など出来ません。


逃げてゆく愛
ベンハルト・シュリンク著
2001 新潮社

前作「朗読者」は、ナチスによるアウシュビッツの問題に取り組んで、印象深い作品でした。
主人公の多感な少年時代に、問題の女性と出会わせて、思い出を心に刻ませます。
そして、思索を深められる青年時代に再会させ、ホロコーストへ立ち向かわせる手法をとっていました。

そこでの書き方が心情的なものながら、説得力があります。

人によっては、曖昧すぎると感じるかもしれないが、
現実的には、このような心情に即した曖昧さも、本当ではないかと思う。
分かりやすく整理してしまうと、抜け落ちるものがあって、「ちょっと違う」と思うでしょう。

曖昧に書いて、読者に伝わらないのも意味がないし、
はっきり割り切って書くとイデオロギー的で、読者に見切られてしまいます。

彼の作品は、割り切れない心情を丁寧に書き込む文章で成り立っている。
拾い読みしかできていませんが、この作品も、そのようです。


タイガーウッズ 私のゴルフ論(上)
タイガー・ウッズ
2001 テレビ朝日

今世界で一番有名なゴルファー自らが書いた初めての本で、
その筋では大変なベストセラーらしい。
彼についての本を一冊読んだことがありますが、
なんといっても最近の本人が書いている、というのが、
一番の強み、魅力です。

初歩的な事でも、とても説得力があります。(笑)
そして、これほど、基本に忠実に進歩し続けれるのが、
スーパースターたる所以か、と感じ入ってしまいます。

一途な感じがあって、まだまだ若い人の文章ではありますが、
世界の四大トーナメントを舞台にした、まだ間もない経験談が、
相応に重みを持って、読ませます。

2002.1.20 記
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坂の上の図書館


先月から、県立図書館では、手荷物持ち込み禁止になり、
ロッカーを利用するようになりました。
面倒といえば面倒だけど、
こうせざるを得ないような事が起きているのを想起させられ、
暗澹たる思いです。

ロッカーの利用には、100円硬貨が入用ですが、
持ち合わせが無い方は、カウンターへ申し出てくだされば、
書面に書き込みの上、借りる事が出来ます。
えっ、どうしてそんなことまで知っているのかって?
いやだなぁ〜、このHPをご覧になる方には、
そんな野暮な事を聞く方はいないはず…。(^^ゞ

では、資料紹介とまいりましょう。


韓国現代詩選
茨木のり子訳編
1990 花神社

先日、書評系のサイトをいろいろ覗いているうちに、
茨木さんは、話題の詩集なんかより、この本でもっと高く評価されてしかるべきだ、
という意見に出くわしました。
うれしかったですね!(でも、控えを取るのを忘れて、あれから行けてません(-_-;))
「ハングルへの旅」でも、この本のあとがきでも、
韓国の若い人たちの現代詩への真摯な姿勢が描かれています。
今の日本の街角の若い人たちとの、大変な隔たりを感じます。


ロンドン・デイズ
鴻上尚史
2000 小学館

最近、鴻上尚史さんのお名前をよく拝見します。
最初は、英語関係の方で、
それから、つい最近スポーツ雑誌「ナンバー」で、
あの岩渕健輔と対談していました。


努力は裏切らない
宇津木妙子
2001 幻冬舎

シドニー五輪でのソフトボール日本代表監督さんの著書です。
ちょっといい言葉です。努力が実るとは言わず、裏切らないと。
書店で初めて見た時、惹きつけられました。
奥が無いようで、有りそうな含みを感じます。


映画批評のリテラシー 必読本の読み方/批評の書き方
石原陽一郎+編集部編
2001 フィルムアート社

開いてみると大変難しい。でも、ところどころ分かって感心する事もある。
自分の拙い映画評、否、映画感想文でも、思いの外、書き方に幅があり、
行き当たりばったりで、書いてはいるものの後で読み返し、
いろいろ考えさせられるので、こんな本でその辺りの眼力を得たいと思う。


腕で歩く
ボブ・ウィーランド
2001 竹書房

大変インパクトの強いカヴァー表紙です。
力強く、シンプルな明るさを感じさせてくれます。


ルネッサンスパブリッシャー宣言
松本功
1995 ひつじ書房

本が好きで、文章を書くことが好きで、
インターネットを通していろいろ知る事も好きな方には、
お奨めの本です。
私がインターネットの世界に参加して、一年半経ちました。
書評系、図書館系のHPを見て回っている内に、思った事が、
ここに先取りして書かれてありました。
自分の回り道を少し減らせそうです。

2001.10.17
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夏を下りて、秋を登りながら

 

今日は、第二日曜日。
市立図書館がお休みで、県立図書館が開いている日。

こちらの図書館は、和雑誌が貸出禁止なので、
バックナンバーを見るのには、市図より、便利です。

今日読みたかったのは昨年末に出たもので、
例によって検索機
(いい椅子がついているがこの頃は立って使います)
で確認後、
カウンターに申し込みますと、
「去年以前のものは別の所にありますので…」。

本当にすまなそうに言われて、
「そう、残念だなぁ。じゃ、お言葉に甘えて、明後日にでも」
と言いそうになりましたが、
その為には定時で仕事を切り上げ、急いで駆けつけねばならない。
それで、30分も読めれば幸運なので、諦め、お断りしました。

 

又もや、頭をかきむしりながら、
書棚の間を歩き、新着本のリストを読んでいる内に、
いくつか、読みたい本を手にする事が出来て、
まだ暑い夕日の中をルンルンと家に帰りました。

 

県図の資料紹介をしましょう。

 

対岸の家事
南 伸坊著
1998 日本経済新聞社

 

101歳、人生っていいもんだ
ジョージ・ドーソン&リチャード・グローブマン
2001 飛鳥新社

 

書物について
清水 徹著
2001 岩波書店

 

聴覚障害と英語教育 上巻
 学び、教えて半世紀、今後の課題と展望
中西喜久司
2001 三友社出版

 

この夜、
ニール・サイモンの自伝
書いては書き直し」を読み終えました。
今度、アメリカ人に生まれ変わるような事があれば、
是非彼の作品をニューヨークで見たいと、しみじみ思いました。

この本は、60年代から70年代にかけての彼の人生に寄り添って、書かれています。
舞台を見ることは無いので、彼の事は良く知りませんが、
その名は聞いた事があり、
この本には、映画俳優や演出家の名前が出て、
その中には、同時代を生きてきた思いのする人が居り、
例えば、有名になる前の
マイク・ニコルズ、R・レッドフォード、ジョージ・スコット等が登場してきます。

恵まれない生い立ちをはさみながら、
舞台脚本家として、旅立った日から、
有名になっていく日々を追って書き、
脚本家の何たるかを、
舞台の世界を、紹介してくれます。
もちろん様々な著名人(例えばデシカー監督)の裏話も書いてくれてます。
最後は、しんみりさせられましたが、
この10日余り、彼と暮らしているような気分でした。

 

もう、次作が出ているので、早速飛びつくように読みたいのですが、
その前に、「暗号解読」を読みます。
あの「フェルマーの最終定理」を書いたサイモン・シンの最新作です。

この秋も、素敵な書物達と、いっしょに過ごせそう。
無論、ローレンス・ブロックの新作は予約済みです。(笑)

2001.9.9

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県立図書館にまつわる、ききみみずきんの災難(笑)など

レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が新版で刊行されます。
これを機会に、ちょっと読んでみようかと、
県図で、「われらをめぐる海」を捜してみました。

一番手っ取り早い「カーソン」で調べると、無い!
「ウーン、横着するな、か…」と、書名で捜すと、出ました。
著者名を見ると、「カースン」。(@_@)
今では、どこを見ても「カーソン」ですが、
昔はこんな表記もあったのですね。

場所は、「書庫」か…。
印刷して、カウンターに申し出ると、
「あのぉ〜、ここに表記してある13のものは、
ここにはありませんので、
予約申込をしていただいて、取り寄せになります」との事。
「…、あ、そぅ〜、じゃいいです」。

インターネットで検索しても、この「13」は表記してあります。
例:わ-般-13-分

県図の新館が出来上がるまで、
頭をかきむしる事は、まだ有りそうです。

久々に借りると、
チェッカーを通していました。

これこれ!
しばらく前に、市図・幸町の三階で、
警報を鳴らしてしまったことがありました。
市図のものは全然持ってなくて、これから借りようっていうのに、
なんでぇ〜???

顔なじみのKさんが、「県図の本を持ってらっしゃいます?」
こういう時、馴染みの司書さんはありがたい!
館員さんの前で、見せたくもない物を次々とカバンから出して、
やっと取り出した県図の本を、渡し、。
館員さんがそれを持って通ると、鳴りました。
無実は明かされたものの、釈然としませんでしたねぇ。

 

今回は、新着本のコーナーで、
ものすごい、素晴らしい写真集を見つけました。
早速借りて、時折さすりながら、開いて見入って、ため息をついています。

栗林慧全仕事

栗林慧著
2001 学習研究社

昆虫好きの方は、涎が垂れないよう、
気をつけましょう!(^o^)

写真を見た後、著者の文章も是非読んでください。
このような写真が出来るようになった今の時代背景と、
作者の地道な努力を、知っておかないと、
合成写真なんだろうと、思ってしまいますから。
CGなんてものが此処彼処にある世の中での、
本物というものを考えさせられます。

 

2001.8.25

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なんとか三回目

 

前回は、苦言ばかり書いてしまったような気がします。
心なしか、職員の方冷たそ〜う。(^^ゞ
(その実、だ〜れも読んどらんかったりして(^o^))

県図で資料の検索をされた事がありますか?
ここの字の並びは、必見。
市図とは反対に、左から右へ「あかさた」が、並んでいます。
ウ〜ン、何でだろう?

しかし、画面の右下に予約件数が出て、ビックリ。
更に、プリンター内蔵で、資料の明細は書かずに済む!
なかなか素晴らしい!!
市図にも、やって欲しい!!!
(一応、リクエストはメールで出しました)

でも、市図と同じ欠点はあります。
画面の中に、頭上の明かりの光景が写るんですね。
読みづらくても、画面に八つ当たりをしないように気をつけてください。
(あ〜、今回も苦言を書いてしまった…(-_-;))

 

手元に新着資料の控えがないので、
今借りている新着本一冊だけ、紹介を。

中野重治の肖像
林 尚男著
2001 創樹社

 

第二第三日曜日の開館、大変重宝しています。
(特に、市図がお休みの第二日曜日)
欲を言えば、書架の間に、ちょっと座る椅子があれば…。
(苦言ではありませ〜ん、希望です)

希望ついでに申せば、
土日は、夜九時まで開館しては如何でしょう。
こうして、市図との補完を続々としていただくと、
県図の評判よくなりますよ!

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ご忠告

只今,の県立図書館を利用する時には、
以下のことに、ご注意ください。

 

県立図書館が変わるのは、
何よりスペースが手狭になったことが、
一番の原因でしょう。
いつ,パンクしたかは知らないけれど、
あの天神町の建物に,県立図書館の資料が全て納まっていないので、
ご注意ください。

少し前に、某新聞社から出ている総合雑誌のバックナンバーを希望すると、
直ぐには出せないので、明日になるとの由。
その時は、偶々早く退社出来た日なので、用を済ますことが叶いませんでした。
もし,あなたが図書館の資料を、ある時にどうしても必要ならば、
前もって連絡を入れた方がいいですよ。

 

それから、県立図書館では、
今年から購入した本には、
今までのNDC(日本十進分類法)の第七版に代わって、
あらたに、第九版を適用して、記号をふっています。
これは、新しく開館される図書館の開架書棚にここから置くという区切り目でもあります。
今は、将来書庫に仕舞われる本と、新規の開架に置かれる本とが、
一緒に開架にあって、その置き場所が若干違うのです。

例えば、去年までに出たスティーブン・キングの本は、933の所にあり、
今年出た本は、933.7の所にあるのです。
だから、933のスの所だけでなく、
933の最後の次にある、933.7の中のスの所も見てくださいね。
記号検索で探す人には言うまでも無いことですが、
中には書棚で本を見たり探すのが好きな人も、私以外にいると思ってお知らせします。

 

7版から、9版への変化。
図書館に関心ある人には、結構興味深いものがあります。
例えば、映画音楽の本にどんな番号を当てるかは、司書によって違うかもしれず、
図書館は、まだまだ人の判断に委ねられている所も結構残されていて、
興味尽きません。

でも、
コンピューター化の波は、ここの所をどのように押し流していくのだろう、
と、かっての司書希望者だったききみみずきんは、ふと思うのです。

 

最後に新着本の紹介です。

 

アメリカのろう文化
シャーマン・ウィルコックス編
2001 明石書店

この手が僕らの歌声になる
   〜きこえないけど歌いたい
南 留花
2001 ヤマハミュージックメディア

 

18歳、青春まっしぐら
 音のない世界に生きる
今田真由美著
2001 ポプラ社

が、県図にも入りました。

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旅立ち

 

今、この街の県立図書館は大きく変わりつつあります。
建物が新しく建てられ移転することは、新聞でも取り上げられていましたが、
内部でも変革が進んでいます。
更に、他の図書館との役割分担で、ここにしか入ってこない図書もあるので、
先の市立図書館に次いで、遅ればせながら 
県立図書館へあなたをご招待するページを設けました。

3月から4月にかけての長い休館が終わり、
先日、本を返しに行きました。

入って直ぐ左側にある新着本の棚に目を走らせると、
このページのオープニングを飾るのに最適な本がありました。

 

こどものいた街
井上孝治
2001 河出書房新社

「岡山市立図書館へ行こう!」の
「祝・夜の市立図書館開館一周年 第一部」で、ご紹介した、
井上孝治さんの最新の写真集です。

この写真集の中にいる子供達は、私と同年代です。
写真集の中の人の顔を見ていると、
あの頃の暮らしは楽ではなかったけど、
今よりも生きていることを実感している人の表情があって、
つい物思いに引きずり込まれます。

今、人々の暮らしを街角で撮ろうとしたらあなたはどう撮りますか?
住宅地は静まり返り、道路は車が行き交い、
人びとは商店やイベント会場で携帯電話を横目で見ながらせわしなく過ごしている。

井上さんは発表するあてもなくこのような多くの写真を撮り続けていた。
それも一頃の事。
休日の昼下がり、家で留守番をしながら写真一枚一枚を見ているうちに、
井上さんと話をしているような気分になりました。

 

路面電車
今尾恵介著
2001 筑摩書房

岡山市立図書館情報提供システム(OCL-NET)の資料紹介の中にも、
路面電車についての本を紹介していましたね。
早速、「日本の路面電車の現況」の中の「岡山市」を読みます。
「岡山の路面電車は、もっとも小規模ながらも
今後が楽しみな電車のひとつである。」と締め括ってありました。
子供の頃から利用してて好きな乗り物ですし、
自分の子どもが生まれた頃に、女性の運転手も登場し、
私の人生に寄り添ってあります。
今後いろいろ多難だけど、私も利用者の一人として、
岡山電気軌道を応援します。

 

山田さんの鈴虫
庄野潤三著
2001 文藝春秋

庄野さんによる老夫婦の暮らしを綴ったエッセーです。
大病された頃から文体が変わったように思うのは私だけでしょうが、
日々の暮らしを見つめる態度には変わりがなく、
いつもながら、何気なくも、印象的なタイトルに感心します。
「夕べの雲」の頃から読み続けている人には、共に生きてきている感慨がありますね。
庄野さんの他の作品では、「ガンビア滞在もの」が好きです。
私は、庄野さんから、これらの作品を通して、
人の暮らしのなんたるかを教えていただきました。
今、新潮社の小冊子「波」に続きを連載されています。

 

市立図書館については、
「としょかんじまん!」のあじさんという仲間がいるので、
心強く、楽しい気分でやっております。
県立図書館の方でも、どなたかご一緒にやってくださる方がいると、ありがたいです。
こちらへ県立図書館の職員の方いらっしてたら是非メールを下さい。
又、そうでなくても、県立図書館についてHPで書いている方でも大歓迎です。

(さあ、船出はしましたが、
この航海は、どうなりますやら…。)

2001.4.22


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