喫茶店「けやき通り」

2003年5月

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この国の中で見出す小さな幸せ


土日と久々に連休でしたが、
金曜・土曜とカミさんに振り回され、市内の大きな家電販売店を巡り,
あっという間に、日曜の夜。(笑)
冷蔵庫の具合が悪くなったのと、
去年は我慢したクーラーを買うためです。


クーラーは、以前薄型が主流で、
欽ちゃんの片手CMを今でも思い出せますが、
この頃は、丸々と出張ったものばかり。
あの薄型は何だったんだろう?(笑)


冷蔵庫は、相変わらず容量を増していますが、
今は、両開きが増えてきている。
外国映画に出てくる大きなイメージが強いが、
あれほど大きくなくても両開きのメリットを盛んに宣伝しており、
横へ広がる傾向は引き続いています。
左右どちらからも開けられるのは、未だ、シャープだけでした。


量販店間の競売の激しさも激しく、
ライバル店の価格を表示し、それより安い事を強調している。
カタログに無い型番を見て、販売主導生産の片鱗も窺えました。


伝票が主体の私の職場から見ても、家電の推移はいろいろ見られます。
7,8年前のパソコン市場におけるWindows95主導の好景気が、ピークでした。
幾つかのお店からの仕事が無くなる一方で、
部数や点数の増えているお店もあります。
この淘汰は更に進むという関係者の話を又聞きしました。


歩き疲れて座り込み、
見た目に明るくも、寒々とした広い店内を見ながら、
この国の行く末を考えさせられます。
快適な暮らしの代償がこれなのか?
あまり長居をするところではない事、確かなので、
早々に出ました。


疲れの取りきれない日曜日、
ゴロゴロしながら、幾つかの本を拾い読みしている内に寝てしまう。
家族が帰って来出した夕方から、雨がぽつぽつ降り出す。
明日から5月最後の週。
先週から始まっているパートの交替出勤は今週も続きそうです。


あまりいい話はありませんでしたが、
それでも、柳澤桂子さんの「ふたたびの生」を再読し終えて、
これでも小さな幸せがたくさんあると、思い直しました。

2003.2.25 記


多義な世界で願う心の平安


SARSは、今や医療問題に止まらず、経済問題となり、
世界が固唾をのみながら、成り行きを見守っているこの頃です。
いろいろな作品を通してみてきた近未来に入っているような実感があり、
怖い気持ちになります。


情報化社会と言っても、その実、多くの事実の流れに紛れて、
底流の大きな流れが見えなくなっているのではないか、と思う。
河上徹太郎さんの「憂愁日記」ででしたか、
歴史は、大きな海のようで、
我々が見ている多くの事実はその表面の泡に過ぎない、
という見方を教えてもらいました。
そんな事をふと思い出させたのは、今手元にある一冊の本。


長田弘さんが選んだ「本についての詩集」には、
もう既に亡くなった人たちの、
更にその前に亡くなった昔の人の書いたものに寄せた詩が載っています。
長い時間の流れの中に身を置くと、
孤独である事と多くの仲間たちに囲まれている事とを同時に感じます。
常に世界は、多義である事を、幾度も忘れ、幾度も思い出す。


今夜は土曜日。例によって、テレビドラマ「ER」を見る。
今のシリーズには、この多義性が具わって、心に沁みる。
「アビー、寝れたらそれだけでもいい時ってあったんですね」

2003.5.25 記



黄色い本


黄色い本
高野文子
2002 講談社

副題は、「ジャック・チボーという名の友人」。
主人公の女学生が「チボー家の人びと」を読む日々を、描いた佳作です。
学校や家庭、そうして就職にまつわる暮らしの中で、
本の世界へ入っていくさまや、
本の世界から現実の世界を見やる気分、
そうして本と共にある普段の暮らし等が、
細かいエピソード一つ一つと絡みながら在る。
読みながら、高校・大学時代の自分に再会しました。


読んでいるのに夢中になって現実に引き戻されたあの気分。(笑)
本の世界に引き込まれながらも、タジタジとなり怯んだ気分。
すっかり親しんだ世界が遠ざかる、それでいてどこかいつでも道が繋がっている感じ。


もう今ではすっかり過去となった読書の一つの有様が、
良く選ばれた本に添えられて点描されている。
否、この本だからこそ、こういう読書のあり方がくっきりと浮かんでくるのでしょう。


もう今では、インターナショナルという言葉も遠い。
今の若い人が「チボー家の人びと」を読むということは、どういう風になるのだろうか?
若い時にこの本を読んで本当に良かったな、とあらためて感じ入りました。


こういう風に自分の心の襞を経巡る漫画が人気あるのもうれしい。
「えっ、ききみみずきんさんも漫画読まれるんですか?」
と、行きつけの中華料理屋さんの娘さんに言われたけれど、
これでも、僕が君くらいの歳には、
もう石森章太郎さんが「ジュン」を書いていたし、
「ガロ」「COM」や「ビッグコミックス」で、そういう作品は幾つもあったんだよ。(^^ゞ
しかし、やっぱり、この歳になって新作の漫画本を手にするとは思ってもいなかったな(笑)

2003.5.23 記


慌しい一週間の後


5月18日日曜日、市の難聴者ふれあい交流会で、高知へ行ってきました。
大学生になった最初の夏に友人と訪れて以来ですから、30年ぶりになります。


瀬戸大橋や高速道路が出来、大変近くなり、あっという間につきました。
以前は、大歩危小歩危の渓谷をうねうねと巡るし、
宇高連絡船で乗り継いでの汽車の旅だったのですよ。


坂本竜馬の銅像は初見え。
台座が余りにも高くて、お顔がよく見えませなんだ。
近年明るくきれいになったというのに…。


浜へ降り、しばし、寄せ来る太平洋の波に見惚れて、時を過ごす。
いろんな事を思い、日常から離れる事が出来て、有意義でした。


家族持ちになり、子どもに金がかかるようになると、
旅なんて夢のまた夢で、もう二度と出来そうに思えない。
若い時にもっと旅をすればよかったな。
旅をする夢は叶いそうになくても、持ち続けていよう。


先週は、5日間の内4日映画を見ました。
試写会が二作当たったのです。
「アバウト・シュミット」は、試写会でよかった…。
「めぐりあう時間たち」は、試写会でただで見て良かったのかな?(^^ゞ
というくらい幸運な秀作でした。
あまりいい運を背負い込んではと思い、
早速感想をupし、あちらこちらへ広報しましたところ、
大変多くの方々が見にいてくださいました。
ありがとうございます。


これからも、頑張ります!
といきたいところですが、疲れの所為か、風邪をひきました。
ボチボチ参ります。(^^ゞ

2003.5.20 記


映画「めぐりあう時間たち」の試写会


2003年5月5日、「めぐりあう時間たち」の試写会を見て、
直ぐにこれを書いています。


バージニア・ウルフの作品としては、
映画「ダロウェイ夫人」を見ているだけ。
この映画の試写会招待状をいただいて、
「ダロウェイ夫人」を読み始め、
角川文庫の96頁まで読んだところです。
映画の原作は、未読。
そういう状態での鑑賞である事をご了承ください。


「ダロウェイ夫人」とその作者ヴァージニア・ウルフの生死とが、
見事にコラージュされた作品です。


映画「ダロウェイ夫人」を見損なっていた、
読みづらい原作を読み損なっていた、
と気付かされ、
この作品は、それ自体一つの秀作ながら、
ヴァージニアと「ダロウェイ夫人」とへの見事なガイド(解釈?)にもなっているように見受けました。


一つ一つの挿話が出そうになる度に、「そこだ!」。(^^ゞ
出た後で、「そうか、そうなんだよな…」「え、そうなの?」「なるほど」
とウンウン頷きながら、見ていました。


バージニアが駅へ向い、夫が追い付いての、
プラットフォームでのシーンが素晴らしい。
ここで、
「つけ鼻」のニーコルキッドマンが、
ヴァージニア・ウルフになる。(笑)
彼女ならではの役を幾度も見てきたけれど、
彼女であることを忘れたのは、初めてです。


雑誌のインタビュー記事中の返答を思い出しました。
「ウルフの作品とは、まさに私が受け止められる時期にめぐり合えたと思う。
学生時代はブロンテ姉妹の作品のほうがずっと面白くて、
ウルフは退屈だと思った。
でも、今はとても好き。
もろさと聡明さが一人の人間の中に融合されているから。」
(ニューズウィーク日本語版4.30/5.7より)


メリル・ストリープとジュリアン・ムーアも、劣らない演技を見せてくれます。
画面の中で共演したのは、この二人だけですが、
三人の魅力が拮抗して見応えしたキャスティングで、
ただの豪華な顔合わせなんかとは全然違います。
共演に止まらず、競演しているのです。


そのおかげで、
この作品のテーマが、その重みを損なうことなく、見る人に伝わるのでしょう。


何も知らずにこの映画を見るのと、
「ダロウェイ夫人」を読んで見るのとを、
同時に体験することは不可能で比べられないのですが、
私は、少しでも「ダロウェイ夫人」を知っていて良かったと思う。


ある価値観だけで人の生死を裁断してしまう事が多い世の常です。
しかし、より良く生きようとした人の生死は、
そういう価値観を超えて、あるがままに受け取らねば、
その人の生死を虚しくしてしまう。
生死の重みを問う作品なので、
そのつもりでご覧に出かけてください。


見終えて、直ぐに立てなかったのは、二三年ぶり。
私には、作品の重みが衝撃から余韻に変わる時間が必要でした。
エンドクレジットはその為、ありがたかったです。


補足
映画ファンの方々、この主演三人の名前だけしか上げませんでしたが、
その他の脇役も素晴らしく、コメントしたいほどです。
作品のテーマから逸れるので遠慮しました。
あなたの映画ファン度相応に楽しめることを約束します。

2003.5.15 記


アイスクリームの日


5月9日、アイスクリームの日。
仕事を早く終えることが出来たので、娘から教わった通り、
商店街近くのアイスクリーム・チェーン店へ赴きました。
ただでアイスクリームが食べられるという、軽薄な心持ちです。(^^ゞ


やはり、行列が出来ている!
が、横の露地へ連なっているので、ホッとして並ぶ。
でも、よく見渡せば、殆ど女性。


パンフレットを貰い、広げれば32点の品揃え!
どれにしようか…?ウム〜。
ありきたりの名前の中に、
「クオーターバッククランチ」とある。
元気が出そうな名前だな(笑)


手にし、口にすれば、…。
イマイチ物足らない。
でも、隣の女学生のように、直ぐ並び直してもう一本とは、
ちょっとネ(^^ゞ


帰ってネットで調べれば、
「バニラアイスクリームに入っているサクサクと軽快なチョコレートでカバーされたライスクランチはアメリカンフットボ−ルのボールを、キャラメルリボンはフィールドラインをイメージしています。まさにアメリカンフットボ−ルのようなパワフルなおいしさです。」
これを読んでから、食べるべきだったな!
思い出して再現するのは、至難です。

2003.5.10 記


雑誌「ニューズウィーク日本語版」紹介


偶に行なっているニューズウィーク日本語版の紹介をひさびさにします。
一点を除いて、すべて映画関係です。


A 2003.4.16号

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息子が見守ってきた「戦場のピアニスト」

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映画「戦場のピアニスト」の原作者ウワディスワフ・シュピルマンの、
長男であるクリストファーさんへのインタービュー記事。


家族として、子どもとしての返事を読むと、
一つ一つ腑に落ちる内容です。


シュピルマンさんの急死について、
回想録の刊行後注目を浴びたことと、映画化の話とが、
影響したとしか思えないというコメントを読むと、
やはりと思う。
それでいて、ちょっと、ショックでもあります。


本人は、尊敬しているポランスキーによる映画化を喜んでいたと同時に、
怖れてもいた由。
人に自分の体験を伝えたいという想いと、
それを人がどう受け取るかという不安とが、
伝わってきます。


映画については、高く評価していました。


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ロレンスの伝説を生き続ける男

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ピーター・オトゥールの人柄が伝わるような、興味深い記事です。
70歳にして、なお舞台の第一線で活躍しています。


骨のあるところとユーモアとを披露しているのを読み、
私もこういう年寄りになれたらと、思う。(^^ゞ


自分の類いまれな人生を受け入れながらも、
更なる、自分の人生を選択し続けて生きていく姿勢は、
並大抵のものではないでしょう。
仕事がこの人を生かし、そしてその人が更にいい仕事をしていく、
そういう有様は、読んでいて惚れ惚れします。


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春、『シカゴ』が踊る

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先日見た最新のミュージカル映画「シカゴ」の監督、
ロブ・マーシャルの紹介インタビュー記事。


映画そのものは、見ている最中やはり楽しめたものの、
見終えていろいろ考えさせられる仕上がりです。
この記事を読んで、幾つか氷解していきました。


ミュージカルを取り巻く環境が、以前とものすごく違うことが、
次の発言からひしひしと感じられます。
「これがコケたら、ミュージカル映画は死んだっていわれるな、
と思ったりしたよ」


文化面での閉塞状況が、悲しい。


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汚染の「黒い霧」を告発

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リードにこうあります。
「ベテラン疫学者が環境汚染との闘いを回顧
権力に翻弄される科学者の罪と苦しみを描く」


書名は、
「When Smoke Ran Like Water」
(煙が水のように流れた日)
著者は、
Devra Davis(デブラ・デービス)


企業や政治家と科学者との対立は、そのまま「沈黙の春」の著者レイチェル・カーソンを連想させ、
この40年、われわれは成長したの?と、又、思わすにはいられない。(-_-;)





B 4.30/5.7号

「超特大保存版 シネマ!シネマ!シネマ!」


1 マトリックスSFX大爆走

今年、やっと、というか、ついに、
続編が公開されるマトリックスの話題を…。

2 ニコルソンの恋と映画の日々

マルホランド・ドライブ沿いにあって、
マーロン・ブランドの隣にある、
ニコルソンの住まいへご招待。

3 女優も母親もやめられない

「めぐりあう時間たち」共演の
メリル・ストリープ&ニコール・キッドマン&ジュリアン・ムーア
と、記者との座談会

4 映画館が呼んでいる

紹介作品
「アバウト・シュミット」
「シカゴ」
「めぐりあう時間たち」
「ロスト・イン・ラ・マンチャ」
ギリアム監督「ドン・キホーテを殺した男」が、製作中止に追い込まれる過程を克明に捉えた傑作ドキュメンタリ
「トーク・トゥ・ハー」
最近作の中から、注目5作を選んで紹介。

5 世界中から集まった初夏の新作

もう直ぐやってくる話題作を11作紹介。

6 つらくて楽しい批評家稼業

タイトルとは違って、
デービッド・アンセンの地味な職業紹介
いや、二三、ちょっと笑える挿話がありました。

7 ワイン片手に今夜はビデオを

30本の映画を紹介。
簡潔にしてつぼを押さえた紹介と評。
セレクションも良し。
ワインが合わないものも、
ワインを飲んでいることを忘れてしまうものも、
ワインなんか飲んでる場合でなくなるものも、あります。(笑)

2003.5.4 記


帰ってきた食欲


暖かくなって、喜んでいるうちに、もう、5月!
ちょっと、早めの衣替えで出した、
半袖のポロシャツを着てみましたが、
やはり、朝晩は、まだ寒い。(^^ゞ


熱いコーヒーや紅茶ばかりでなく、
冷たいウーロン茶も飲みだして、
それに合うお菓子を物色している内、
羊羹や最中に、再会する。
久しく食べていなかった…。
おいしい〜!(^o^)


食べ物で、時々、
意外に久しく食べていなかったものに、のめり込んでしまう。


隣街の映画館へ行ったら、ポップコーンの香が…。
ちょっと高いので、翌日スーパーで買って食べることにする。
しばらく、やみつきになりました。(笑)


その後の羊羹。
小倉羊羹、抹茶羊羹、煉羊羹…と。


最中を食べたら、饅頭が…。


お腹が出てくる心配をしながら、もう、ひとつ…(^^ゞ

2003.5.2 記