p26
サーイティーは、死体のように青ざめ膨れあがった身体にひづめの割れた一ダース以上の脚と小さな黒い単眼、そして豚のような鼻面の下にイノシシの牙と歯が生えそろった三つの口を持つ、豚に似た恐ろしい姿で顕現します。
サーイティーの組織化された教団は、人間の間には存在しません。
あまり知られていないこの神は、外なる領域にある迷宮状の暗黒の洞窟に棲んでいます。このグレート・オールド・ワンの攻撃は、犠牲者に憑依し、その魂を貪り食らうために自分の地獄のような住処へと引きずり去っていくというものです。この攻撃の際、サーイティーは最初に自分のPOWで犠牲者のそれをうち負かそうとします。成功した場合、外界の豚は毎晩1D3ポイントのPOWを犠牲者から吸収し始めます。一度そのPOWがゼロになったなら、犠牲者は死に、彼または彼女の魂は異界の神に貪り食われてしまいます。この手段で攻撃されている者は、無数の豚がうなり声をあげキーキーと狂気に導くような鳴き声を発している中を、地獄のような暗黒の迷宮へと墜ちていく、という恐ろしくて生々しい夢を経験します。そのような夢を見ている間、グレート・オールド・ワンの犠牲者は昏睡のような状態におちいり、豚のようにブーブーという声をあげるという奇妙な振る舞いをします。サーイティーの夢を見ている犠牲者の目は半ば見開かれたままとなり、身も凍るような恐怖をたたえています。一度グレート・オールド・ワンの夢の景色へと入り込んだなら、犠牲者が目覚める事は絶対にないでしょう。
外界の豚の犠牲者はしばしば、グレート・オールド・ワンがこの次元へと入り込むための焦点としての役割を果たします。奇妙なよどみと影のような雲、そしてはるか彼方から聞こえてくるキーキーという豚の鳴き声がサーイティーの出現を知らせます。
外界の豚は踏みつけ、その口の一つによる噛みつき、または巨大な牙による突き刺しによっても犠牲者を攻撃する事が出来ます。
STR 45 | CON 75 | SIZ 35 | INT 20 | POW 25 | DEX 12 |
移動 10 | 耐久力 55 |
p16
英語、著者は氏名不詳の聖職者、十七世紀。英国で印刷されたクォート判は、浮き彫りで飾られた皮の表紙で製本されています。存在しているのはたった十部だけであると考えられています─所蔵している事が知られているのは、大英博物館、トロントのロイヤル・オンタリオ博物館、そしてフランスの国立図書館だけです。正気度ポイント喪失は1D6/1D10。〈クトゥルフ神話〉に+10%。研究と理解に要する時間は平均11週間。呪文――サーイティーの招来、サーマーの儀式、癒し、向こう側への旅。
p33
サーイティーはほとんど知られていないグレート・オールド・ワンです。呪文はこの恐ろしい豚に似た存在を外界から召喚します。日没後ならどこででも呪文をかける事は可能ですが、怪物が出現した時に、生きた人間の生贄が用意されていなくてはなりません。サーイティーは生贄に憑依して最初にそれを狂気に追いやる事により、その魂を堕落させて貪り食うのです。
p34-35
この呪文は複雑な儀式を行う事によって、外なる神やグレート・オールド・ワンの手下達に対して効果のある防御障壁を創り出します。地面にチョークで円を書き、サーマーの儀式における八つの印形をその中に彫り込む事で、いかなる上級あるいは下級の神話種族の構成員やこの世界に属する超自然的存在(吸血鬼、屍生人等)も通過する事の出来ない魔術的障壁が創り出されるのです。サーマーの儀式には呪文をかけるための一時間程の時間と、6ポイントのPOWを捧げる事が必要です。この呪文をかける際には正気度ポイントの喪失はありません。創り出された魔術的障壁は八人までの人間が入るのに充分な大きさで、24-1D10時間持続します。
サーマーの儀式にはもう一つの使用法があります:戸口やその他の通路に儀式の第一と第八の印形を彫り、それらを三本の直線で結ぶ事によって、そこを上級あるいは下級の神話種族の構成員やこの世界に属する超自然的存在に対して封印する事が出来るのです。この短縮された様式の儀式を行う場合は、ほんの数ラウンドの時間しか必要としませんし、消費するPOWも2ポイントです。この場合も正気度ポイントの喪失はありません。魔力を付与された通路は、一方の、あるいは両方のサーマーの儀式の印形が取り除かれるまで効果を持ち続けます。
外なる神とグレート・オールド・ワンは、サーマーの儀式に影響を受ける事はありません。
「非人間の司祭」が自分達の崇拝において使用した呪文。この呪文は普通、旧き印でさえ止める事の出来ない外界の力に対する、最終的な防御手段として考えられています。儀式においては八つの印形が使用され、その各々が防御障壁の一角として働くのです。
サーマーの儀式の最終行は、究極の防御をもたらすと言われています。人類の間にはそれを知る者は誰もおらず、この主張が検証される可能性はないにも関わらずです。この事が真実であるか否かとは別に、サーマーの儀式の第二行は「グラーキの黙示録」[訳者註:この記述の元になったと思われるサプリメントによると、第三巻]において、平面の五芒星を作成する理想的な手段として言及されています。これは外なる神ダオロスを招来する間、この神の制御不可能な顕現に対する防御となるものです。