以下のコンテンツは、ARC Dream Publishing社の
"The Unspeakable Oath #19"
に収録されているデータを翻訳したものです。


Paramour of Y'golonac:
イゴーロナクの情人

オスカー・ライオス
Oscar Rios

我を知る者は我を見出すだろう。たとえ無意識のうちにであろうと、我に仕える者は我を引き寄せるであろう。その肉体は試練を受け、それに快楽を感じるならば、我を受け入れる事ができる。我が情人となるに値すると知れた者には、死も良心の呵責もない、快楽と苦痛に満ちた世界が待ち受けている。これこそがイゴーロナクの御言葉である。――グラーキの黙示録、第十二巻、54:57, 9

イゴーロナクの情人は、見かけは普通ですが即物的な快楽とセックスに耽溺している人間から誕生します。その行動が、グレート・オールド・ワンのイゴーロナクを引き寄せるエネルギーを生み出しているのです。人間からイゴーロナクの情人への変容は、その個人と化身の姿のグレート・オールド・ワンとの遭遇から始まります。候補者はイゴーロナクの口に噛みつかれるものの、期せずしてか、あるいは正式な儀式の一環として生き残ります。それらの噛みつきから受けたダメージは自然には治癒せず、生存者は開いたままの傷口の痛みに苦しみ続けるのです。この苦痛に一年間耐えた後、普通はイゴーロナクの崇拝者によって、時にはグレート・オールド・ワン自身から送られた夢の中において、犠牲者には選択の機会が与えられます。犠牲者は治癒され、至高の恐怖の一部をなすものとして高められた美しさと不死性を得て、イゴーロナクに永遠に侍る者となるのです。

イゴーロナクを受け入れた者は直ちに消え失せ、この神が潜み棲む、地下の広大なレンガの壁の背後にある廃墟へと運ばれます。そこで候補者と、このグレート・オールド・ワンの知られざる真なる姿との間に、恐ろしい契りが結ばれるのです。そして候補者は、時には数日後に、完全に治癒された姿で再び現れます。その美しさは素晴らしく高められ、生々しい性的魅力を発散させています。しかしその人物はもはや人間ではなく、厳密な意味では生きてもいません。それは今やイゴーロナクの情人、恋人であり主人であり神でもあるグレート・オールド・ワンによって完全に堕落させられた不死の従者なのです。

イゴーロナクの情人は堕落そのものであり、究極の快楽主義者です。この怪物が発する、人類の原始的な部分に作用する魅力に抵抗できる人間はほとんどいません。イゴーロナクの情人のそばにいれば、この怪物への欲望を抱く事になるのです。この怪物一体が発する魔力に満ちた魅力に抵抗しようとする者は、その誘惑に屈服しないために、POWの2倍のチェックをしなくてはなりません。イゴーロナクの情人の性的な技巧は超自然的なものがあり、性交渉を持った者は、定命なる人間ではまず達する事のない淫蕩の極みを体験します。そのような接触の間、イゴーロナクの情人はグラーキの黙示録の第12巻から引用した文言を暗唱し続けるのです。イゴーロナクの情人との性交渉は肉体と同様に精神をも堕落させ、接触の度に怪物の恋人の正気度を1/1D3ポイント喪失させます。

イゴーロナクの崇拝者の多くは、イゴーロナクの情人によってグレート・オールド・ワンの礼拝へと導かれます。新たな崇拝者として有望な人間を神の前に連れて行く事ほど、イゴーロナクの情人を満足させるものはありません。あらゆるイゴーロナクの情人の最終的な目標は、イゴーロナク自身の化身の宿主として役立つように人間を堕落させる事です。

奇妙な事に、イゴーロナクの情人が定命なる人間に愛情や愛着を持つ事があります。そのような人間に自分達の主への崇拝の仕方を教え導き、新たな教団員を育成している事がしばしばあるのです。しかし、この怪物が愛情の対象と一対一の関係を保つ事は決してありません。主の凄まじい欲望が持つ暗き堕落のエネルギーは常に外部へと拡散せざるを得ず、封じ込める事は出来ないのです。

イゴーロナクの情人は別のやり方でもこの神に仕えています。新たな崇拝者を誘惑し、情報を収集し、教団員を教え導くのです。怪物はグラーキの黙示録の第12巻の内容を自分の記憶から暗唱出来るので、時には新たな教団員のために、読む事の出来る完璧な大冊を作り出します。またある時は、イゴーロナクの情人はこの神の高位の教団員の護衛や、神殿の守護者としての役目を果たしています。この怪物は通常は単独で行動するのですが、時には重要な儀式を支援するために数体が集まる事もあります。

攻撃:普段のイゴーロナクの情人は、性的魅力を発散させていて異常に艶かしいだけの、単なる人間の姿をしています。しかし即座にその真なる姿、いくつもの大きく口を開けた噛み傷によってひどく傷つけられている、腐敗した目の無い死体という姿へと変身する事が出来るのです。それらの噛み痕はかつて怪物が人間だった時につけられたもので、今は完全に形成された口となって再び現れ、鋭い歯を軋ませています。一体のイゴーロナクの情人はそのような口を1D3個、身体のどこかに持っています。

戦闘においては、イゴーロナクの情人は素早く動き回り、両手の細長く伸びた指の爪で目標を引っかきます。この攻撃はそれぞれ1D3+db(ダメージ・ボーナス)ポイントのダメージを与えます。同一のラウンドに両方の爪の攻撃が命中した目標は、自動的に組みつかれた事になります。イゴーロナクの情人は犠牲者をきつく抱きしめ、その身体に開いたいくつかの口で噛みつく攻撃を行い、それぞれにつき1D4ポイントのダメージを与える事が出来るようになります。口で噛みついている間、イゴーロナクの情人はうめき声を上げ、激情に任せて身もだえし、苦痛を伴う性交中であるかのような反応を見せます。この恐るべき攻撃の犠牲者は追加の正気度ロールをしなくてはならず、1/1D4ポイントの正気度を喪失します。この攻撃から逃れるためには、犠牲者はイゴーロナクの情人の組みつきを振り解く必要があります。さもなければ、死ぬまで猛烈に噛みつかれ続ける事になります。

イゴーロナクの情人は、その噛みつき攻撃で相手のHPに与えたダメージ1ポイントごとに、自分のHPに受けたダメージ1ポイントを回復させます。

イゴーロナクの情人を破壊するのは困難です。この怪物は熱や寒さに影響されず、魔力を付与されていない物理的な攻撃からも最低限のダメージしか受けません。アンデッドの姿の時は毒の影響を受けませんし、意識不明になる事も、苦痛による不利な影響を受ける事もないのです。イゴーロナクの情人は呼吸する必要がないので、煙や溺れによる影響も受けません。

ヒットポイントがゼロにまで減少すると、イゴーロナクの情人は閃光の中に消滅し、それが最初に創造された地下の廃墟においてゆっくりと再生します。これには1D20週間かかり、その後イゴーロナクの情人はイゴーロナクによって地上の世界へと送り返されるのです。呪文あるいは魔力を付与された武器によってヒットポイントをゼロにまで減少させた場合にのみ、イゴーロナクの情人を永久に破壊する事が出来ます。

イゴーロナクの情人、下級の奉仕種族

自ら望んで恋人となる事により復活した犠牲者

能力値ロール平均値
STR4D6+519
CON5D6+623-24
SIZ2D6+613
INT3D610-11
POW4D614
DEX4D6+317
移動15
耐久力18-19

平均ダメージ・ボーナス:+1D4

武器:

装甲:なし。ただし魔力を付与されていない物理的な攻撃からは最低限のダメージしか受けません。

呪文:〈イゴーロナクとの接触〉。

正気度喪失:イゴーロナクの情人の真の姿を見て失う正気度は1/1D6ポイントです。イゴーロナクの情人と性的接触を持つ事で失う正気度は1/1D3ポイントです。イゴーロナクの情人の組みつき攻撃を受ける事で失う正気度は1/1D4ポイントです。


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