V 世界平和とわが国の役割
2.国際連合
(1) 成立
1945年、サンフランシスコ会議(4.25)で
国際連合憲章(6月)をつくり発足。本部 ニューヨーク。
(2) 特色
第一次世界大戦後、米大統領ウィルソンの提唱により創設された「国際連盟」は、主に、安全保障・軍備縮小・国際裁判という3つの目標をもっていた。
このように、世界の人々に期待された国際連盟であったが、
その1.総会や理事会の議決を全会一致としたので、会議の運営が難航した。
その2.侵略国に対する制裁手段が経済制裁に限られていたため、有効に作用しなかった。
その3.国際連盟による議決も勧告を限度とし、加盟国を直接拘束するものではなかった。
その4.提唱国のアメリカや当時革命後間もないソ連のような大国が参加していなかった。
その5.日本・ドイツ・イタリアが現状打破をとなえて脱退した。
ことなどにより、その機能を十分に果たすことなく、第二次世界大戦の勃発とともに、事実上崩壊した。
このような連盟の失敗を教訓として第二次世界大戦後つくられたのが国際連合である。
●
安全保障理事会を重視
国際平和を維持するには、大国の一致が必要(大国一致の原則)との考えから、米英ソ仏中の5常任理事国(5大国)には
拒否権が与えられている。
制裁のための武力行使をすることができる。→
国連軍をもつ。
c.f.6章半の軍隊
●ユネスコ、ILOなどの専門機関をもっている。
●決議は
多数決による。
(3) しくみ
6つの主要機関とユネスコ、ILOなどの専門機関からなる。
@6つの主要機関
●総会
●
安全保障理事会
世界の平和と安全の維持。国際紛争の平和的解決。米英ソ仏中の5常任理事国と非常任理事国10ヵ国からなる。
●事務局
●経済社会理事会
●国際司法裁判所
●信託統治理事会
A専門機関
(1) 国際児童基金(ユニセフ)
(2) 国際労働機関(ILO)
(3) 国連教育科学文化機関(ユネスコ)
(4) 世界保健機構(WHO)
1948年につくられ、本部はジュネーブにある。現在、166ヵ国が加盟。伝染病をなくすこと、保健事業の指導、人口問題の研究などを行う。1979年、天然痘の撲滅に成功した。
* アムネスティー・インターナショナル
宗教やイデオロギーを理由に拘束されている人々(「良心の囚人」とよばれる)の釈放、死刑の廃止などを国際世論に訴え、人権擁護を行おうとする国際組織。
参考)原康『国際機関ってどんなところ』岩波ジュニア新書237