裁判日記

裁判のこと 4



人それぞれでしょうが、私は彼の亡くなり方を 公にはしていません。



聞かれたら「事故でした」更に突っ込んでくる人には「交通事故でした」と答えています。


後ろめたいから そんなことをするんでしょう・・・って?




ええ、後ろめたいです。



自死という形で家族を亡くして 後ろめたくない人がいるでしょうか。



私は どっちかというと自分の失敗は笑って冗談にして 

「私ってばかだねー」と言える人間です。



オープンにしてしまった方が気が楽だし、周りの人も気を使わなくても良いから。



でも、このことだけは触れて欲しくない部分なのです。



まだ、自分の心の中で決着のついていない部分なのです。



いつか、納得できる答えが見つかったら、

今よりも楽な気分で話せる日が来るかも知れません。




でも、まだ今は出来ません。






さて・・・・裁判のことです。



5年が過ぎて 私にとって裁判は、もう、過去のことになり始めていました。


10年、20年 掛かる・・・なんて話も聞きました。


そんなに長いこと人間は 怒りつづ:けられるものなのでしょうか?



私には良く分かりません。


労災の事も、裁判の申請の事も、遠い過去のことになっていました。



今の生活は、お父さんがいない事を除けば、平穏無事で、

子供達も元気に大きくなってくれています。



職場から、少し遠くなったけど何とか、住まいも定まりました。


嵐の時代を乗り越えて、やっとやっと 手に入れた穏やかで落ち着いた日々・・・・。


これ以上望むことはありませんでした。


このまま、ゆっくり年をとっていくんだろうな、それはそれでいいかもね、と思っていました。



新学期の準備をそろそろしなくちゃ・・・。と思っていた1月のはじめ、



ポストに弁護士さんからの書類が入っていました。



そして、来月には、私も法廷に立つのだと 知らされました。



書類の中身は事故当時、夫に関わったさまざまな人達の証言。



怖くて読めませんでした。


もう一度、あの頃の事がフラッシュッバックしてきそうで・・・。




第一回目の弁護士さんたちとの打ち合わせの日時を決めて、

書類はそのまま棚の上・・・。




目を通さなくてはいけないけど、一旦読んでしまったら、

もう穏やかな今の生活には戻れない・・・・。



本当に、裁判を続ける必要があるのかな・・・。



これ以上のことを望んだら、また、不幸が私を襲ってくるんじゃないかな・・・・。



いっそ 止めちゃおうか・・・・。