裁判日記
人それぞれでしょうが、私は彼の亡くなり方を 公にはしていません。
聞かれたら「事故でした」更に突っ込んでくる人には「交通事故でした」と答えています。
後ろめたいから そんなことをするんでしょう・・・って?
ええ、後ろめたいです。
自死という形で家族を亡くして 後ろめたくない人がいるでしょうか。
私は どっちかというと自分の失敗は笑って冗談にして
「私ってばかだねー」と言える人間です。
オープンにしてしまった方が気が楽だし、周りの人も気を使わなくても良いから。
でも、このことだけは触れて欲しくない部分なのです。
まだ、自分の心の中で決着のついていない部分なのです。
いつか、納得できる答えが見つかったら、
今よりも楽な気分で話せる日が来るかも知れません。
でも、まだ今は出来ません。
さて・・・・裁判のことです。
5年が過ぎて 私にとって裁判は、もう、過去のことになり始めていました。
10年、20年 掛かる・・・なんて話も聞きました。
そんなに長いこと人間は 怒りつづ:けられるものなのでしょうか?
私には良く分かりません。
労災の事も、裁判の申請の事も、遠い過去のことになっていました。
今の生活は、お父さんがいない事を除けば、平穏無事で、
子供達も元気に大きくなってくれています。
職場から、少し遠くなったけど何とか、住まいも定まりました。
嵐の時代を乗り越えて、やっとやっと 手に入れた穏やかで落ち着いた日々・・・・。
これ以上望むことはありませんでした。
このまま、ゆっくり年をとっていくんだろうな、それはそれでいいかもね、と思っていました。
新学期の準備をそろそろしなくちゃ・・・。と思っていた1月のはじめ、
ポストに弁護士さんからの書類が入っていました。
そして、来月には、私も法廷に立つのだと 知らされました。
書類の中身は事故当時、夫に関わったさまざまな人達の証言。
怖くて読めませんでした。
もう一度、あの頃の事がフラッシュッバックしてきそうで・・・。
第一回目の弁護士さんたちとの打ち合わせの日時を決めて、
書類はそのまま棚の上・・・。
目を通さなくてはいけないけど、一旦読んでしまったら、
もう穏やかな今の生活には戻れない・・・・。
本当に、裁判を続ける必要があるのかな・・・。
これ以上のことを望んだら、また、不幸が私を襲ってくるんじゃないかな・・・・。
いっそ 止めちゃおうか・・・・。