裁判日記

裁判のこと 7



許す事か゛、許せるようになる事が、生きて行く上での最大の美徳だ 

と言った人がいます。



確かにそうかも知れません。


だけど 今の私には そんな事は出来ません。




確かに、私の責任も大きいのです。


彼を守りきれなかった という自責の念は一生残ることでしょう。


でも、その部分はその部分です。



「私がちゃんとしていなかったから彼が亡くなった。

だから、職場側に責任はありません。」



これは 違うと思います。



「彼の心が弱すぎて こんな結果になりました。

だから、職場側に責任はまったくありません。」



これも、違うと思います。





逃げるだけでなく、彼が死ななきゃならなかった 事実に向かい合って欲しい。



遺族が、黙っているから 、

亡くなった人間の責任感の上に胡坐をかいて、

知らない、わからない、関係ない、



これでおしまいですか?


これで済ませてしまうのですか?



それは違うでしょう?




じゃあ、なにをしてほしいのですかっですって?


お金、ですって?


心からの謝罪、ですって?




そんなもの、そんなもの、そんなもの!


私が 欲しいのはたった一つなんです。





彼を返して欲しい。


彼と一緒に過ごした日に、帰して欲しい。


彼と一緒に作っていくはずだった未来を帰して欲しい。





無理とは分かっているけれど


私が本当に本当に 欲しいものは これなのです。




自分でも、支離滅裂なのは分かっています。


私の欲しいものは、どれほど願っても、永遠に手には入らないものです。





彼の職場に、怒りをぶつけて、


それで、結局何が、変わるというのでしょう?


何も 変わらないかもしれません。


かえって、失うものの方が、多いかも知れません。




でも、


死んでしまった彼の事を思うとき、



知らん顔をして、「ああ、あいつが 全部引き受けてくれたからラッキーだった」なんて、


それで 終わりにされるのは 絶対いやだ。




いろいろな気持ちが交錯していくうちに、法廷に立つ日がやってきます。