裁判日記
許す事か゛、許せるようになる事が、生きて行く上での最大の美徳だ
と言った人がいます。
確かにそうかも知れません。
だけど 今の私には そんな事は出来ません。
確かに、私の責任も大きいのです。
彼を守りきれなかった という自責の念は一生残ることでしょう。
でも、その部分はその部分です。
「私がちゃんとしていなかったから彼が亡くなった。
だから、職場側に責任はありません。」
これは 違うと思います。
「彼の心が弱すぎて こんな結果になりました。
だから、職場側に責任はまったくありません。」
これも、違うと思います。
逃げるだけでなく、彼が死ななきゃならなかった 事実に向かい合って欲しい。
遺族が、黙っているから 、
亡くなった人間の責任感の上に胡坐をかいて、
知らない、わからない、関係ない、
これでおしまいですか?
これで済ませてしまうのですか?
それは違うでしょう?
じゃあ、なにをしてほしいのですかっですって?
お金、ですって?
心からの謝罪、ですって?
そんなもの、そんなもの、そんなもの!
私が 欲しいのはたった一つなんです。
彼を返して欲しい。
彼と一緒に過ごした日に、帰して欲しい。
彼と一緒に作っていくはずだった未来を帰して欲しい。
無理とは分かっているけれど
私が本当に本当に 欲しいものは これなのです。
自分でも、支離滅裂なのは分かっています。
私の欲しいものは、どれほど願っても、永遠に手には入らないものです。
彼の職場に、怒りをぶつけて、
それで、結局何が、変わるというのでしょう?
何も 変わらないかもしれません。
かえって、失うものの方が、多いかも知れません。
でも、
死んでしまった彼の事を思うとき、
知らん顔をして、「ああ、あいつが 全部引き受けてくれたからラッキーだった」なんて、
それで 終わりにされるのは 絶対いやだ。
いろいろな気持ちが交錯していくうちに、法廷に立つ日がやってきます。