演奏時間:約42分
第5番《運命》と同時期に作曲され、初演も同じ日に行なわれました。第5番と違って平和で穏やかな曲です。
ただ、気分的には穏やかでも、音楽的には同じ音型の繰り返しがこれでもかと言うくらい多く、人によっては逆にイライラするかも知れません。この事や、第3楽章以降が切れ目なく続けて演奏されるなど、第5番との共通点も多く、性格の違う双子の兄弟のようです。
各楽章には副題が付けられていて、内容が解りやすいものになっています。
恐らく、この楽章を普通に聴けるかどうかで好みが分かれます。第5番の第1楽章と同様に、ほとんどが反復によって出来ているからです。私はまず、その反復(特に展開部)に惹かれました。
とはいえ、第5番よりは旋律的で、楽器の使い方も格段の進歩を見せています。
小川のせせらぎや木の葉のざわめき、鳥の鳴き声が随所に散りばめられています。終結部には夜うぐいす(フルート)、うずら(オーボエ)、かっこう(クラリネット)の鳴き声の描写があることで、よく知られています。
A-B-C-A-B-C-A’というやや変則的な構成で、Aは集いの中での会話と喧騒、Bは田舎の楽隊の演奏、2拍子になるCは農民のダンスと言われています。
A’ではテンポを速めて盛り上がろうかという所で突然中断し、そのまま次の楽章に移ります。
どうやら音楽的な盛り上がりを作るために入れた楽章のようです。途中、ティンパニとヴァイオリンで雷を表しているのですが、先に雷の落ちる音(ティンパニ)が聞こえ、直後に稲光(ヴァイオリン)が見えるのが面白いです。
やがて再び晴れてきて、太陽の光が差してきます。
前楽章から休みなく続きます。クラリネット、ホルンがヨーデル風の音型を奏し、その余韻の中でヴァイオリンが主題を出します。
平和・喜びの気分が終始変わらぬまま、ホルンが初めの音型を再現しながら曲は終わります。