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ベートーヴェン
 交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 《田園》

演奏時間:約42分

 第5番《運命》と同時期に作曲され、初演も同じ日に行なわれました。第5番と違って平和で穏やかな曲です。
 ただ、気分的には穏やかでも、音楽的には同じ音型の繰り返しがこれでもかと言うくらい多く、人によっては逆にイライラするかも知れません。この事や、第3楽章以降が切れ目なく続けて演奏されるなど、第5番との共通点も多く、性格の違う双子の兄弟のようです。
 各楽章には副題が付けられていて、内容が解りやすいものになっています。

第1楽章 田舎に着いた時の愉快な気分: アレグロ・マ・ノン・トロッポ (速く、しかし速すぎずに)

 恐らく、この楽章を普通に聴けるかどうかで好みが分かれます。第5番の第1楽章と同様に、ほとんどが反復によって出来ているからです。私はまず、その反復(特に展開部)に惹かれました。
 とはいえ、第5番よりは旋律的で、楽器の使い方も格段の進歩を見せています。

第2楽章 小川のほとりの情景: アンダンテ・モルト・モッソ (ほどよくゆっくり、非常に生き生きと)

 小川のせせらぎや木の葉のざわめき、鳥の鳴き声が随所に散りばめられています。終結部には夜うぐいす(フルート)、うずら(オーボエ)、かっこう(クラリネット)の鳴き声の描写があることで、よく知られています。

第3楽章 田舎の人々の楽しい集い: アレグロ (速く)

 A-B-C-A-B-C-A’というやや変則的な構成で、Aは集いの中での会話と喧騒、Bは田舎の楽隊の演奏、2拍子になるCは農民のダンスと言われています。
 A’ではテンポを速めて盛り上がろうかという所で突然中断し、そのまま次の楽章に移ります。

第4楽章 雷雨、嵐: アレグロ (速く)

 どうやら音楽的な盛り上がりを作るために入れた楽章のようです。途中、ティンパニとヴァイオリンで雷を表しているのですが、先に雷の落ちる音(ティンパニ)が聞こえ、直後に稲光(ヴァイオリン)が見えるのが面白いです。
 やがて再び晴れてきて、太陽の光が差してきます。

第5楽章 牧歌、嵐の後の喜びと感謝: アレグレット (やや速く)

 前楽章から休みなく続きます。クラリネット、ホルンがヨーデル風の音型を奏し、その余韻の中でヴァイオリンが主題を出します。
 平和・喜びの気分が終始変わらぬまま、ホルンが初めの音型を再現しながら曲は終わります。

→ 田園交響曲のMIDIページへ


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(C)Shiomabushi
2002-07-30 作成
2007-09-03 更新