竜之介エンディング:早朝の自宅にて
- GM:
- クリスタルボウイとの死闘の数週間後です。
範夫は驚異的なスピードで回復し、この前退院した。
毎日見舞いに行っていた竜之介は、退院できると話してくれた時の範夫の笑顔、そしてその傍らにいた泉の泣き出しそうな笑顔を今でも鮮明に思い出せる。
自宅で少し療養したあと、学校に復帰するときは一緒に登校しようと約束している。
今日はその約束の日の朝だ。
竜之介が登校の準備をしていると、ピンポーンとチャイムの音がする。どうやら範夫が来たらしい。
- 竜之介:
- 「あっ、ノリ兄だ!兄ちゃん急いで急いで」
弟妹に急かされ、プロ並みのスピードで弁当を詰めていく。
「今行くから!ちょっとだけ待ってて!」
台所から大声で叫ぶと、A4サイズのアルミ製弁当箱をキュッと風呂敷に包み、
学生鞄に突っ込んでから、あたふたと玄関に向かう。
「二葉、給食衣忘れるなよ!それから志朗と千里の送り迎え、よろしくな!
美里、今日はお前が最後だから家の鍵閉めて行けよ!そんじゃ、行って来まーす!!」
そして満面の笑みを浮かべて、家の外へと飛び出します。
- GM:
- 玄関には予想通り範夫がいた。照れくさそうに彼は笑う。
「いやー、俺もようやく高校生って感じだよなぁ。今日からよろしく頼むぜ!竜!」
と軽く挨拶したあと、
「あ、そうだ。姉貴からおまえに弁当を渡してくれって頼まれてたんだよ。竜も弁当持ってるからいいんじゃないか?って言ったら、
『部活とかで腹が減るからあっても困らないでしょ』だってさ。まあ、俺の快気祝いってことらしいんで受け取ってくれないか?」
とB5サイズ(竜之介のより少し小さい!)を渡す。
- 竜之介:
- 「やったぁサンキュー!泉さんの弁当だったら別腹で3個は行けちゃうよ。
・・でも、実は俺が早弁してるってコト、泉さんにバレてるのかなぁ?」
照れくさそうに頭を掻きつつ、ありがたく弁当を受け取ります。
- GM:
- 「なんか、久しぶりなんで緊張するなぁ。やっぱ、軽く自己紹介しないとだめか?転校生みたいに?」
と軽口を叩きながら歩き出す。
- 竜之介:
- 「そうだなぁ、黒板に名前書いた方がいいかもしれないぜ?だってお前」
冗談めかして言っていた言葉が不意に詰まり、範夫から視線を逸らす。
「本当に・・別人みたいに、元気になったもんな」
そのいかつい横顔には、しっかり涙が伝っているのだった。
- GM:
- 「おいおい、何も泣くことはないだろ。お前って本当に泣き虫だよなぁ。」
と苦笑する範夫だが、彼も自分が泣いていることには気がつかなかったようだ。
「さ、とっとと学校に行こうぜ。復帰初日が遅刻じゃそれこそ格好つかないもんな。」
歩き出す二人。向かうは学校だ。今日はクラス全員きっと盛り上がるだろうな。
でも、竜之介は知らない。彼を待ち受けている悲劇を。
クラスが盛り上がる主役は竜之介なのだ。
何故って?
彼は知らない。泉の作った弁当にはそぼろで大きなハートマークが描かれていることを・・・。
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