オープニングシーン01:病院にて…哭きの竜
GM
今日も気合を入れて空手に打ち込んだ後、竜之介は友人の入院している病院へと向った。もう日課となっている。
範夫、早く元気になるといいな。心の底からそう思う。そろそろ退院できるって言っていたようだが。
県立高崎病院1402号室「高森範夫」と書かれている病室に竜之介が入ると、範夫はうれしそうに竜之介の顔を見た。

竜之介
「範夫の学友の竜之介と申します!お邪魔するッス!」
病室に入るや否や、同室の患者に直角お辞儀をする竜之介。
「はいはい、わかってますよ〜」「毎日熱心ねぇ」等と苦笑交じりに挨拶を返される。
「聞いたか?来月、新しいCDショップが学校の近くに開店するってさ。退院したら、早速行って見ようぜ。あ、それから、漫画持ってきたよ。
元気になってきたら入院生活が退屈で仕方ないって、昨日言ってただろ?
家にあるヤツだから、兄弟読みまわしてて、ちょっとボロっちいけど・・」
そう言って、表紙がボロボロの漫画雑誌を何冊か範夫に渡す。
それから授業をまとめたノートも渡して、竜之介はにこやかに学校や部活の様子を話し始めた。

GM
「サンキュー竜。いつもすまないねぇ。ゴホゴホ。」
と冗談を交えながら、竜之介からの漫画とノートを受けとる。
CDショップかぁ。うん、行ってみようぜ。でもお前、試聴コーナーでかつやまひろしの『我が良き友よ』を聞いて号泣するのだけはカンベンな。」
と、苦笑しながら範夫がヘッドホンを掛けるマネをして竜之介をからかう。

竜之介
ぐは!竜之介イメージソングに採用(笑)こんな歌あるんですね〜
「何だよぉ、あの歌は奥が深いんだぞ。男同士の厚い友情は一生モンじゃないか」
顔を赤らめて言い返す竜之介。

GM
「あ、そうそう、竜に渡すものがあったんだ。冷蔵庫に姉貴の作ったクッキーがあるから持っていってくれってさ。」
範夫の病室には沢山の写真がところ狭しと置いてある。姉の泉が撮ったものだろう。何気ない町の人混みの写真とか、学校の校庭とか、日常の風景写真がメインだが、どの写真にも何故かネコが入っている。

竜之介
「あ、いつもごめんなぁ。みんな喜ぶよ。泉さんのお菓子はプロ級だもんな。ウチのちぃ子(末妹、本名は千里)なんか、店のお菓子より美味しいって、ほっとくとみんなの分までバクバク食べちゃうんだぜ」
病室の写真を見回す。また何枚か増えたみたいだ。泉さんの写真を見ていると何とも優しい気分になって、何気ない日常生活の大切さを再確認できるんだよな。
「泉さん、お菓子だけじゃなくて写真も上手だよな。創造力が豊かってことかな?」
ただでさえ細い目を更に細くして、写真に見入る。
・・ネコ、好きなのかな?

GM
「ああ、その写真か? 姉貴は昔から写真が好きだからなぁ。」
と、写真を眺める。
「俺に気を使ってるんだよ。本当はネコとか動物の写真が好きなくせに、外に出られない俺のためってわざわざ町まで出て撮ってくるんだ。もう、そんなことどうでもいいのにな。」
と照れ隠しに鼻の頭をぽりぽりと掻く。

竜之介
「そっかぁ。優しい雰囲気の写真だと思ったけど、心がこもっているからなんだな。範夫のこと、本当に大事なんだよな・・・」
言葉尻が震え、たちまち竜之介の双眸にこんもりと涙が溢れ出す。

GM
そんな竜之介を見てふうっと寂しそうに笑う。

竜之介
範夫の元気のない様子に気づき、ゴシゴシと袖で顔を拭って気を取り直す。
「どしたの?まぁ、コレ飲んで元気だしなよ」
と、鞄から小さな瓶を取り出して範夫に渡す。瓶の腹には、<赤まむしドリンク・ふぁいとイッパツ!!>と毒々しいピンクのラベルが貼ってある。
「デパ地下で何本かもらった試供品だけどさ。俺も飲んでみたけど、結構効くよ」
爽やかに笑う竜之介。

GM
「・・・おまえなぁ、まむしドリンクでふぁいとイッパツって・・・もうギャグっていうかこれはシモネタだろ・・・・」
と苦笑する範夫。そんな範夫を見て頭の上に「????」が浮かんでいる竜之介。
「そういえば、竜は姉貴と学校で会ったりする?なんか最近姉貴の元気が無いようでさ・・・っていうか、ちょっと様子がおかしいんだよ。」

竜之介
「泉さん?うーん、学年も部活も違うから直接会ってないけど、部活とか授業は普通に出てるみたいだよ。
様子がおかしいって・・どうかしたの?」

GM
「そっか・・・あのな、姉貴なんだけど、なんか妙に疲れた顔をしているんだよ。なんか無理してるっていうかさ・・・・。俺には気づかれないようにって思っているようだけど。それで、独り言のように『早く見つけないと。』とかつぶやいているんだ。すっげー気になるんだよな。明日学校とかでそれとなく聞いてくれないかな?姉貴もお前なら何かしゃべってくれるかもしれないしさ。」

竜之介
うーん、範夫に打ち明けられなくて、何か探してるみたいなのか。範夫から貰った物か、範夫が大事にしている物でも失くしたんだろうか?もしそうなら、俺も一緒に探してあげるとか、お手伝出来そうだなぁ。
「わかった。さっそく明日の昼休みにでも、泉さんの教室に行ってみるよ。だから範夫はあまり心配しすぎないで、治療に専念してなよな。何かわかったら、すぐ報告するよ」

GM
「ありがとう。やっぱ竜は頼りになるよな。」と相談して良かったとホッと息を吐く範夫。ここでシーンを切りましょう。
見舞いの時間も終り、竜之介は病室を出て帰路につく。
クエストは「泉の悩みを解決する」です。


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