Smoke on the Water
GM
暗闇の実験室には薬品とビーカーが散乱していた。
そして部屋の片隅に人が入れるほど大きな水槽がある。
水槽を満した液体の中に蠢く肉の塊が沈んでいた。それは周期的に脈動するもの言わぬ肉塊。
水槽の前の女はそれを見て静かに話しかける。
「かわいそうに。でも、もう大丈夫よ。」
彼女の手には黒い宝石のようなものが握られていた。
禍々しくも蠱惑的なそれは「アビスシード」。生物を奈落に引き込む呪われた「種」。
彼女がそれを水槽のなかにポトリと落とす。
「これであなたは自由。さあ、好きなことをやればいいわ。そう、あなたが一番やりたいことをね。」
培養槽から黒い煙が吹き出し部屋に充満する。煙が晴れると女はもういない。
そして、水槽の中のそれは目覚めた。


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