エンディング・・・キキ
- GM:
- 昼休みの学食は相変わらず喧騒としていた。その中で一人静かに昼食を取るキキ。
キキの向いの席にトレーがどすんと置かれる。キキが顔を上げると
「やっほー。キキちゃん。」
とトレーを置いた主が声をかける。ウッちゃんこと深海潮、いや、今は遠野の妹なので遠野潮だ。
奇妙なことに、遠野潮も周りの学生も記憶が掏り替わっていた。
深海潮の人生が遠野潮の人生になっている。ただ、違うのは彼女の家が研究所ではなく遠野の家になったこと。
さびしいみずではなく、あたたかい肉体で生きていることだ。彼女では研究所での出来事の記憶は一切残っていない。
真実を知っているのは、キキとその仲間たち、ルイ、クリアン、ツェッペリン、そして遠野未来だけである。
- キキ:
- これも≪ガイア≫の力かしら?
では私も周りの人たちと同じように、自然にウッちゃんと接します。
そして私を見たウッちゃんは驚く訳です。
なにせウッちゃんの目の前にいる私は、髪をショートにバッサリと切り、伊達メガネも外して、真っ直ぐにウッちゃんの目を見ているのですから。
- GM:
- 「っって、あれあれ!!イメチェン?」
とキキの顔を覗きこんで、
「うん。キキちゃんにはこっちの方が似合っているな。」
- キキ:
- 「ありがと。そう言ってもらえると嬉しいな。もう自分を隠すのはやめようと思って。」
笑顔で応える私ですが、実はひとつ隠し事があります。この髪型、ウッちゃんを意識している事は内緒の方向で。
- GM:
- 「あのね、キキちゃん。大ニュースなんだよ。若葉山の方で未確認生物を見たって噂があるんだよね。」
- キキ:
- 「あはは、ウッちゃん、食事の時間くらいは落ち着こうよ。」自然な笑顔が溢れます。
「・・・でも、それの情報は落ち着いてられないわね。で、会長。いつ調査に向かわれますか?」
左腕で頬杖を付き、悪戯気味な目線を送ります。小学校の悪ガキ同士の作戦会議みたいな感じで。
私にはもう、堅い殻はありません。だって、本気で話せる親友が、近くにいるから!
GM: - それを聞いて
「うむ。良くぞ申した。キキ殿も会員の自覚が出てまいりましたな!」
としたり顔でフムフムと頷く。
「そりゃ、今晩すぐに決まっているっしょ。
私たちが最初に見つけて友達一号、二号になる『未確認生物100人と友達計画』は誰にも邪魔されてはならないのよ!!
あ、もちろん私が一号でキキちゃんが二号ね。」
- キキ:
- 私は一文字隼人ですね。
『未確認生物100人と友達計画』、そうきましたか!ウッちゃんの言動は全てここに繋がっていた訳ですね。
私は出会った時からウッちゃんの事を誤解していたようです。反省。
「それじゃあ待ち合わせはまた私のお店だね。ジジも喜ぶと思うよ。ウッちゃんの食べっぷりは見てて気持ちいいから。」
- GM:
- とウッちゃん興奮しているところに、
「・・・もう少し静かにしなさい。キキさんの言う通りよ。全く。」
と後ろから声。遠野未来がメガネの位置を直しながら苦笑している。
「キキさん、バカな妹ですけどよろしくお願いしますわね。」
「むー、実の妹にバカは無いっしょ、バカは。今キキちゃんとは機密作戦会議中だから邪魔しないで頂戴。」
- キキ:
- 「遠野先生、こんにちは。今の話聞きました?私達の大いなる野望なんですよ。」
『未確認生物100人と友達計画』に賛同する私。
「そこで、提案があります。オカルト同好会を正式な同好会として申請します。名称は・・・、」
すこし間を取って、思い切って言います。
「まるでアクアブルーの海の様な素直で透き通った心を持った会長と、エメラルドグリーンの珊瑚礁の様にそれを下で支える補佐役の私(自分で言うか!)。名称は、『青い珊瑚礁』でどうでしょうか?」
これが私の、生まれて初めての自己主張です。
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