食べ歩き松江

 松江の城下町を今までに三度訪れているが、何故か自分の中で朝昼晩の
食事に気に入ったお決まりパターンがある。
 まず、朝はワシントンホテル(松江ワシントンは茶色の落ち着いた建物)の
朝食バイキングで和食を選択し、朝粥に宍道湖名物のシジミの味噌汁を飲む。
味噌汁を何杯もおかわりしてホテルの従業員の視線が冷たい。
 昼は城の裏手に武家屋敷が残る塩見縄手の「八雲庵」で出雲蕎麦。出雲
蕎麦は蕎麦殻を挽きこむためやや黒っぽい色をしている。八雲庵は武家屋敷
をそのまま蕎麦屋に利用したもので江戸時代へタイムスリップ。蕎麦の味は言
うまでもなく美味しく、ツルツルとお腹に入る。池で錦鯉が泳ぐ和風庭園がとて
も気に入っている。
 江戸時代の風情を楽しみながら、割子蕎麦を腹が苦しくなる程食べ過ぎてし
まう。全国の蕎麦も色々と食べ歩いてみたが、信州の戸隠蕎麦と双璧で出雲
蕎麦も美味しい。これは多くの蕎麦通と意見が一致している。
 夜は松江大橋近くの大橋川に面した皆美館に入る。玄関前には外車や黒塗
りの自動車が停まっていていかにも敷居の高そうな料亭だが、ジーパン、ポロ
シャツで玄関をくぐってしまう。
 この皆美館のタイ飯は癖になり一度食べたらタイ飯中毒の患者になる。高級
なお茶漬けと表現すれば一言で終わってしまうが、とても品がありゆっくりと味
わいながら食べるお茶漬け。間違っても居酒屋で飲んだ後にお腹に流し込む
梅茶漬けと一緒にしてはいけない。
 いずれにしても、この町も旅人の食を充分に満たしてくれる。かつて松江の殿
様に、お茶をこよなく愛した松平不昧公という武士からぬ名君がいたそうで、金
沢のように松江城下にも茶店、和菓子店が多い。三時のお茶をする処には事
欠かない。和菓子は見ているだけで芸術で食べるのがもったいなくなる。紅茶
にケーキもいいが、緑茶に和菓子を愛でながらいただく心も大切にしたい。

トップのページへ戻る
水の都 松江

皆美館

明治21年(1888)創業の老舗旅館。文人の宿と
して知られ、小泉八雲、島崎藤村、与謝野鉄幹、
晶子夫婦などが宿泊。

松江びと 古きならひにしたがいて 
                 よべる末次 本町のやど


                      与謝野晶子

津和野「山陰の小京都」

トップのページへ戻る

島根県松江市

塩見縄手の「出雲庵」

武家屋敷の落ち着いた佇まいの中、鯉
を眺めながら出雲蕎麦を楽しめる。
城下町松江を訪れた時の定番。