伊勢志摩方面へのドライブは、夕食中に衝動的に決まった。前にその方面を
ドライブした時の印象が良かったことと、ボーナス直後で懐にも余裕があった。
台風が紀伊半島に近づいているにもかかわらず、東名高速を西へとアクセルを
踏み込んだ。沼津、静岡、浜松と西へ向かうにつれて風が強くなってきた。
名古屋を過ぎ三重県の松坂の辺りから風雨も強くなった。雨がフロントガラス
に叩きつけられ、ワイパーが忙しなく動いた。NHKラジオからは台風情報が流
れ、いつしか嵐のドライブを楽しんでいた。食事は横殴りの風雨で車から外に
出られないため、ファーストフードのドライブスルーで済ませることにした。
観光どころではなかったが、旅はアクシデントやトラブルも楽しい・・・・。
伊勢まで南下すると台風も次第に通過しつつあり、雨脚も落ち着いてきた。
折角なので傘を差し伊勢神宮を散策することにし、外宮、内宮を参拝した。さすが
に伊勢神宮の森は神々しい雰囲気に包まれていた。辺りに漂うマイナス・イオン
の気持ちいい空気を思い切り吸い込み玉砂利を敷き詰めた広い参道を歩いた。
俗世から隔離された神域は五十鈴川の清流と原生林に守られ、悠久の歴史の
重みを感じた。歴史或る場所には凛とした緊張した空気が満ちている。
神宮の門前町である「おはらい町」で赤福を食べた。長いドライブと軽い散策の
疲れにあんこの甘味が旨かった。江戸の庶民もお伊勢参りの旅疲れに同じ思い
を抱いたことだろう。
温泉に泊まりたかったので鳥羽本浦温泉のホテルに泊まった。宿の自慢は「ま
ろびね庵」という大浴場棟で、広い内湯と露天風呂にアルカリ性単純泉が湯船を
満たしていた。どんなにきついドライブでも温泉に入って体があたたまる頃には、
旅情を感じつつ幸せな気分になる。だから旅はやめられない・・・・・。
浴衣に着替えて、部屋でビールを飲みながら海の幸を楽しんだ。台風でキャン
セルも多かったらしく食事もサービスが良く、てきぱきと動き回る仲居さんもとても
感じがよかった。宿の印象は仲居さんの立ち居振る舞いで決まる。
アルコールも程よく回り、海に面した部屋の窓を開けた。カーテンを動かしつつ
台風が南の海から運んできた生暖かい潮風が流れ、上気した頬に気持ち良かった。
伊勢神宮名物の赤福。旅の疲れに美味しい
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三重県伊勢市・鳥羽市