蔵造の町　栃木市

真夏日の休日、快適に東北道のドライブを楽しみ蔵造りの栃木市を訪ねた。
万町、入舟町の辺りに古い蔵造、商家が残り、同じ蔵造りの小江戸川越（埼玉）
と佐原（千葉）をミックスしたような雰囲気だった。
　かつては運搬用の川舟に使われたであろう水路と黒板張り白壁の商家、そし
て柳並木とのコントラストはいい情緒だった。明治、大正頃のものかコンクリート
の橋もお洒落だった。袴や人力車が似合いそうな雰囲気を残している。かつて
の繁栄を物語る豪商の屋敷、商家のステイタスである蔵造り、洋館の病院など
散策していると頻繁に目にとまる・・・・・・。栃木観光は日光、那須がクローズアッ
プされがちだが、栃木市散策も楽しい。

　栃木市は「路傍の石」「真実一路」などで有名な山本有三の故郷。戯曲「米百俵」
も小泉総理大臣の初心表明演説で有名になった。明治２０年（１８８７）に町の呉服
店に生まれ、作家であるとともに参議院議員、文化勲章受賞と大活躍をした。昭和
４９年（１９７４）に療養先の国立熱海病院で亡くなり、栃木市の菩提寺近龍寺に眠っ
ている。
　万町の蔵作り商家の町並みに「山本有三ふるさと記念館」があり、一時期住んで
いた東京都三鷹の洋館も記念館になっている。旅をしていていつも想うことの一つ
に、豊かな風土、情緒のある土地からは優れた文化人が生まれ、著名な作家の
故郷、滞在先をテーマにした旅も興味深い。