第5話:なにが飛び出す?軍艦島【2】
そして、軍艦の中を探索するが…
「あるはずござんせんよ…こんな鉄サビの塊だらけにねぇ…」
「それに、このくそ暑さ、何とかしてくれ…」
彼らは徒労に終わった上に、この暑さと空腹でダウン。そこへ、ガクシャの悲鳴が聞こえてきた。
ヨイショ達が駆けつけると、ガクシャはドラム缶の下敷きになりかかっているのを、必死に木の棒で食い止めていた。
それを、すんでのところをヨイショが救出した。
「一体、何をやってたんだよ?」
半分、苛立ったヨイショの声にガクシャもちょっとムッとする。
「何をしていただ、なんて失礼な…我輩は、今頭脳と英知の全てをかけて…」
しかし、空腹のあまり腹に力が入らない。そしてそれは、みんなも同じこと
「腹減ったー」
の合唱が、軍艦に響き渡る。
そんな中、ボーボは独り軍艦を抜け出して、密かに隠しておいたリンゴを取りに行っていた。
彼の目論見は、そのりんごを一人占めすること。ところが、いざという時ウミネコの大群が、ボーボに襲いかかってきた。
慌ててボーボは軍艦の中に。そしてウミネコをやり過ごしてホッとしていたら…
「すごいや、ボーボがリンゴを持ってきてくれたぞ!」
ガンバ達に見つかった上に、勘違いした彼らに、りんごは持っていかれてしまう。
「さて、たった一つのりんごであるからして、公平に一噛りづつとまいりましょう」
ガクシャの仕切りで、彼らはりんごをいただくことに。ガンバに続いて、イカサマが登場
「一噛りならいいんスねえ…一噛りなら」
意味ありげに呟くと
「ひ・と・か・じ・り…!」
と、言うが早いがリンゴの周りを一息に何周もして、口に頬張ってしまう。
「この野郎!いかさまだってーの!」
怒ったヨイショが、イカサマの頭にゴツンと一発。しかしイカサマは悪びれた様子もなく
「しゃあないじゃん、あっしはヨイショみたいに大きな、下品な口じゃ…」
「何ーっ!大きな下品たあ、何だ?」
ケンカを始める彼らに、ガクシャが割って入る。
「よしなさい!もう、食べ物のこととなるとすぐこれだ!」
と言いながら、彼もまた両手で口を目いっぱい開けて…
「えっ、ドラム缶を俺たちの乗る船に?」
ガクシャの「計画」を聞いて、ガンバ達は感心しきり。そして、その「計画」を聞いていると
忠太が食料を見つけたと言う。行ってみると、水底にたくさんのカンヅメが沈んでいる。
早速、ガンバがそれを取りに行こうとすると…
「……!」
物陰から、大きな魚が姿を現わし水面で大きく跳ねた!
「あれは、ハタと言う凶暴な魚ですな。どうやら、ここに棲みついているらしい…」
折角のカンヅメを前に、手が出せない彼ら…
「上にはウミネコ、下にはハタのバケモンか…えれえところへ来ちまったなあ」
「それにこの暑さ…何とかしてくれぇ」
「鉄錆の固まりの中にいるんだ。どうしようもねえよ…」
暑さと空腹に耐え兼ねて仲間がぼやく中、ガクシャは独りドラム缶の「改造」に動き出す。
一方、ガンバはフラフラの身体でどこかへ行こうとする。
「おい、ガンバ…どこに行くんだよ?」
ヨイショの問いかけに、ガンバはパイプに頭をぶつけながらも
「決まってんじゃんか…カンヅメを取りに行くのよ」
「何だ…そうか…」
だが、事態に気づいたヨイショは慌てて仲間と共に止めに行くが、ガンバは鉄兜を舟代りにハタのいる場所へ…
「よぉー、今たんまり食料を持っていってやるでよー」
心配そうに成行きを見守る仲間達に、ガンバは呑気に声をかける。すると下から、ハタの巨大な陰が…!
「来たな、野郎!」
ガンバは武器を持って身構えるが…
「あ、いっけねぇ…ち、ちょっとタンマ…」</div>
緊張のあまり、まずは用を済ませて…
「いざ…あああっ!?」
ハタに立ち向うも何も、あっさり海に落とされてしまう。それでも、海中でハタ目掛けて泳いでいくが…
とても太刀打ちできる相手ではない。しかも、息が苦しくなってきて…
「しっかりしろよ、ガンバ!」
ヨイショに胸を押されて、水を吐き出したガンバは息を吹き返したが、開口一番
「あー…腹減った…」
「ワーッ!バカバカ、それを言うなーっ!ああ、どうしよう…また思い出しそう…」
たちまち、ヨイショ達の腹の虫が大合唱。ぐったりとする彼らのところに、ご機嫌そうなガクシャが来た。
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