「さあ、どんどん食べてくれ。おめぇの鼻も、たまには役に立つぜ。ハハハ…」
「でかしたぜ、ボーボ」
「さあ、明日は忙しくなるぞ」
思いがけない情報を持ってきたボーボに、ヨイショ達は上機嫌。ボーボも夢中で木の実を頬張っていた。
その夜、仲間たちが寝静まる中ガンバとクリークは、月を見上げていた。
「クリーク…俺たち、やるぜ」
「すまないな。でも、無駄死にだけはするなよ。どんなことがあっても、生きてくれ」
「そう簡単にザクリに殺されやしないさ。明日になりゃ、勝利で全員大騒ぎだぜ」
ガンバの言葉に、クリークも笑顔を見せる。
「ところで、ザクリの住み処…あれで分かるのかい?」
ガンバの問いかけに、クリークは少し真剣な表情を見せた。
「いや…分からないと、言った方がいい。ゴーッって音と、白い大きな木か…出来ればもう少し手がかりが欲しいところだ。
全勢力をかけて捜し出すしかない。きっと、見つけてみせるさ…」
そんな二人の会話を、陰で聞いていたイカサマは、ヒョイとサイを投げた。その出目は…
“ピンゾロの丁か…ようし、やるぜ!”
そしてイカサマは、独りその場をそっと抜け出し、ニヤリと意味ありげに笑うと森の中に消えた。
一方、ガンバはうなされていた。ザクリに立ち向かったものの、その大きな爪にやられて…!ガバッと起き上がって、辺りを見渡したガンバは
「…夢か」
再び横になろうとして、ガンバはイカサマがいなくなっていることに、気づいた。
「イカサマの奴…」
その頃、イカサマは夜の森をうろつくザクリを、背後からつけていた。ザクリが森を駈けるのを自慢の足で追うイカサマ…
だが、ザクリは尾行する影に気づいていた!
「ハッ…あわわわっ!」
突然、ザクリがこちらに向かって襲い掛かってきた!
「わ、わあああっ!」
ザクリに追われる立場になったイカサマは、逃げるのに精一杯。ついに、崖っぷちに追いつめられてしまう。足元は倒木
足を踏み出しただけで、崩れてしまう。そして目の前にはザクリが迫り来る!
「わああああっ…!」
ザクリに襲い掛かられて、イカサマは崖下にまっさかさま。ザクリの遠吠えが響き渡る…!
明け方、朝もやの立ち込める森の中から、ヨロヨロと影が近づいてきた。それは、手傷を負ったイカサマだった…
「イカサマ…イカサマが帰ってきたっ!」
ガンバの声に、仲間たちも飛び起きた。
「こ、こんの野郎、心配かけやがって!一体、何をしてきたんだ!?」
思わず怒鳴りつけるヨイショに、イカサマは
「へへ、ザクリの奴とちょいとマラソンをね…」
「やっぱりそうだったのか…」
「ザクリの奴、俺をまこうと一晩中走り回りやがってな。へへ、付き合いも大変だぜ…ほー」
そして、疲れたのかゴロンと横になりながら
「湖の奥によ、ストンと切れ込んだ谷があるんだ…そこんとこに大きな滝があってな…そのそばに、白い大きな気があったぜ。
その横よ、ザクリの住み処は…」
「そうか、ゴーと言うのは滝の音だったのか…」
クリークも、この情報には思わず感心したような声を上げた。
「さすが、イカサマだ。すごいぜ!」
ガンバは思わずイカサマのもとに寄ろうとするが、イカサマはそのまま寝込んでしまう。
「一晩中、走り回ったんだ。ちょいと寝かせてやろうぜ」
その姿を見たヨイショが、ガンバの肩に手をかけて言った。
「うん。よおし、イカサマが起きたら出発だい!」
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