第3話:忠太を救え!大作戦【2】
「よおし、俺が船を下りて薬を取ってくる。」
ガンバとヨイショは、同時に同じことを考え、行動に出ようとしたが…
「うぬぼれるな、こういうことはヨイショ様の仕事よ。」
「てやんでぇ、ガンバ様を見損なうなってんだ。」
と、ふたりは取っ組み合いを始める始末。
「どちらでもええの!」
シジンが、思わず大声をあげた。
「…早く、薬を頼みます。」
「でした!」
ふたりは甲板に向かうが、向こうから人間が!しかも、猫を放した。それを見ていたふたりは、ジャンケンを始める。
その結果、ヨイショが猫を引き受けガンバが薬を取ってくることに。そして、イカサマ同様、貨物に乗って港に降りようとしたが
そこへボーボが付いてきてしまう。おいらの鼻なら薬屋は一発で見つかると、ボーボは胸を張る。港に降りたガンバ達は
早速薬屋を探すがなかなか見つからない。ボーボの鼻も食べ物ばかり嗅ぎ付けて、イマイチ役に立たない。
「イカサマの奴、薬屋がすぐにでもありそうなこと言って…これじゃ、ホントのイカサマだよ!」
すると、ボーボの鼻が匂いを嗅ぎつけた。この近くで匂うという。しかし、ボーボは薄暗い中へ入っていく。
どうも、薬屋がある様子ではない。それもそのはずそこは、映画館だった。スクリーンの怪獣に思わずビビるガンバだが
「何でぇ、映画じゃないか。」
と、虚勢を張る。一方、ボーボは…
「(匂いが)するよ、ホント近い感じ。」
「よござんすね…入ります!」
その頃、イカサマは賭場を開いていた。
「さあ、張った張った、張っちゃいけねぇ親父の頭、張らにゃ食えねぇ提灯屋、さあ丁か半か?」
しかし、張ったのはその中の一匹が半に張っただけ。
「やれやれ、シケてるねぇ…たったひとりかい?」
「てやんでぇ!お前に巻き上げられて、もう張るモンが無ぇんだよ!」
「でしたっけ!じゃ、勝負!…ピンゾロの丁!」
「ダーッ、またやられた…」
「まあ、今回はあっしが帰った祝いの勝負、堪忍しておくんなせぇ。」
「んー、イカサマ素敵。チューしちゃおうかしら…」
「よせやい、シッポが赤くなるぜ…」
傍らにいた美人におだてられ、イカサマはますます上機嫌。そして、その場を去ろうとした時…
「……!」
仕掛けのサイコロを不覚にも落としてしまう。慌てて拾い上げ、その場を去ろうとしたが
「待ちやがれ!」
彼の目の前に、フォークが飛んできて…行く手を阻む。
「おい、今見たな?変なとこからサイコロが転がったのをョ!?」
コケにされていたことを知ったボスネズミは怒り心頭。
「おい、イカサマ…てめぇ、修行の旅から帰ぇっても、悪い癖が抜けてねぇようだな?」
「て…てやんでぇ、悪い癖は生まれつきでぇ。」
「何?今度は街を追い出すだけじゃすまねぇぞ!野郎ども、ギッタギッタにしちまぇ!」
「おうっ!」
と、そこへ事情を知らない呑気な声が…
「あーっ、あったあった!」
何と、ボーボはイカサマが巻き上げた「賭け」の食べ物の匂いを嗅ぎつけたのだった。
「カーッ、まーた食いモンかよー?」
呆れるガンバは、顔見知りがいることに気付く。
「イカサマじゃねーか、いいとこで逢った薬屋どこにあるか、教えてくれよ。」
「んー、じゃ、行くか?」
「うん。」
「よーし、行こう!行こう!」
イカサマは、ガンバ達を道連れに包囲を突破しようとしたが失敗、完全に囲まれてしまった。
「面倒くせぇ、後から来たガキどもと一緒にタタンじまえ!」
ガンバ達、絶体絶命のピンチ…!
「やっちまえーっ!」
ボスの号令で、ガンバ達に手下が一斉に襲い掛かる。ガンバは訳が分からないまま、袋叩きにされ隙を見て逃げ出そうとした
イカサマも捕まって、胸座捕まれパンチの集中砲火を浴びる。だが、ついにガンバも怒り心頭。
「てめーら、片っ端からひと噛りだーっ!」
反撃に出たガンバに、手下はあえなくダウン。
「ヘン、こんなとこでグズグズしてちゃ、忠太の薬どころかノロイ島へも行けやしねぇ。」
この言葉に、ボスたちは敏感に反応する。
「ノロイって…あの白イタチの…?」
攻撃の手が緩んだ隙に、イカサマはその手から離れる。
「そうよ、その白イタチよ。この連中はなそのノロイに挑戦しようっていう、すげー連中さ!」
ボス達が、これにすっかり気を取られているのを見たイカサマは、ガンバ達に言った。
「そぉれ、今だ!ずらかれっ!」
ボスネズミは、イカサマにしてやられたことに気付き慌てる。
「しまった、逃がすな追えーっ!」
だが、イカサマ達は巧みに追っ手をまいて街中に逃げた。
「…ここまで来りゃ、安心だ。それにしてもノロイの噂は相当だね。そこでどうだい?ノロイへ行くなんて馬鹿な考えは捨てて
この街で一緒に暮らさねぇか?」
ご馳走に毎日ありつけると聞いて、ボーボはその気になるが、ガンバは忠太のために早く薬を取って帰るのだと譲らない。
「そんな、シッポの堅ぇこと…」
説得するイカサマだが、ガンバに睨まれて薬屋へ案内する。
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