第3話:忠太を救え!大作戦【3】
その頃、船の中では相変わらず忠太が苦しんでいる。そして、猫に襲われそうになっていた仲間を救うべく、ヨイショは囮になって
猫と闘っていたが、やがて戻ってくる。腕に怪我をしていたが、猫を海に叩き落としてきたという。そして、忠太の様子を心配そうに
見ていたが…突然、船が揺れ出した。エンジンを駆けはじめたのだ。その時、ガクシャが自分に任せろと走り出した。船を止めるつもりだ。
「こういうことは、科学的に解決すべきなのです。」
そういいながら、エンジン室に忍び込んだガクシャは、とこをどうすればいいのか分からない。ヤケクソだと、手当たり次第噛り出す。
そのうちの一本が見事大当り。重要な配線だったと見えて、ガクシャは感電しながらもエンジンを止めることに成功する。
一方、ガンバ達はイカサマの案内で薬屋へ。そこでイカサマと別れて、化膿止めの薬を探す。
「あれは、一年前のケンカで猫にこのシッポを食いちぎられた時につけたんだから…」
と、目的の薬を発見して大喜びのふたりだが、ガンバは大声を出すしボーボはアンプル剤を倒して大音響をたてる。しかも…
「いっけねぇ!薬屋に猫がいるのを、言い忘れてたぜ。」
イカサマの言葉通り、彼らは薬屋の飼い猫と鬼ごっこをしていた。何とか、塀の穴から抜け出して難を逃れたガンバ達は
急いで船へと戻ることに。
船では、ヨイショが帰ってこないガンバ達に、苛立ちを隠せずにいた。
「もしかして…ひょっとして、逃げたんじゃないんですかね?ノロイへ行くのが怖くなって土壇場で裏切った…ふたりしてね。」
「そういや、ボーボの姿が何時の間にか消えている…!」
「あのふたりは親友、示し合わせたということも、十分考えられる…」
ガクシャの勘繰りに、ますます空気が重くなる。その頃、ガンバ達は、必死に港に向かって走っていたというのに…
「……!」
突然、目の前にフォークが飛んできて行く手を阻む。そして、さっきのボスネズミと手下達がガンバ達を取り囲んだ。
「網にかかったな…さて、イカサマをここに出してもらおうか?」
「知らないよ…あいつとはさっき、別れたもの。」
「とぼけるんじゃねえ!その手には乗らねぇよ!」
さっきのこともあり、ガンバは意地でも突破しようとするが失敗。再び大立ち回りを演じる。しかし、多勢に無勢で手下達に捕まってしまう。
そのピンチを救ったのが、何とイカサマ。
「グズグズしてねぇで、さっさとノロイへ行っちまえってんだ!」
「いい気なもんだぜ、おめぇのせいでこうなったんだ。」
「ああそうかい、そいつは悪ぅございましたね!」
「ホントに、悪い奴だよお前は!」
だが、割って入ったボーボはそうは思わないと言い、イカサマも一緒に行こうと言う。
「冗談、俺はわざわざ死にに行くほど馬鹿じゃねぇってことよ。」
と、船の汽笛が聞こえてきた。
「さあ、早く行っちまえってんだ!」
ガンバ達を逃がし、自分は立ち向うふりをして、イカサマはタンクの上に立つと遠ざかるガンバ達に向かって叫んだ。
「おめぇにひとつ、聞きたいことがあるんだー!どうしてノロイへ行く気になったんだーっ?」
ガンバが答える。
「んなこと、俺にも分かんねーっ!ただよー、ただ…海へ出ろ、ノロイへ行けってシッポが疼くんだよーっ!」
その答えに、イカサマはポツリと呟いた。
「シッポが、疼く…か。」
船の中では、小さな「疑惑」が次第に決定的なものになっていき、ヨイショ達は苛立ちを隠せないでいた。船を止めようにも
警戒が厳重になって、うかつに近づけない…
「ちきしょーっ、ガンバーっ!」
ヨイショの絶叫を残して、船は岸壁を離れる。間一髪、間に合わなかったガンバは泳ごうとするが、ボーボに止められる。
すると、途方に暮れていた彼らに、イカサマの声が!
「ウスノローッ、早く来ーいっ!」
イカサマは、細工したサイを投げて船に上手く引っかけた。それに掴まり船へとジャンプ。
「ノロマなおめぇらのことだ、こんなことじゃねぇかと思ったぜ。」
ガンバとボーボも互いのシッポを掴んで何とか船に乗り込めた。
「ガンバ様、薬を持って只今、到着ーっ!」
そして…
「おい、イカサマ。おめぇも何かと粋がってたが、ホントは俺たちとノロイへ行く気だったんだろう?え?」
ヨイショにからかわれたイカサマは
「ヘン、そんなんじゃねぇや。ただよ、サイの目がノロイへ行く方に出ちまったのよ。」
「この野郎、どこまでもキザったらしい野郎だぜ。」
彼らの間に、笑い声が響く。そこへ、あの薬のお陰ですっかり良くなった忠太が、シジンと共にやってきた。
「皆さん、本当にありがとうございました。でも、何より嬉しいのはノロイ島へ行く仲間が全部で7匹になったことです。」
それを聞いて、ヨイショが指を折る。
「ヨイショ様に、忠太に、シジンに、イカサマ、ガクシャにボーボ…あれ?6匹だぜおかしいな?」
そこへガンバが、ヨイショを睨む。
「あ、いっけねぇガンバ様だ。」
「うん、それでよし。」
思わず、彼らの間に大きな笑い声が。それは、仲間同士の友情の証しでもあった。
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