2002.3.21 記 電圧安定化大作戦
◆気になること
気になることがある。 エアコン等が動作したときに照明が一瞬暗くなる。
これはAC100Vの電圧が変動しているからなのである。
コンセントには引き伸ばし機がつながれており、引き伸ばし機のランプも明るさが変化している
ということになる。
コンセントの電圧は、家屋内の電力機器の使用時だけでなく、季節、時間帯による世間の電力
使用状況変化等によっても影響を受ける。
(それゆえ、LPLやラッキー等の上位機種では電圧安定器が付属している)
◆電圧と明るさの関係
では、ランプの明るさはコンセントの電圧変動によってどのくらい変わるのだろうか?
文献を調べたところ、ランプの明るさは定格電圧の近傍では電圧の3.4乗に比例する
とのこと。これを計算し、100Vの時の明るさを1.00とすると以下の表のようになる。
電圧 | 95V | 96V | 97V | 98V | 99V | 100v | 101V | 102V | 103V | 104V | 105V |
明るさ | 0.840 | 0.870 | 0.902 | 0.934 | 0.966 | 1.00 | 1.034 | 1.070 | 1.106 | 1.143 | 1.180 |
電圧が100Vから95Vに変化すると明るさが84%に落ちてしまうのだ。
つまり試し焼き後に電圧が5V低下すると、試し焼きで10秒だった露光時間が11.9秒必要に
なるということになる。(10秒÷0.84=11.9秒)
◆実際の電圧変化
実際に家庭のコンセントのAC100Vがどの位変化するのか?
家庭内の電気機器を使用したときにどのくらい電圧が変化するかを調べてみた。
条 件 | 電圧 |
@引き伸ばし機のみ点灯 | 101V |
A引き伸ばし機と同じコンセントでヘアドライヤー使用 | 94V |
B暗室のエアコン起動 | 99V |
C暗室の別コンセントでヘアドライヤー使用 | 97V |
D別の部屋Aのエアコン起動 | 100V |
E別の部屋Aでヘアドライヤー使用 | 98V |
F別の部屋Bでヘアドライヤー使用 | 103V |
注)家屋によって内部の電気配線の状況が異なりますので、
この測定結果は筆者の家屋のみに有効です。
引き伸ばし機と同じコンセントでヘアドライヤーを使うなど極端な条件は除外したとして、
暗室のエアコンが動作すると約2%低下してしまい露光時間を7%長くしなくてはいけない
ことになる。
この程度だとプリント結果にあまり影響ないとも思えるが電力会社から家庭へ供給される
電圧自体が地域全体の電力使用状況等によって変化し、その変化分も加わることになる
ので、やはり不安の種は取り除いておこう。
(各家庭の入り口での電圧変動幅の保証値は東京電力のHPに見つかりませんでしたので
不明です)
(ところで、電力を使用すれば配線の抵抗値が影響して電圧が下がるはずなのですが、Fは
電圧が上がっています・・・?表には書きませんでしたが台所の電子レンジONでも同じでした。
何ででしょう?んーん・・わからん。・・・まっいいか。 でも、分かる人がいたら教えて下さい)
◆直流安定化電源の導入
引き伸ばし機の電球は12V100Wであり、付属のトランスでAC100VをAC12Vに落とし
ている。(トランスには電圧の安定化作用はまったくない)
ランプを点灯させるには交流(AC)でも直流(DC)でもどちらでも良いので12Vの直流安定化
電源で代用できるとの結論。
インターネットでいろいろ検索した結果、メーター付きの直流安定化電源が秋葉原で安く手に
入ることが分かった。
1週間後、秋葉原で連続定格12V10A(120W)の直流安定化電源を9000円くらいで購入
した。
直流安定化電源装置 メーカー:DAIWA 型式 :PS−140Ya 定格 :交流入力電圧;AC100V±6V 直流出力電圧;1〜15V可変 直流出力電流;連続使用10A 電圧変動率 ;1%以下(10A時) |
◆失敗
家に帰り、同時に買った配線用のコネクター等を細工し、引き伸ばし機につないでさっそく
お試し点灯。
ところがである。ランプが点灯しない(汗汗)・・・?・・・壊れてるのかな???。
配線を外すと12Vはチャンとでる。配線に間違いはないし・・・変だなー・・・???。
・・・中略・・・
原因として、ランプを点灯するときに巨大な突入電流が流れ、直流安定化電源が電流オーバを
検出して出力を停止してしまうことが判明。ランプの突入電流を甘く見ていた。これでは点灯しない。
電源をONした瞬間は 定常電流の約15倍の 電流が流れる。 |
他の安定化装置をさがさなくてはいけないか??9000円がパーか??何かいい方法は
ないか・・・??。
・・・いろいろ解決策を考えた結果、9000円を無駄にしなくて済む方法を採用することにした。
◆切り替え器の作成
点灯時の突入電流が大きい期間を元々付属のトランスを使い、点灯してから0.2秒後に
直流安定化電源に瞬時に切り替える。これらの制御をリレー回路で自動化するのである。
そうしてできたのがこれ。(部品代で7千円くらいかかりました)
切替器の外観 タイマーリレーの時間設定ダイ ヤルが見えています |
セットした状態 左の台の上が直流安定化電源装置、 右の引伸機付属トランスの上が切替器 |
(自作は下手すると火事、感電の危険がありますが、自己の責任において自作しています。
それと引き伸ばし機は改造したのでメーカー保証対象外となります)
◆結果
一番電圧変動が大きかった”A引き延ばし機と同じコンセントでヘアドライヤー使用”を
実施してみたが、12V出力はピクリとも動かず。
これでAC100Vの電圧変動をまったく気にしなくて良いようになった。
2001年12月:電圧変動による照度変動の不安解消。
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