2002.4.7 記 あてにならないデジタル温度計
デジタル表示される数値に対しては疑いを持たない人がほとんどだろう。
よく使う電卓の計算結果や自販機の投入金額等のデジタル表示は正確そのものであり、
自販機に100円入れた時に誤差があり102円なんて表示されることなどないのでデジ
タル表示を盲目的に信用してしまう傾向がある。
多少誤差があると認識されているデジタル時計にしてもせいぜい1ヶ月で数十秒しか狂わ
ない。 仮に1ヶ月で30秒狂った場合の精度は0.0011%となる。
それでは暗室で使うデジタル温度計の精度はどうでしょう。
取説を読むと±1度と書いてある。
ということは20度の現像液を測定したときに最悪1÷20=5%の誤差がある、
なんとデジタル時計の約5000倍も悪いのです。
でもデジタル温度計はデジタルなんだからもうチョット良いだろう・・・?と思って校正してみた。
方法は簡単。家庭にある最も信頼のおける温度計、すなわち体温計と比較すればよい。
(体温計は命に関わるので体温付近で±0.1度の精度を持っている)
校正方法
体温計は体温近傍しか測定できないので、36度のお湯を用意し、校正したい温度計と
体温計を一緒に浸すのです。
(注意;体温計は最高温度を保持しますのでぐずぐずしていると、体温計の測定値は安定しているのにお湯の
実際の温度が下がってしまいます。校正する温度計をあらかじめお湯に浸して指示値を落ち着かせて
ておいてそのあとに体温計を浸して、体温計の指示値が落ち着いたらすぐ両者の指示値を読みます。
各温度計の先端は近づけること。電子体温計は先端が濡れてもいい舌下使用可であること。 )
結果
@LPLは0.4度低く表示された
ATANITAは1.0度高く表示された
@(左):LPL DT−30 A(右):TANITA (型式不明) |
んーー・・・確かに両者共±1度に入っているけどもうチョットまじめに校正して販売してほしいものだ。
このことを知らずに@の温度計が壊れてAを使用したら1.4度も違う温度で現像することになる。
その結果が私レベルの作品に影響するかどうかは、はなはだ疑問であるにせよ許せない。
実はAを今まで校正無しで使っていて、@を買った際にこの校正を思いついて行ってみたのです。
・・・なんてこった。今まで1度低い温度で現像していたとは・・・。
てな訳で、デジタル温度計の表示にご用心。(終わり)
追伸:なお、36度で校正した結果が20度の時に当てはまるかどうかは保証の限りではあり
ません。
本来、測定器の校正はワンポイントではなく複数ポイントで行わなくてはいけないのです。
校正データ付きの温度計を基準として、使用する温度で校正するのが一番確かな方法です
が、複数ポイントの校正値からその中間のポイントの校正値を推定することができます。
簡便には純水の融点(0度)と沸点(100度;標準気圧で)を追加すればOKです.
・試しに、0度と思われる水を作って、0度と36度の校正値から20度の校正値を求めてみました。
0度の氷水(メスカップに氷と同じ高さになるまで水を入れて5分くらいかき混ぜて氷が大量に
残っている状態 ; 総量1リットルくらい)で、
@は−0.8度、Aは1.0度を示しました。
氷水の温度が0度として、この結果と36度での誤差から20度での誤差を計算すると、
@の温度計
−0.8−((−0.8)−(−0.4))÷36×20=−0.58
Aの温度計
1.0−((1.0)−(1.0))÷36×20=1.0
となります。
この2本の場合は36度でのワンポイント校正値とあまり変わりませんでした。
但し、上記の方法で氷水の温度が本当に0.0度になっているのかの確認がとれませんので、
そのうち気が向いたら、校正データ付きの温度計を購入して確かめてみます。
(誰か確かめてくれるとうれしいな・・・ )
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