2006年10月 谷川岳(8日朝、強風でロープウェイも動かず、前泊の駐車場から撤退の記) 
関東南部は10月5日、6日と雨が続いたが7日には晴れた。

6日に台風16号と合体した発達中の低気圧は東北沿岸の太平洋上に去り、東北地方以北
の太平洋側は 要注意ということであったが、日本海側については大した警戒情報も無かった。

実はこの低気圧は7日には風速15m以上の領域が、東北から南西にかけて、なんと3000kmもある
巨大なものに育ったのだ。 少し前に消滅した台風16号は同様には1200kmだったに過ぎない。

当初の予定を1日後にずらし、
7日現地前泊、8日朝から谷川岳経由で蓬ヒュッテ泊、9日朝日岳を経て白毛門の予定だった。 
    
7日15時半頃、北アルプスでは吹雪で遭難が相次いで発生7人が死亡した。
8日、我々はロープウェイも動かないので登山は中止したが、気象を読むという点で、記録に留めたい。  

事前の みなかみ町の天気予報:降雨確率

予報時刻 10月5日 10月6日 10月7日 10月8日 10月9日
10月3日17時 80% 50% 40% 20%  
10月4日17時   60% 50% 20% 20%
10月5日11時     70% 30% 20%
10月5日17時     70% 30% 20%
10月6日11時       20% 10%
10月7日11時       10% 10%


「天気概況」
2006年10月4日(水)
  前線はやや北上し、九州南岸から、紀伊半島南岸を通り、 伊豆諸島北部に達している。
2006年10月5日(木)
  依然として、九州南海上から、紀伊半島南海上を通り、 伊豆諸島南部にかけて前線が停滞している。
  また、大東島東方海上には台風16号があって北東に進んでいる。
2006年10月6日(金)
 台風16号は熱帯低気圧に衰えた後、消滅した。その代わりに、
 日本の南岸に停滞していた前線上の低気圧が発達して、伊豆諸島南部にある。
 このため関東地方は大雨となっている。

「天気概況」2006年10月7日(土)
三陸沖に966hPaと非常に発達した低気圧がある。

2006年10月8日(日)
発達した低気圧は根室の東海上にある。一方、日本海と黄海には 高気圧が進んできて、

東日本と西日本をおおっている。


----------------------出かける直前の天気予報を確認-------------------------

7日06時の予報では、群馬県北部や新潟は、明日まで低気圧の影響が残るとか。
7日06時の予報では、8日は雨、9日は晴れ。
水上町の天気予報では明日8日は1mmの雨。
湯沢町の天気予報では明日8日は4,5mmの雨。

群馬県利根郡みなかみ町谷川の天気では明日8日は0.5mmの雨、風速10m。
今日7日の予報では9時の気温16℃、0.5mmの雨、風速11m。
http://www.excite.co.jp/weather/spot/379/1619/

然し、谷川岳ライブカメラ(ライブドア)⇒
みなかみアメダス今日7日の9時は気温15℃、雨0mm、風速1mです。
http://weather.livedoor.com/livecamera/3/18.html
風も無いという事は、低気圧の影響も少なくなっているのでしょう。

谷川岳ライブカメラ⇒みなかみのアメダス情報
7日11時現在 気温14.8℃、0.5mmの雨、北風1m/sec
http://weather.livedoor.com/livecamera/3/18.html

7日11時の予報では、案の定、予報が好転しました。
群馬県 みなかみ(北部)の天気 10月7日11時0分発表
8日は午前中10%、午後10%の降雨確率。
http://weather.livedoor.com/area/10/59.html
-----------------------出かける直前の天気予報を確認終わり------------------------

10月7日 低気圧は既に東北地方の東の太平洋上を北上中だ。
東京では雨も収まり、陽もさして来た。
明日8日以降の天気はまあまあと判断して、午後からドライブがてら上毛高原駅に向かう。



      高速道路では、良く晴れていて、高崎の先でも左前方の榛名山はくっきり見えている。
      前橋を過ぎて、右手の赤城山はガスが被り、虹も見えるので周辺で小雨が降っているようだ。

      赤城高原から先は、小雨が続き、約10km先の月夜野で高速を降りても
      小雨は続いていた。 赤城より北は小雨、この辺りに天気の境界線があるとの認識。
       (レーダーアメダスの7日11時の図 ブログ気象・歳時・防災deコラム

      傘の不要な程度の小雨だし、翌日8日の水上地方は晴れの予報だったのだから、あまり気にならなかった。
  
      21時半、上毛高原駅で仲間と合流、水上から谷川に向かうと、結構本降りの雨になってきた。

      土合駅をちょっと覗いて見る。駅の待合室は電気が点いて明るく、大勢の人の姿が見えた。
      駅前の砂利の道路の両脇には10台以上の車が駐車している。

      ロープウェイの手前の駐車場ビル1Fに入る。今の時期は1Fのみが開いている。
      エレベーターで6Fに上がってみると、若者達のパーティーが幾つも居て、寝袋で寝ていた。
      ここは暖かくて良いが、1Fに戻って車の脇、コンクリートの床の上に寝袋で寝る。
      マット、シュラフ、インナーシュラフ。シュラフカバーは遮光用に被る。最低気温13℃。

10月8日  早朝から激しい風の音がするので様子を見ると、とても強い風で、登山どころではない。
      小枝が折れ飛ぶ、台風並みの強風にも拘わらず、次々車が到着する。 
       竜巻の強さを表す藤田スケールF0に匹敵する。
       (F0 17-32 [m/s]  煙突やテレビのアンテナが壊れる。小枝が折れ、
         また根の浅い木が傾く ことがある。非住家が壊れるかもしれない )
       車載のラジオの予報ではこれほど悪化するとは言っていなかったのだろうか。

[天気概況 ]
2006年10月8日(日)
発達した低気圧は根室の東海上にある。一方、日本海と黄海には 高気圧が進んできて、東日本と西日本をおおっている。


      6時過ぎに管理人が廻って来て、今日は7時の始発からはロープウェイは動きませんと告げている。
      駐車料金を払おうとすると、今日はいりませんという。

      登山は断念して、榛名湖一周のドライブに切り替えた。
      榛名湖湖畔でも強い風。ロープウェイは止まっているが、観光客は次々やってくる。


      湖の一周道路を廻ると、周辺の山々をめぐるハイカー達を見かけた。
      榛名湖にいたのは8日9時から10時くらい。やはり風は強かったが、快晴だった。



湖畔を一周してから、天神峠を超えて高崎方面に向かう。
10時40分、道路の右側の上室田のふれあい公園に車を停め、蓬ヒュッテのキャンセルの電話を入れた。
南東方向に関東平野が見下ろせる所だ。  風は強く少し寒い位だった。


11時半頃に仲間と高崎駅で別れ、 藤岡JCから高速に入り強風の中を帰京。
都内は平穏である。13時半帰宅。

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8日以降の報道では
10月7日に、北アルプスでは7人が死亡する遭難が続いた。吹雪になったのだとか。
白馬でも15時半頃、4人死亡の遭難があった。小蓮華岳でも男性が一人。
木曽の御岳山でも一人凍死の遭難があったようだ。

yahooニュース 山岳遭難 こちら  (もっと見る)や(次のページ)でかなり遡れます。
次第にリンクが切れてネット上には殆ど残っていないようだ。 粗雑なコピーですが こちら
       
気象を読みきれなかったからだと、報じられているが、
  私には6日に台風が低気圧と 合体して低気圧が発達しながら東北の沖合いを北上中なので、
  8日以降は吹き返しの風は あっても、天気は好転すると の認識しかなかった。
 
  7日は天気が悪い、風が強いとは知っていた。前夜泊まりに出発したのだ。

実況天気図を見るとなるほど大きな低気圧だ。これは、出かける前に見なかった。
たとえ見ても、8日には低気圧は北上し、好天になって行くとの認識しかなかったろう。

高層気象図を見ると7日の3000mの稜線では吹雪く可能性が見えたという気象氏がいるが、
もしそうなら、高い山の全山小屋等に通報するシステムが出来ると良いが。
(7日11時30分の 上述ブログの衛星画像を見ると日本の北半分は凄い様相だ   こちら

とにかく、大きな山に行くときの、戒めとして、tenki.jp の当日の図を、ここに保存しておきたい。


7日15時頃は、私は関越の所沢の辺りを走っていたが、晴れで、周りの山々の景色を楽しんでいた。
この頃、北アルプスで吹雪いているなんて、全然知らない。

7日18時の実況天気図 こちら

7日21時の実況天気図 こちら

8日03時の実況天気図 こちら

8日朝6時、北海道の東方海上にある低気圧の影響が谷川岳ロープウェイの駐車場でも、
小枝の千切れるような強風になって現れるということが、この天気図を見るまで信じがたかった。
こりゃ〜、まるでタイフーじゃないか。


駐車場を出ると、酷い風で、路上には葉の付いた千切れた小枝が散乱している。
それでも、谷川岳目指して何台もの対向車がやってくるのが不思議だ。



榛名湖では風が強いが、晴れであった。 (この時刻 8日10時30分の衛星画像  こちら

赤城の山には相変わらず小雨が降っているらしく、綺麗な虹が見えた。



東京の家に着いたのは8日13時半頃だが、ここではそんなに風は強くない。

10月8日15時の実況天気図 こちら


取り留めの無いことを書きましたが、実況天気図、予報天気図は大きな山に向かうときには
大事だということですね。  TENKIJP →こちら

7日の白馬山荘手前での遭難の件

ガイドは6日夜、祖母谷の山小屋でテレビでの天気予報を見ている。
7日は雨が降ることは知っていたが、強風・吹雪のことは報じられていないだろう。

然し、3000m級の裸の稜線では、強風はよくある事、10月に雨が雪になるのも常識。
標高差2200mを一日で登ろうとする体力で、中間の避難小屋を通り越し、清水岳まで順調。
その先のむき出しの稜線の2時間の後半で、ミゾレから吹雪になり危なくなったのだ。
亡くなった4人の女性達は白馬山荘のわずか数百m手前で力尽きている。

(山岳遭難の検証<2006年10月7日>      こちらを参照)
本当に山ヤさんが高層気象図を見て10月6日に連休の天気を的確に判断出来るもなのかな。

報道では、
県内は、この低気圧の影響で、7日ころまでは雨が降るとの週間予報だった。長野地方気象台によると、低気圧は台風並みの勢力があり、「天気図から天候が荒れることは予見できた」と指摘する。

 同日午後9時の高層気象観測によると、日本の上空3、000メートル付近では風速25メートルの強風が吹いていた。北ア山頂付近の状況について同気象台は「7日の日中も山沿いでは風速20メートルを超える強風だったとみられ、相当強い吹雪になったと推測できる」とする。

 冬型は8日も続き、松本測候所は平年より15日早く常念岳の初冠雪を観測。南信州広域連合も同日、南ア・仙丈ケ岳で平年より13日早く、塩見岳でも17日早く観測した。


漁業気象通報というものがNHK第2放送などで定時放送されていて、有難いことに、
気象通報さんのブログ「天気図を描こう」に記録がある。 5日6日7日。  
 (上記がリンク切れの場合は、抜粋ですが こちら


この年、10月24日(月)にも低気圧で大型貨物船が鹿島灘で2隻も座礁している。
ウィークデイなので山の遭難は無かったが、この時期の低気圧は侮れない。 

  2006年10月の衛星画像 こちら ←広島市江波山気象館のHP

  気象庁では10月12日付けで取り纏め資料を発表している。
  災害をもたらした大雨・台風などのとりまとめ資料(平成18年度速報版) こちら から


「チーム森田の気象を斬る」というブログなども参考になりますね。
低気圧だと台風より警戒され難いから伝え方に工夫が必要だとか こちら

(引用しました気象情報に関しては、引用先を明らかにしていますので、著作権の件、ご容認下さい)

追記;
  10年ほど前の10月始めに、初めて雪道を燕山荘に上がった時の事を思い出した。
  風も雪もない静かな合戦尾根の途中で、皆さん引き返してくるので、 尋ねると
  「稜線はとても悪いので、冬山装備が不足だから引き返してきた」と、でもその人達ワカンを持ってるので、
  不思議に思いながらも、上がって行くと、稜線に出た途端「悪い」という事がどういうことか判った。

  とんでもない強風が絶え間なく続いていて、細かい砂礫が物凄い勢いで飛んでくるので顔を上げられない。
  弱くなったり強くなったりせず、ず〜っと息をつかない強風というものを始めて経験した。

  前を男女が行くので、自分だけが無謀ではないと、雨具のフードを目深に被って下だけを見てとにかく燕山荘に辿り着いた。
  翌日が小屋閉めの日なので夕食はえらくご馳走が出てきて、良かった初心者の思い出だったが、確か10月5日頃だ。

  最近の白馬岳山荘は10月中旬まで営業とあるから、10月7日は閉める1週間前ということになる。
  


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