三角線ナンバーワン秘境駅、赤瀬からトンネルをくぐり抜けた後、間髪入れずにワンマンのアナウンスが流れて到着する駅が、線内のもう一つの秘境駅、石打ダムである。

 時代が昭和から平成になったばかりの時期に開業した三角線では最も新しい駅であるが開業した当時、石打ダムはまだ建設中であり、完成したらダムへのアクセスに、この駅を使ってもらおうと目論んでいたのかも知れない。

 駅からダムまでは約2キロ、徒歩にして20分ほどかかり、線路よりも宇土半島の内陸部に位置するため列車からはダムを見ることができない。さらに駅周辺は山間の田舎といった雰囲気で駅の建物だけがやけに近代化していて浮いている感じがする。しかしながらダムカードの配布はあるので、集めている場合は配布時期をチェックして、駅に降りてアクセスしてみるの一つの手ともいえる。

 かつては列車が到着する時、無人のホームに「埴生の宿」が流れて、その音が怖いという何とも不名誉なエピソードを持っていた過去がある。今は列車到着時には何も鳴らないが、列車を待っている時、定期的に列車の運休予告を非常に真剣な口調でアナウンスしていた。誰もいないホームに突然流れるアナウンス、形は変えども何とも言えない怖さは健在だった。

                                                        (2020.11.24)

  
棒線駅の石打ダム。山間のローカルな雰囲気で周辺には民家が数軒と言ったところである。
石打ダムの駅全景。平成に入ってから開業した、三角線では最も歴史が浅い駅である。
Ishiuchi-Dam


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石打ダムに到着する三角線のディーゼルカー。
駅前にある石打ダムへの案内板。ダムの訪問客を見込んでいたようだが、駅からは2キロほど離れている。
石打ダム