矢岳は駅の標高が536.9mと肥薩線の駅では最高所の所にある高原駅である。スイッチバックはなく、片面ホームの駅で、周囲には民家が数件存在し、小学校もある普通だったら30秒くらいしか停車せずすぐに発車してしまいそうな駅であるがこの時私が乗った「いさぶろう」号は10分近くも停車した。

 一般の人にとっては「なぜ?」と思われるかもしれないが、実はこの矢岳の駅構内にはかつてこの肥薩線の急勾配を力行したSL、D51−170が静態保存されているSL展示館があり、乗客がSLを見物できるように多くの停車時間が設けられている。この展示館にはもう一つ「8620」という大正11年製のSLが展示されていたがこのSLは豊肥本線の「SLあそBOY」号として見事に復活し、今でも元気に活躍している。矢岳の駅舎は隣の大畑真幸と同じタイプの駅舎だが、まるで時間が止まったかのような昔ながらの雰囲気を持っている。駅舎の中には地元の矢岳小学校の児童が描いた絵が展示されていて、本数は非常に少ないながらも駅に対する愛着があるのを感じた。

 矢岳から真幸方面へ列車を走らせ、矢岳第一トンネルを抜けると霧島連山とえびの高原、そしてその麓にある京町温泉郷の景色がとても雄大で日本三大車窓の一つに選ばれている。

 肥薩線の人吉〜吉松間には下りは「いさぶろう」、上りは「しんぺい」という観光列車がそれぞれ1日1本ずつ設定されている。両方とも見所になると列車を止め、案内のアナウンスをしてくれる。ちなみに「いさぶろう」とは工事の最高責任者であった逓信大臣、山縣伊三郎。「しんぺい」は鉄道院総裁、後藤新平から来ている。

                                                               (2002.10.2)
ホームから見た矢岳の駅舎


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矢岳の駅舎
Yatake
矢岳に保存されているD51
矢岳のホーム
矢岳