三陣には花一揆 命鶴を大将として六千余騎 萌黄火威し紫糸 卯の花のつまとったる鎧に薄紅の笠符をつけ 梅花一枝折って冑の真向うに差したれば 四方の嵐の吹く度に鎧の袖や匂ふらん
太平記巻三十一
平家から太平記に至る二百年。それは、人間の高貴さが形而下に表現された稀有の瞬間でした。夜空の花火の如く、あざやかで、はなやかで、さわやかな時が過ぎたこともあるのです。この日本に。