文鳥は嘴を上げた。咽喉の所で微な音がする。(中略)その音が面白い。静かに聴いていると、丸くて細やかで、しかも非常に速やかである。菫ほどな小さい人が、黄金の槌で瑪瑙の碁石でもつづけ様に敲いているような気がする。                       漱石「文鳥」
すみれほどな小さき人に生まれたし 漱石
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