摂津毛馬村に生をえた蕪村は、十有五年に及ぶ東国での俳諧修行を経て、三十半ばにして京へ上り、晩年は烏丸仏光寺界隈に落ちついています。
呉服問屋が軒をならべたこのあたりにも今やマンションが分け入り、室町の風景も暮色を深めています。 古い家のない町は思い出のない人間と同じ。こんな俚諺がドイツにあるそうです。
門を出れば我も行人秋の暮 蕪村
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