凶気の桜  〔2002/10/17東映系公開〕



日本一の繁華街、渋谷。山口、市川、小菅の三人はナショナリストを気取って、渋谷を根城に“ネオ・トージョー“なるグループを結成していた。彼らのやる事はといえば、渋谷にたむろする半端な不良達をターゲットに、日夜“強制・奪還・排泄”を繰り返す事だった。“強制”とは不良達を「教育」するための暴力行為。“奪還”とは彼らから金を巻き上げる事。そして“排泄”とはセックスを意味する。今夜も山口達は、渋谷のストリートで不良達を相手に大乱闘を繰り広げていた。


そんな山口達だったが、右翼系の暴力団・青修同盟の会長・青田から四駆の中古車をもらった事がきっかけで、次第にヤクザの世界に取り込まれていく。ある日、不良達と大立ち回りをやっていた公園で山口は、景子という女子高生と出会う。


山口達は高級焼肉店で青田会長にご馳走になるが、そこには青修同盟のNO2こと、若頭の兵藤と客分筋の消し屋の三郎も同席していた。消し屋とは、お金で殺人を請負い、その殺した人物の形跡をすべてこの世から抹殺する仕事だった。青田会長に、自分の生い立ちを問わず語りに話す山口。彼は、離婚した母と共に暴力的な叔父の世話になって大きくなったのだ。市川そして小菅にと、それぞれの思惑を持って近づいて行く三郎と兵藤。


山口達は、グリンゴという店でヤクを取引しようとしていたオカマ達と大乱闘をして店をめちゃめちゃする。その店が、青修同盟と敵対する小西組のシマだとも知らずに。山口は、乱闘で怪我をしていきり立つ小菅と、地下駐車場で対決して打ちのめす。ネオ・トージョーを辞めると言い出す小菅。静かに去っていく市川。偶然そこに居合わせた景子を車で送りながら、山口は自分達がもう昔の自分達には戻れない事を感じていた。小菅は青修同盟に入って兵藤の手下となり、市川は三郎と行動を共にしつつ、彼の罠にはまっていくのだった。三郎は密かに市川に成りすまして、請け負った殺人を行う。山口の目の前で、殺人犯として連行されて行く市川。小菅は小菅で、兵藤からグリンゴと話をつけるよう使いに出されるが、逆に瀕死の重傷を負ってしまう。う事態は、青田にはどうしようもないところまで来ていた。頼まれて青田の警護をしていた山口に、青田は長曾禰虎徹(ながそねこてつ)の贋物を差し出す。黙って受け取り、初めて青田を「会長」と呼び、「親父と思っていました。」と言って去って行く山口。


夜、寝ている青田が気配で目を覚ますと、そこには三郎が。三郎は、兵藤の依頼を受けてやって来たのだった。最後の誇りをかけて、割腹自殺を図る青田。市川が捕まり、青田が兵藤に謀られ、そして小菅は一生不自由な体に・・・。小菅の病室をあとに、渋谷の街を闊歩する山口の体の中には、兵藤への怒りが沸々と燃えたぎっていた。山口は青田の葬式会場に乗り込み、形見の品の虎徹で兵藤の手首をはねるも、止めを刺したのは三郎だった。三郎は死ぬ間際の青田会長から、本物の虎徹を礼金代わりに、兵藤殺しを請け負っていたのだ。


後日・・・桜が満開の橋の上には山口の姿があった。
そして・・・。


 

 

(文:アリス ・2002/11)
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