Laundry  ランドリー



子供の頃受けた頭の傷で、純真無垢のまま育った20歳の青年テル。テルは、祖母の経営するコインランドリーで働いている。ここには毎日さまざまな人生を背負った人々が訪れ、テルと言葉をかわしては、また帰って行く。


ある日ランドリーに水絵という女性がやって来た。彼女が忘れた洗濯物を届けた事でテルと水絵は親しくなる。暗い過去を持つ水絵は、心に深い傷を抱えていた。


再びランドリーに現れた水絵がまた洗濯物を忘れていった。テルは、田舎に帰ったという水絵に忘れ物のワンピースを届ける為、一人で旅に出る。途中出会った優しくも頼もしいサリーという男性の車に同乗させてもらい、水絵のもとに辿り着く。


一緒に暮らし始めたテルと水絵だが、テルの祖母の死を機にサリーを頼って訪ねていく。サリーは、温かく二人を受け入れ、三人の共同生活が始まった。だがサリーは、持ち物の全てを彼らに譲り、ある日突然出て行く。手さぐりながらも二人だけの生活を始めたテルと水絵に、幸せな時間が流れる・・・。テルが無邪気に寄せる信頼と優しさに、水絵の心の傷は次第に癒されていくのだった。


しかし、そんな二人の幸福は、長くは続かなかった。


散歩の帰りに立ち寄ったアンティークショップで、テルが商品の人形を壊してしまう。思わずそれをポケットに隠し入れた水絵はその場で捕まる。


離れ離れになってしまった二人。
歩くテル。――やがて雨が降り出す。どうしようもない哀しみに体をふるわせ、テルの慟哭は絶叫へと変わる。雨に濡れながらさ迷うように歩くうち、テルはいつしかあの懐かしいランドリーの前に立っていた。


一年後
水絵は、刑務所を出る。乗ったバスの車窓からは、テルと出会った町の大きなガスタンクが見える。そこへ白いハトの群れが飛んで来る。水絵は、ハッとして立ちあがり、止めてもらったバスから飛び降りハトの見える方向に駆出すのだった・・・。

END
(文:フラボ・2002/11)
 

 
   
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