中医学


中医眼科では、視神経炎は暴盲(突然の視力減退)に相当。

@肝気鬱結・気滞血於
  ・突然の視力減退、眼底検査では目立った変化はない、眼球深部の眼痛
  ・便秘、肩こり、月経痛、舌質は淡紅、舌苔は白など
  ・いらいらして怒りっぽく、酒や辛味を嗜好する人では、
   気火が上逆して目系を侵し、眼球内の絡脈を阻帯するために気滞血於となり、
   清窮が栄養されなくなって、発生する
  ・治法は疏肝理気・活血化於で、通竅活血湯 加 夏枯草・石決明や
   血府逐於湯などを使う
  ・柴胡・鬱金・黄ごん・当帰・白芍薬・白朮・桃仁各10g、青皮・薄荷各5g/
   口渇などの久鬱生熱に加 牡丹皮10g、山梔子12g、紫花地丁15g
   /頭痛に加、鈎藤10g、石決明30gと書いてある本もありました
  

A肝火
  ・突然の視力減退
  ・いらいら、頭痛、目の充血、口が苦い、舌質は紅、舌苔は黄で乾燥など
  ・激しい怒りなどによって肝火が上炎し、眼球が傷害されたために生じる
  ・治法は清肝瀉火で、竜胆瀉肝湯などを使う
  

B虚熱・陰虚火旺
  ・熱病の後に発生
  ・咽や唇の乾燥、舌質紅、舌苔少など   
  ・陰虚の体質、心労による心陰の消耗などで、
   心陰虚のために心火が旺盛となって眼球を損傷して発生する
  ・治法は養陰清熱・滋陰降火/養心安神で、黄連阿膠湯加減や知柏地黄丸、
   天麻釣藤飲などを使う
  ・生地黄・女貞子・天門冬・麦門冬・玄参・当帰・白芍薬・牡丹皮・
   地骨皮・銀柴胡各10g/口渇に加、知母10g、石膏20g/便秘に加、大黄5〜10g
   と書いてある本もありました
  

C熱入営血
  ・発熱性疾患の後期に発生
  ・高熱などの営分証
  ・熱邪が営血に内陥して汗腺が閉阻され、
   血熱妄行して頭目を上衝し目系を傷つけたために生じる
  ・治法は清営解毒で、営分証のときには清営湯を、血分証のときには犀角地黄湯を、
   熱入心包のときには安宮牛黄丸・至宝丹・紫雪丹などを使う
  
  
D気血両虚
  ・視力が次第に減退
  ・顔色が悪い、元気がないなど
  ・治法は補血養気で、捕陽環五湯などを使う
  ・黄耆・党参・白朮・当帰・熟地黄・白芍薬・茯苓各10g、柴胡・川弓各5g、甘草3g
   と書いてある本もありました
  

・なお、無条件に逍遥散加減(当帰・白朮・柴胡・牡丹皮・茯苓・甘草・山梔子・白芍・菊花・枸杞子)
 を使うと書いてあるところもあります。

注意
・「その症最も速にして異なる、…急治すれば復すべく、緩なればすなわち気さだまりて用なし」
 という記述が審視瑤函という本にあるそうですが、中医学においても視神経炎は早急
 治療する必要があります。
 



また、視神経萎縮となってしまったものは、「視瞻昏渺(しせんこんびょう)」と「青盲」に相当。

@気血不足
  ・治法は補養気血、昇堤陽気
  ・黄耆・当帰・熟地黄・白芍薬・党参・茯苓・陳皮各10g、川弓・柴胡・升麻各5g、甘草3g
   /老年で足腰が弱い者は加 菟絲子・枸杞子・牛膝・補骨脂・覆盆子/
   /手足が冷えるものは加 肉桂
  ・磁朱丸・五子補腎丸・十全大補湯・逍遥丸など

A熱盛傷陰、津液不足
  ・治法は滋養陰液
  ・生地黄・石斛・麦門冬・天花粉・当帰・白芍薬・五味子・陳皮・太子参各10g
   /成人に加 女貞子・玄参各10g/厳重な局所於滞に加 充尉子・桃仁各6g


文献: 中医臨床大系8 眼科学
    症状による中医診断と治療



 

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