すくーる らいふ 2限目終了

机にかりかりかりかりと爪を立てる、はねっ毛の後頭部が開いていたペーパーブックの下に覗く。
そりゃあ、まあお腹かはこっちの気分は考えなしに規則正しく減って、鳴っちゃうもんで…。
だからやっぱり減っちゃったら、もう食べるしかない訳だ。

「あーもー腹減ったぁ!ねえ!不二!腹減んないの?ねえねえっ」

朝連はもう慣れたけど、きついものはきつい。けど、もうやめられないけどね。だって負けたくないんだろ?
誰だって、それは同じだよ。でも食欲に関しては、もう表現わかれるね。

「んー確かに減ったね。でもまだ2限目終わったばっかりだよ?」

本の隙間から、英二のでっかい瞳が飢えに光る。そんなにきらきらさせてるなら、我慢しないで食べればいいのに。


「早弁しちゃえば?まだ時間あるでしょ?」
「んん〜しちゃった」

おや、いつのまに?

「ジャガリコ食べちゃえば?持ってるんでしょう?」
「んーそうだな〜ぁぁ」
「次は現国だろ?お腹なったら結構響くと思うよ」
「んー」

なんだか机の端にしがみついて、うずうずした目で見てる。なに?早くいいなよ?
なに隠してるの?

「あのねっ!麺にもチーズが入ったんだよっねっ!」

「……は?」

「カップヌードルチーズカレーだよん!知らない?!バージョンアップしたんだって!チーズ星人が歌うんだよ?!
いってたでしょ?あれあれあれ!あれが食べたいにゃ♪」

英語のペーパーブック越しに、気合入ったガッツポーズの英二の、その右手には既に財布が握られていた。
…あのね……コンビ二に買いに行きたいなら早く言ってよ。

「判った…。付き合ってあげる。でも、次の休み時間ね。もう時間ないんだからさ」

にゃっ♪にゃっ♪とはしゃぐ英二は、とっても判りやすくて、やっぱりどこか判らない。これじゃ手塚のリアクション
の方がまだまだ普通で判るね。……って…。

やった♪やった♪とはしゃぐ英二の顔に、ふとカップヌードルのCMが覆い被さってきた。
無理してヘリを上昇させる部長と、必死に止めさせようと追いすがる部下の図ね。ぷぷ。なんかうちの部みたい。
でもムチャする部長が、そのまま手塚っていうよりは……

「チーーーズーーー!って、あのチーズ星人ってさぁ…最後にでてきて、おいしいとこどりだよねぇ…。ずるいよねぇ〜」

「は?」

いつのまにかまだストックしてたジャガリコをガリガリ噛んでいた英二が首を傾げる。

「ね、英二。あのチーズ星人ってさ、ちょっと手塚に似てるよね?」

にこっと笑った僕をみている英二の唇から、ジャガリコが、ぽとり……と落ちて転がっていった。

「はぇ?」

呆けた顔をそのまま残して、僕は中断していた本の中に戻っていった。

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