俺の竜、見てくれる?
育成日記コーナー


 

  世界から害悪を駆逐する役目は竜使いにしか担えない。
  それは、精霊にただ唯一通用する武器たりえる竜がため。

  それゆえ新人竜使いをひとりで出撃させることなど、もちろん回避すべきである。
  易々と若き竜使いを失うわけにはいかないのだ。
  しかし、シンゴには共に戦う竜使いなどいない。
  それを見越したハリー教官が先生を用意してくれたというが・・・。


  竜使い・3日目
  
  振り返ると仁王立ちしている少女が目に映った。
  幼竜選びの時、ハリー教官と一緒に野次を飛ばしていた子だ。
 その表情からして活発で、物言いには遠慮がない。
 そして声優はコナンでおなじみの高山みなみさんだ。

  なぜここで声優さんの名が出てきたのか。
  それは桝田省治さんのゲームにおいて、
 高山みなみさんが演じるキャラは、
 ひと癖もふた癖もある人物であることが非常に多いからである。
 ただの「単なる明るい女の子」で終わるはずがない。
  高山みなみさんの苦しむ様子を見たくて、
 わざと演技の難しい役を用意していらっしゃるのだそうだ。
  冗談を含んだ発言であることは承知しているつもりだけど、
 僕はバカなもんだから鵜呑みにしています、これ。
 ゆえに、この少女、要チェック。
 どんなに良いキャラでも半分は信用しないぞと、固く誓うことにする。
 
  と、話がそれてしまった。
 ・・・えーっと、
 僕が、お魚をくわえたドラネコを追っかけて裸足で駆けてく、
 ってところまで話しましたっけ?
 
  いや、ちがう、たしか青髪の少女の話だ。
 少女はこちらを見るなり、こう言った。
 『おほん!あたしはマーガレット。
  本来なら私のほうが先輩なんだから、
  マーガレットさんって呼ぶのが筋ってもんよね。
  でも、そーゆうの嫌いなの、メグでいいわ、よろしく』
 ・・・よろしく!
 まいった!
 すごくサッパリした性格だ。
 よし、あっさり前言撤回してしまおう。
 メグはいいヤツだ!
 そして僕は芯の弱い男だ!
 
  まるで自分の信念がないことなど気にもせず
 メグの声に耳を傾けていると、後ろから
 『特別に俺の顔で先生を頼んでおいた。
  忘れるなよぉ、ひとつ貸しだぜ』
 と、ハリー教官。
 恩をあだで返すタイプである僕ではあるが、
 この貸しは覚えておこう。
 メグは、いいヤツだ。
 
  まだまだ出撃のレクチャーは続く。
  さきほど選んだ幼竜に乗ることはできないようなので
 レンタ竜を借りて、それに乗るようだ。
 レンタ竜という響きがMETALMAXのレンタルタンクを思い出させ、
 妙になつかしくなる。
  『レンタ』竜というだけあって、さすがにお金が要るのだが、
 ここでも、ひとつ貸しということでメグにおごってもらう。
 このご恩、一生忘れません。

  さ〜て、レンタ竜だ、サクっと選ぼう。
 と思ってカーソルを動かそうとした矢先、
 ササッと選択リストを引っ込めてしまう係官。
 『あ、やばい、・・・その3頭はキリコの竜だ』
 とのこと。
  見るからに強そうな黒い竜。
 キリコの竜使いとしての腕がそれだけで分かるような気がした。
  とりあえず、人様の竜に乗るわけにもいかないので
 渋々ワンランク劣る竜に乗ることにする。

  最後に、カード選び、アイテム選び、時刻セット。
 特に時刻セットは難易度決めを自分で行えるようなものであり、
 ゲーム攻略のカギになりそうだ。
 
 ふひー、ようやくレクチャーが終わった。
 ついに出撃だ。
  というか自分で余計な感想を入れるのが悪い。
 野球マンガで言うところの一打席の間だけで
 色んな考え事をして「来週に続く」になってしまうのと同じだ。

 とにかく、ひとしきり区切りがつくと
 ハリー教官が僕の初出撃の景気付けに“アレ”をしてくれるらしい。
 『右手を大きくガツンと挙げろ!
  野郎ども!俺に続け!』
     「※ハリーの言葉に続けて○ボタンを押してください」
 “アレ”ってなんだ?とか思っていると、こんな表示が。
 くそっ。
 妙に身構えてしまうじゃないか。
 『竜に乗れ!』
 よし、今だ!
 すかさず○ボタン!
 『・・・竜に・・乗れ・・』
 えぇぃ、元気が足らんぞ!





               


元気いっぱいメグさん。

 

小ネタ : ハリーに続けての「竜に乗れ!」。
このタイミングは、かなりシビアであり、
○ボタン連打でちょうどいい具合にメグとハモります。

なんだか、メグに「あんたノリが悪いわねぇ」と罵られるように
わざと仕組まれているような気がしてなりません(笑)。