顔面蒼白のシンゴは、メグに連れられ
基地を見て回ることに。
後に紹介される宿が
高額料金を請求してくるのではないか?
との疑問が頭を離れないままに・・・。
竜使い・9日目
「ここが大神殿 さっき竜を選んだとこね。
元は精霊に祈る場所だったけど 今は精霊の殺し方研究所」
メグに案内された先は、最初に訪れた場所だった。
聖なる島の基地内には
日頃、竜使いが世話になる施設が
いたるところに存在しているらしい。
なにも竜使いだけが精霊と戦っているわけではないようだ。
ここ、大神殿でも精霊の研究に日夜努力しているのだろう。
前は祈祷所だったということが皮肉だが。
と、メグが思い出したように
「あッ、そうだ!キリコが投げてきた つぶれた?(なにか)!
ここのサフィア研究室でお金にかえてくれるんだっけ」
と僕に言ってきた。
そうだそうだ、すっかり忘れてた、お宝だ。
これが上手いこと売れれば、
たとえ宿舎でぼったくられても、チャラにできるかもしれない。
僕はゾンビのようにトロけていた体を、シャキッと立て直す。
膳は急げだ。
さっそくメグから“つぶれた?”を奪い取り、
それを小脇に抱えて50メートルを7秒フラットの速さで走り出す。
その様は、まるでラグビー部の主将のようである。
「何人たりとも、俺の前には走らせねぇっ!」
・・・って、何の決めゼリフだそれは・・・。
膨大な数の書物。
解読中の石碑。
熱心に調べ物をする神官たち。
そんなTHE・研究室にホコリを壮大に巻き上げながら、
ラガーマンがやってきた!
「トラーーイ!!」
ガツーーンと机の上に“つぶれた?”を
思い切り叩きつけるラガーマンこと僕。
“つぶれた?”は、さらにつぶれたに違いなかった。
あまりにも騒々しいが、鑑定はしっかりしてもらう。
鑑定士は「ホイホイホイとホイ神官」が口癖でお馴染みの(知らんっ)、
ホイ神官だ。
神官は、鑑定品を見るや否や、
「つぶれた?ですか・・・ぐちゃりと、落としましたね」
と言い放つ。
やばい、粗雑に扱いすぎたかっ。
しかし「つぶれても鯛」とか言うし・・・なんとかなるっ!
願いは、きっと、叶うんだっ。
「10Gmを 手に入れた」
ちくしょう!
『開運!なんでも鑑定団』で希望額よりも
かなり下回った鑑定額を出された依頼人のような気分になる。
期待した僕がバカだった。
「今後も“?”がついたモノを見つけたときは
ホイホイホイと買い取らせていただきますんでよろしく」
そんなホイ神官の言葉を背中に感じながら、
僕は、研究室を早々とあとにした・・・。
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