研究所にて、すずめの涙ほどの金額を手にしたシンゴ。
寄せた期待に対する落胆は大きいものだった。
世の中、そうそう、うまい話など無いものだ。
竜使い・10日目
基地内の案内は続く。
こうしていると転校生が学校の中を案内されているみたいだ。
それにしても、なぜああも転校生というものは魅力的だったんだろう。
僕が小学生の時
転校生が4人ほどやってきたが、
そのたびにワクワクしたものだった。
だいたい、転校生を紹介するときに、
成績は優秀で〜とか、絵が上手で〜とか
イイコトばっかり先生は言うんだ。
当時の僕は生意気な少年だったから
そんなことあるもんか、なんて思っていたんだけど。
でもやっぱり本当かもしれなかったし、
それはもうワクワクしたんだ。
と、いけないいけない。
このままでは思い出話に突入しそうだ。
基地内の案内は続く、なのだ。
次に訪れたのはコロシアム。
週末には竜使いランキングを賭けて
ドラゴンピックという大会が開かれるらしい。
一週間ごとに開かれるんじゃ
ランキングは目まぐるしく変わることだろう。
今週末にも、もちろん開かれるのだが、
いかんせん今日は木曜日。
うーむ、時間が無い。
まだ自分の竜に乗ってもいないのだ。
まぁ、どうせダメ元なんだから、
せめて華々しく散ってみせようではないか。
「薔薇は散り際こそが美しい!」
・・・って、だからそれは誰のセリフなんだ。
そして、ふたりは直営ショップへ。
ここはアイテムを売ってくれるだけでなく、
精霊を素として、アイテムを精製するサービスも行っているようだ。
ただし、有料とのこと。
メグ曰く、
『店はお金を取るけどトランサーのアタシならタダ。
どう、アタシと同じチームで得したでしょ?』
だそうな。
で、トランサーてなに?ということなのだが、
軽く説明をするとすれば
「アイテムを精製できる技能を、トランスと言い、
トランスできる人をトランサーと呼ぶ」
といったトコロだろうか。
ちなみに、
年がら年中ほしぶどうを食っている人を
「ホシブダー」と呼ぶのだそうだ。
ごめん。
嘘だ。
かるく直営ショップを流し見して、
中央広場へと向かう。
なんだか休業している店が多く、やや寂れているのだが、
清潔感あふれる広場である。
ここではヒマそうな竜使いたちから
情報を仕入れることが出来るみたいだ。
ふと、
メグがくるりとこちらに向き直り
『こうして ふたりで歩いてると なんだかデート気分よね』
なんて言ってきた。
・・・。
僕の答えは「いいえ」だ。
何度も言うが、あとでぼったくられるに決まってるんだ。
ニコニコ「はい」だなんて答えられた心境ではない。
しかしメグは、否定的な反応をする僕に対し、
『じゃ、明日は本物のデートをしましょ。
精霊の塔でスリルあふれるデートをね♪』
と返す。
うーん、なんてウィットに富んだ返しだろうか。
ここで「いいえ」を選択すると
たいがいのゲームだと残念がったり、ふくれっ面になったりと、
腹立つ反応を見せてくれるヒロインが多いのだが、
やっぱり桝田さんのゲームは違う。
ひたすら女性キャラが魅力的なのである。
とにかく強い、たくましい。
相手の答えが「はい」だろうが「いいえ」だろうが
自分の考えを、主張をぶつけてくる。
こういったキャラが拝めるだけで、
僕は桝田さんのゲームを買い続けるんだろうなあ。
前にもこんなこと書いてたと思うけど。
とりあえず、ぐるりと広場を回って、
お次は指令本部へ。
なんだかんだ言って竜使いはサラリーマンである。
毎週月曜日に指令本部から出されるミッションをこなして、
報奨金をいただくというのだ。
害悪退治もボランティアじゃ、やってられないってことらしい。
なかなかに現実的な話である。
そして、ようやく最後の施設、
ボブの酒場へと向かう。
そこには飲んだくれて、管を巻く二人組がいた・・・。
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