19. 防水工事(2)

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■2002年3月1日(金)−2日(土)

前日の雨も上がり、防水工事が再開されました。防水工事には専門の資格を持ったスペシャリストがあたります。


いよいよ防水シートが敷かれます。(1日)


前日までに施工済のディスクや周辺の部材と接合していきます。(1日)


シート接着の方法は熱溶着と溶着剤でつける方法の二つがあり、これは熱溶着のための工具です。約800度の熱風が吹き出すそうです。ベランダなどの立ち上がり部分はシートと同系の樹脂がコーティングされており、両者の接合面全体を熱風で溶かして接着します。


こちらは溶着剤です。シートの材料である樹脂を溶かして接着するので接着剤とは言わず、溶着剤と呼んでいるようです。


ディスクとの接着は、ディスクの隅のあたりに右のキリで小さな穴を開け、左の注射器で溶着剤を注入し、手で押さえつけます。(2階ベランダ、2日)


注射器の穴(ピンホール)は写真左の容器に入れた樹脂でふた(シール)をします。注射器は本当に病院で使われるような針がついたもので、中の溶着剤は無色透明な液体でした。

シートを張り終わると、吸盤状の器具でぺたぺたとやって確実に接着されているかを確認します。
少しでも不完全なところがあると、すぐに溶着剤を注入して補修します。溶着後は1日置けば歩いても大丈夫だそうです。明日の見学会では歩いて見てもらえるでしょう。(2階ベランダ、2日)


ディスクの表面はシートと同系の樹脂です。


注射器の穴を樹脂で塞いだ直後の状態です。


乾くとこのような状態になります。


吸盤にはこのような形状のものもありました。

防水工事が完了した屋上の様子です。非常にきれいなので上になにもひかずこのままの状態で使いたいくらいです。
親方の話では以前はこのままで使っていたこともあるそうですが、現在ではさらに保護塗料をコーティングするか、パネル(当家ではクレガーレを予定)を敷かなければならないことになっているそうです。


入り組んだ部分はこのようなパーツを組み合わせて張り合わせます。


施工後は見事に一体化しています。


角部分はこのように補強されています。


屋上ベランダの手すりの支柱も完全防水です。

防水工事担当の親方さんから、次のような話が聞けました。
・最近はほかのメーカーもヘーベルのようなシート防水をするようになってきている
・比較的施工が容易なシート防水の世界でも最近は職人が少なくて確保に困っている
・ヘーベルは特に品質管理に厳しく、少しでも接合にむらがあるとやり直しとなる
・いろいろなメーカー住宅を経験しているが、基礎の出来はヘーベルが一番よい(なぜか基礎の話)

そうそう、本日旭化成ホームズのA監督から、「月曜日に基礎コンクリートのシュミットハンマー検査をやりますが、見にいらっしゃいませんか」とご連絡をいただきました。ちょうど基礎の生コンうちから28日目にあたります。
残念ながら当日は会社を休むわけに行かないので丁重にお断りしましたが、「何なら別の日にもう一度やりましょうか」とまで言ってくださったAさん、ありがとうございます。
月曜日は妻に写真を撮りに行ってもらおうと思います。

■陸屋根の防水について

平らな屋根を陸屋根(ろくやね)と言いますが、一般的な斜面の屋根に比べて陸屋根の防水はいろいろ難しい条件が多く、昔はトラブルも多かったようです。私の父も最初は陸屋根と聞いて、第一声が「防水は大丈夫か」でした。しかし最近では建材も工法も進歩し、一般の瓦屋根同様メンテナンスさえ怠らなければ問題はないようです。

ヘーベル板の特性を活かすためと思いますが、ヘーベルハウスは当初から陸屋根が標準でした。一般住宅での屋上利用をこれだけ普及させたのも、ヘーベルハウスの貢献が大であると言えます。屋上のある家にしたかった私としては陸屋根に関する経験とノウハウの蓄積が大きいことが、ヘーベルハウスを選択した理由の一つでありました。

とはいえ、防水が陸屋根の弱点の一つであるという現実に変わりはなく、その構造や性質を十分理解し、施工についても細心の注意を払っておくことが望まれるのは言うまでもありません。

そもそも陸屋根の防水には大別して3種類あるそうです。

・アスファルト防水…アスファルトルーフィングというシート状のアスファルトを、さらに溶かしたアスファルトで何層か張り合わせる方法です。歴史も古く信頼性もあるそうですが、なにぶん施工が難しく、最近では職人さんも少なくなっているそうです。また施工時の高温や臭いなどから都市部では敬遠されることも多いようです。

・シート防水…当家の(というかヘーベルハウスが採用している)シートによる方法です。1952年に国鉄の車両の屋根材として採用されたことが一般化のきっかけになったそうです。シートの素材やシートそのものの構造、下地材との固定方法などによりいくつかの種類があり、今回の方法は一般的には「塩ビ系複合シート(基布を綴じ込んだもの)による接着工法」に分類されます。塩ビ系複合シートは寸法安定性に優れ、安定した性能が得られるそうです。
シート防水の特長としては、軽量であること(躯体への負担、耐震面で有利)や工程が少なく施工性が高い、比較的安価、などがあげられます。ただし接合部の品質には注意を払う必要があり、施工業者の信頼性が重要なポイントです。(合成高分子ルーフィング工業会のホームページなどを参考にしました)

・塗膜防水工法…下地材の上に基布を貼り、その上から塗料を塗る方法です。これを何層か重ねることで強度を出します。塗料の材質としてウレタンやアクリルゴム、FRPが用いられます。利点としては接合部のない均質な防水層を造ることができること、複雑な形状の屋根でも施工できること、改修などの際に既存の防水層をそのままにしてその上から施工できることなどがあります。ただ費用はシート防水に比べると割高になることや、施工業者によって質にばらつきがでやすいことなどがあげられます。

結局のところ、施工品質の安定性や経済性などを考慮すると、今回のようなシート防水が適当ということになるのではないでしょうか。もちろんヘーベルの豊富な経験知識と定期的なメンテナンスという条件の上であることは言うまでもありません。

逆貼りについて

従来多くのシート防水の施工では屋上やベランダの平らな面(平場)と壁などの立ち上がりとの接合部分(入隅)は、上からの水の流れに沿う形で段差を設ける方法が一般的ですが、ヘーベルでは水の流れとは逆向きに段差ができるいわゆる「逆貼り」を採用しています。

これはシートを接着剤ではなく溶接工法で完全に一体化して接合するので、ほとんどはがれる心配がないために実現できた工法で、先に入隅部分を施工してから平場のシートを張るために施工時の破損や汚れが防げること、施工がやりやすいことなどが利点とされています。(筒中シート防水株式会社のホームページを参考にしました)

 


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