心電図電極の貼付位置について
静脈内鎮静法使用薬剤 商品名 標準鎮静濃度
フルニトラゼパム ロヒプノール 0.015 mg/kg
ミダゾラム ドルミカム 0.075 mg/kg
全身麻酔導入薬剤 . 標準使用濃度
サイオペンタール(バルビタール) ラボナール 5.0  mg/kg
プロポフォール ディプリバン 2.0  mg/kg
ベクロニウム マスキュラックス 0.1  mg/kg
全身麻酔の準備と手順 −麻酔導入・覚醒の介助−

1.挿管の準備

1)麻酔皿 

喉頭鏡(L型(直ブレード)、マッキントシュ型(曲型ブレード))

 気管チューブ(RAE、スパイラルなど。カフ付き・なし)

 マギルの鉗子、曲がりペアン、ネラトンチューブ、

 ガーゼパック(13枚)、バイトプロップ、バイトブロック

 ネイザルエアウェイ(バルテックス)、オーラルエアウェイ

 胃管、アイパッチ、眼軟膏、キシロカインゼリー、ガーゼ

 吸引カテーテル、絆創膏

2)全身麻酔器

 気化器(吸入麻酔薬)、カプノメーター、パルスオキシメーター、麻酔回路(F回路、呼吸バッグ、ソーダライムなど)、加湿器、ベンチレーター、カフ圧モニター、酸素濃度計

3)点滴台

 点滴(輸液ボトル、点滴セット、三方括栓、延長チューブ)

 注射器(麻酔導入剤(チアミラールなど)筋弛緩薬(ヴェクロニウムなど)など)

 アンプル入れ(患者ネーム付き)、針すて、ゴミ缶、駆血帯、雑用バサミ、ぺアン、絆創膏、アルコールガーゼ

4)麻酔カート

 各種薬剤(キシロカインなど)

 ヘッドバンド、硬膜外針(緊急用)、輪ゴム、各種コネクター、円座、肩枕、薬杯(消毒液)

5)その他

 血圧計、心電図計(ECG)、体温計、保温マット

2.挿管の手順

患者入室・病棟との申し送り

患者搬送

  点滴は患者の頭の上を避ける。長時間手術・大量出血を予想される患者では体重測定を行う

   (同時に体重補正を行なう)。

患者を手術台に移動

  麻酔医は患者の頭部に立ち、患者の状態を常に監視する。急な体位の変動は避ける(脱水・高齢者では、血圧の低下を来すことがある。)

モニターの装着

  先ず片耳聴診器を胸部に着ける(停電の際に患者モニターは聴診器だけになる)血圧計のカフを巻く(カフの内側に保護用のマットをまく。カフは必ず動脈の上を覆うこと。自動血圧計の場合カフ圧を切り替える(小児・成人の区別がある)ECGの電極を貼付

  パルスオキシメーターのプローベを指先に装着。プレスチモグラフを確認後、絆創膏で留める。

バイタルサインのチェック(血圧、心拍数、酸素飽和濃度、呼吸数)

  麻酔チャートにそれぞれの値を記録する

マスクの適合をチェックする

 100%酸素で脱窒素を行いながら、呼吸数を数える

薬剤の投与

  麻酔導入薬(チアミラールなど)、筋弛緩薬(ヴェクロニウムなど)を静脈内より投与する。麻酔時間のスイッチを押す。

  薬剤のオーダーは必ず「○mgml」という

  患者に深呼吸をさせる。呼吸が抑制されたら補助呼吸を行う。

挿管

  筋弛緩薬が十分効いていることを確認(投与後13分)

  100%酸素で3回換気する

  患者を開口させ、喉頭鏡を喉頭蓋谷まで挿入する

  喉頭鏡を前方45度上方に持ち上げる。その際患者の頭部はスニッフィングポジションをとる(介助者は、頭部を持ち上げてささえる)

 (声門を確認したら4%キシロカインを気管の中に噴霧する(反射抑制のため))

  気管チューブを気管内に挿管する。

  気管チューブが声門を通過することを確認する

  喉頭鏡をはずし、右胸郭を押して呼気が戻ってくるのを確認後、麻酔回路を接続して、呼吸バッグを加圧する。  カプノメーターにカプノグラムが描かれていることをチェック(カプノグラムが描かれていないときは食道挿管である)チューブのカフを膨らまし、リークを防ぐ。笑気混合し、気化器のダイヤルをONにする。

  0.5%づつ吸入麻酔薬の濃度を上げてゆく。

気管チューブの固定

  左右胸郭を聴診し、チューブの位置が適切であることを確認後、気管チューブを固定する。口唇形成・修正術は、正中固定。その他は口角固定。口角固定の際は、チューブが固定側の臼後三角を通過するように位置させる。臼歯部にガーゼのバイトブロックを咬ませる。

胃管の挿入

  胃内容物の逆流防止のために、セイラムサンプチューブを鼻腔より挿入し胃内容物を吸引する。解放にして留置。

アイパッチ貼付

 手術中の角膜乾燥防止と血液などによる汚染防止のために、眼軟膏を眼瞼結膜に塗布し、アイパッチを貼付する。その上よりガーゼで覆う。

直腸体温計の留置

  体温計のプローベを肛門より約10cm挿入し固定する。

導尿

点滴確保

中心静脈

動脈ライン

血液希釈法の採血

ガーゼパック

  咽頭部をガーゼで封鎖する。(血液の流れ込み防止、麻酔ガスのリーク防止、チューブの固定)紐付きガーゼは通常大学ガーゼ3枚。乳児12枚、口蓋裂12枚。

手術台の移動

 100%酸素で換気。心電図モニター、ウォーマー、点滴台を移動させる。パルスオキシメーターを外す(手術台を回転させたときに絡まるため)。麻酔回路を口元より外し、手術台を回転させる。

術野の消毒

  麻酔回路と気管内チューブをゴムで固定。麻酔回路、各種モニターをチェックして、異常がなければ術野の消毒をしてもらう。

病棟では・・・

当日 酸素 30%4L 〇〇時間
    心拍監視(ECG含む)
    観血的動脈圧測定
    SpO2 モニター
    中心静脈圧測定
    血液ガス測定 

 歯科麻酔学 の便利帳 

ファイバー挿管
準備

FiberscopeOLYMPUS LF1 or LF2、または携帯用のFiberscopeSCC(レラキシン10ccのシリンジに20mgml緊急用)
・鎮静薬(ドルミカム、ディプリバン、フェンタネスト等)
4Xylocaine spray
4Xylocaine(トピカル用)(5ccのシリンジに2cc 23G 針又は、20ccのシリンジに2cc
10Xylocaine spray
Xylocaine viscous2%)
・綿棒(白十字 2号)もしくは鼻用巻綿糸34本(鼻粘膜表面麻酔用)
・薬杯(テンシックス)、錦棒2本を入れておく
・ブジー用チューブ(経鼻挿管の場合)(4585mm
・ブジー用ラバーボール
・サクションカテーテル(Argyle 14Fr
・ガーゼ
・気管内チューブ(スパイラルチューブ)

Fiber scope は屈曲に弱いので注意すること90°以上曲げてはいけない

手技
1.  オペ室廊下にてキシロカインビスカスを約7cc口腔内に注入する。その際、なるべく飲まないで口腔内に含んでいるよう指示する。
2.  入室後、ドルミカムやディプリバンなどで鎮静を行う。
3.  経鼻挿管の場合、4%キシロカインスプレーにて鼻腔粘膜の表面麻酔を行った後、4%キシロカインまたは、10%キシロカインを含ませた綿棒2本以上にて、鼻粘膜の表面麻酔をおこなう。綿棒は約3分間留置する。その際、気管内チューブの挿入し易いほうを選択する。4.  テンシックスをふくませた線棒にて、鼻粘膜を、消毒する。
5.  経鼻挿管の場合、ブジーを行う。挿管するチューブより原則的に1.0mm太いチューブまで挿入し、鼻腔を拡大する。
6a. 23G 針を輪状甲状軟骨に刺入し、針をしっかりと保持する。シリンジでエアーを吸引し、注射針先端が気管内にあることを確認する。2cc のキシロカインを注入し、素早く引き抜く。この際、咳嗽反射がでるので口腔内サクションカテーテルを用意しておく。
6b. または、ファイバーを経鼻的(ブジーチューブまたは気管内挿管チューブ内)に声門直上に挿入しファイバースコープ側口より20ccシリンジに入れた4%キシロカインを2cc注入する。注入後十分にシリンジよりエアーを送り、ファイバー内の局麻剤を排出する。
7. 
スパイラルチューブにキシロカインゼリーを塗布し、鼻腔へ挿入する。(この際スパイラルチューブを鼻孔より1012cmまで挿入する。但し、口腔再建術を施してある患者などではさらに23cm程(鼻孔より1215cm程度)進めた方が良い場合が多い)
8.  気管内吸引カテーテル(通常は14Fr)で、口腔咽頭部やチューブ内の分泌物、血液、余剰の局麻剤を取り除く。
9.  キシロカインスプレーを潤滑剤として塗布しておいたファイバースコープを挿入する。
10. 気管内チューブの先端までファイバースコープを進め、咽頭腔が見えるようになっていること確認する。

(この際、ファイバースコープ視野に喉頭蓋はとりあえず見えなくてよい。たとえば、ファイバースコープ先端が粘膜に当たっていると、ハレーションをおこしているのでただ真っ赤に見えているだけである)
11. 咽頭腔がみえるように調節できたら、落ち着いて喉頭蓋、声門を探す。(この際、患者をsniffing position にするとよい。又ファイバースコープは視野が狭いので目標物は遠くから狙うようにする)

(分泌物や血液で視野がとれないときは、一度ファイバーを抜いて、気管内吸引カテーテルで吸引除去する この際ファイバースコープの先端をきれいなガーゼで拭く)
12. 喉頭蓋、声門が確認できたら速やかにファイバーを気管内に進める。挿管できたファイバーをガイドにして素早く気管内チューブを挿管する。
13. 蛇管に接続し、026l/min流し、カプノメーターでETCO240mmHgあることを2回確認する。また呼吸運動に応じたバックの動きにも注意する。
14. 静脈麻酔薬にて導入をおこなう。チアミラールナトリウム100150mgまたは、ディプリバン2.02.5mg/kg就眠するまでボーラス投与する。
15. ファイバースコープが気管内に挿入されたが気管内チューブが挿管出来ない場合は、イソゾール(25mg/kg)あるいはディプリバン(12.5mg/kg)及びSCC11.5mg/kg)を静注し、気管内挿管する。
16. ファイバースコープでチューブ先端の位置を確認する。気管分岐部までファイバーを挿入し、ファイバーを指でつまみ、チューブ先端まで引き抜き距離を測る。45cmの位置でチューブの固定を行う。
17. 気管内吸引を行い、挿管作業中に流れ込んだ血液や、分泌物を取り除く。

ファイバースコープの消毒

  良く水洗いしてから、ヒビテンガーゼなどでファイバースコープを良く拭く。決してアルコールは使用しないこと。その後、通常の消毒を施せば良い(約1時間かかる)。

症状用語集
Dyspnoea 呼吸困難
Striodor ぜいめい
Hoarseness 嗄れ声
Sorethroat 咽頭痛
Arrhythmia 不整脈
Cyanosis チアノーゼ
Flid Intake 摂水
Nausea 吐き気
Vomiting 嘔吐
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