TRIP



11月24日 木曜日 はれ   (その4)

日も暮れてきて、外は暗くなってきた。
座席でゆっくりくつろいでいると、
いつの間にかよだれを垂らしながら
眠っていた。
1,2時間は眠っていたのかもしれない。
目が覚めて航空マップを見てみると
飛行機はバルト海、スカンジナビア半島の
上空辺りを飛んでいた。
ミラノまであと2時間というところで
再び機内食が出た。










うまそうでしょ〜
機内食 その2












ハム3枚、肉ロール2個、サニーレタス、
キューリ2本、にんじん3本、
ぱん、ケーキ、飲み物は
オレンジ・ジュースとコーヒー。
ハムにレタスとキューリ、
にんじんを丸めて食べる。
アフリカの衛生状態のことを考えると、
しばらく生野菜は食べられないかも
しれないので貴重だ。
今回は“ハロー・トニー”という
チーズが付いていて、
このチーズもクリーミーで美味しかった。
やっぱりイタリアは
チーズが美味しいんだな〜!










食べ終わってゆっくりしていると
機内アナウンスが入った。
「当機はあと50分で
ミラノ・マルペンサ空港に到着する予定です。
現地の気温はマイナス1℃という
報告が入っています。」
マ、マイナス1℃???
ミラノは緯度が高いので、
広島よりかなり寒いようだ。
日本時間の2:00を回った頃から
飛行機は高度を下げ始めた。
遠目に窓の外を見ると、
街灯に照らされたミラノの街が見える。










約10年前に、やはり一人旅で
イタリアを訪れたことがある。
あの時は、何もかもに疲れていて
生きる気力を無くしていた。
もう死んでもいいや、って思ったとき、
そのまえにどうしても
ルネッサンス時代の偉大な芸術家
“ミケランジェロ”の作品を見てみたいと思い、
ローマ、フィレンツェ、ベネチア、
そして眼下に見えているミラノの街を
ただ一人さまよい歩いた。
今は結婚し、いつもそばに千秋がいてくれるが、
あの頃は本当に寂しかった。
あの当時のことを思い出すと、
今でもしんみりとした気持ちになる。
しかし、そんな時期が無ければ、
こうして一人旅をしていろんなことに
感動することも無かったのかもしれない。
そう思えば、つらい日々を送ることも
人生には大切なことなのかもしれない。










感慨にふけっているうちに、
飛行機はどんどん高度を下げていき、
日本時間の11月25日2:30、
イタリア時間の24日18:30、
無事ミラノ、マルペンサ空港に着陸した。
日本とイタリアは−8時間の時差がある。









イタリアの18:30は、真っ暗だ。
「グラーツィエ(ありがとう)」
そう言って飛行機を降りると、
当たり前なのだが周りの景色は
一変していた。
なんともいえない外国の匂いがする。
“USCITA(ウシィータ 出口)”
の表示が懐かしいが、USCITAではなく、
“TRANSIT(トランジット 通過)”
の方に進まなくてはならない。
他の乗客はみんなイタリア旅行なのかと
思っていたら、俺と同じように
トランジットの人も結構いる。
団体旅行客も添乗員に連れられて、
トランジットの列に並んでいるのは
意外だった。
俺の斜め前の席に座って
あなご飯を食べていた日本人は
イギリスのロンドンに行くみたいだ。










次の飛行機に乗るために
ここで手荷物検査を受ける。
やっと俺の番だ。
別に怪しいものを
持っているわけではないのだが、
なんとなく緊張してしまう。
金属探知機のゲートをくぐる。
ホッ!大丈夫だ!
しかし、X線でカバンの中を
見ている係員が険しい表情をしている。
「カバンの中を見せてください。」
「もちろん!」
内心ハラハラしながらも、
別に変なものは持ってないので、
にこやかに対応。
「これは何ですか?」
「鍵です。」
旅行中にホテルで
カバンを盗まれないよう、
重たい家具や机等に縛り付けて
鍵を掛けれるように、
ワイヤー式の鍵を持ってきていたのだが、
どうやらそれが引っかかったみたいだ。
「そうですか。では、行ってもいいです。」
もー、あんまり脅かさんといて〜な!









無事に検査も終わり
エスカレーターで上がっていくと、
たくさんのお店が並んでいる。
フェラーリ(イタリアの自動車メーカー)
のグッズを売っているお店があるぞ〜!
イタリアだな〜・・・
アッ、あんなところにカフェがある!
イタリアを旅行したときに
毎日のようにエスプレッソ・コーヒーを
飲んでいたのだが、
やはり本場のエスプレッソは
とても美味しかった。
う〜ん、飲みたい!
しかし、イタリアの通貨を
持っていないので買うことができない。
ちくしょ〜、残念だ!!!
うまそうにエスプレッソを
飲んでいる美人のイタリア〜ナを横目に、
次の出発ゲート“B−26”に向かった。
途中の通路で、先ほどの日本人団体旅行者が
添乗員を囲んでいた。
添乗員が
「皆さん、長時間の飛行機の旅、
お疲れ様でした!これから次の・・・」
と大きな声で注意事項を促しているのが
なんともかっこ悪かった。
イタリアだな〜・・・
フェラーリ・ショップの前で
















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