TRIP



怖いな〜・・・
ゲートB−26 の風景





















11月24日 木曜日 はれ   (その5)

ゲートB−26を目指すとエスカレーターで
1階に下りるようになっている。
どうやら、バスか歩いて移動して
飛行機に乗り込むようだ。
だんだん下っていくと、
待合室の様子が見える。
薄暗い蛍光灯の下に、
真っ黒い肌の黒人や、
民族衣装を着た女性の姿が見える。
白人も数人いるが、
先ほどまであれほどいた日本人は
ひとりも見当たらない。
また心臓がドキドキしてきた。
物怖じしてしまい
隅っこにあるイスに腰掛けると、
周りの黒人がいっせいにこちらを見る。
こわ〜ぃ・・・
俺、本当にアフリカに行くんだな〜・・・
ドキドキもするが、ワクワクもしていた。










しばらく日記を書いていると
空港係員が近づいてきた。
「このバッグはどうしますか?」
「機内に持ち込みたいのですが・・・」
「重さを調べさせてもらいます。」
そう言って、俺のリュックを持ち上げた。
「この重さなら問題ありません。」
「ミラノからダカールまでは、
何時間くらい掛かりますか?」
「約4時間です。」
ここまでくると、
もう日本語は全く聞かれない。
今はなんとか英語が通じるけど、
この英語もまもなく使えなくなる、
そう思うとまた緊張が増してきた。
西アフリカ諸国の公用語はフランス語だ。










19:40(イタリア時間)に、
ようやく搭乗が始まった。
飛行機まではバスで移動するらしく、
マイナス1℃の外に出るとかなり寒かった。
バスの中は黒人と白人が
たくさん乗っているけど、
東洋人は俺一人だけだ。
なんだか心細いな〜・・・
いいや、ここでなめられちゃあかん!!!
少し気を張ってバスに乗り込んだ。










いよいよアフリカへ・・・
搭乗口







バスは電機で動くのか、とても静かだった。
マルペンサ空港はとにかくでかい!
でかい飛行機がえっとおるし
(“えっとおるし”は広島弁で
“たくさんいるし”の意味)
その間をパトカーやら、
バスが縦横無尽に走っとる。
よ〜ぶつからんことよ!
バスは飛行機を縫うように走り、
先ほどよりも少し小さい飛行機の前で止まると
黒人がドッと降り、
どんどん飛行機に乗り込んでいく。
気遅れするのが嫌で、
その中に紛れ込んで飛行機に乗った。
22Aが俺の席だ。
機内は満員にはならず、
俺の横には民族衣装の男性が座った。










飛行機は定刻を5分過ぎた
20:20に動き出した。
ミラノ、ダカール間は4,222Km、
約4時間のフライトだ。
ダカールはセネガル共和国の首都で、
西アフリカを旅する人にとっては
玄関口となる街だ。
聞きなじみの無い街だと思う人も
いるかもしれないが、
車のレースで有名な
“パリ・ダカール・ラリー”の
ダカール側といえば
解る人もいるかもしれない。
そう言う俺も、この旅を計画するまで
ダカールという街がどこにあるのか
正確には知らなかった。










再び轟音とともに一気に離陸!
今度は窓際なので
街の様子がよく見える。
オレンジ色の街灯に照らされたミラノの街は
冬のヨーロッパを漂わせ、
静かで落ち着いた雰囲気に見えた。
しかし、しばらく飛ぶと灯りも
ポツリ、ポツリとしか見えなくなり、
やがて真っ暗になってしまった。




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