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11月26日 土曜日 はれ   (その4)

どうにかこうにかシャワーを終えて外に出ると、
それでもスッキリした。
ふと空を見上げるとすっかり暗くなった夜空に
信じられないくらいの星が輝いている。
うわ〜〜〜〜〜〜〜ぁ・・・
こんな満天の星空を今まで見たことがなかった。
どうやら、今日は新月のようで、
星が一段と輝いて見える。
手に取るような星空とは
こういうことを言うのかもしれない。















しばらくすると
お兄さんが食事を持ってきてくれた。
今夜のメニューは“チョールディー”
という料理で、
日本の焼き飯みたいな感じのものが、
ボールに入れられいる。
横に置いてある洗面器に入った水で手を洗い、
箸もフォークももちろん無いので右手で食べる。
いつもは家族そろって屋上で食べるのだそうだが、
今日は客人(俺のこと)がいるので
家の主人(お兄さん)とソーリー、
俺の三人での食事だ。
なんだか申し訳ないな〜。















チョールディーの味はというと、
ご飯に魚の身、オリーブの身などが混ざっていて
ピリッとした辛さが食欲をそそる。
こりゃおいしい!
今までアフリカで食べたものの中で
一番おいしいぞ〜!
魚の骨が少し口の中に残るけど、
日本人の味覚にとても合っていると思う。
「たくさん食べてください。」
お兄さんとソーリーは
俺にたくさん食べさせようとしてか、
少ししか食べなかった。
もともと、ボールに3分の2くらいしか
入ってなかったから、
大人の男が三人で食べるには
少ないんじゃないかと思う。
ここの家も
そんなに裕福ではないのかもしれない。















シャワーもご飯も済ませると
少し元気が出てきた!
「トム、散歩に行くか?!」
「いいね〜!」
時間はまだ8時過ぎだが
電気が無いせいで家を出ると真っ暗だ。
こんなに暗いのに子供たちはまだ遊んでいるし、
道端で寝ている人も大勢いる。
川を渡り新市街に来ると、
こちら側は電気が通っているらしく
街灯が点いているところもあるようだ。















先ほど着いたバス停の辺りを歩いていると、
近くのガソリン・スタンドから
声が掛かった。
「ソーリー!」
「オォ、◎□☆☆♀♂?・・・」
「トム、紹介するよ、俺の兄弟だ!
 ガソリン・スタンドで働いてるんだよ。」
「初めまして!」
「ようこそ、モプティはどうだい?」
「興味深い街ですね! 気に入ってます。」
「そうかそうか、
 ソーリーはとてもいいガイドだから、
 しっかり案内してもらえよ!」
そういうと、兄弟さんは仕事に戻っていった。















なんとなく恐ろしい・・・
夜のモプティ


















そこから狭い路地に入っていくと
辺りは閑散としていてちょっと怖かったけど、
ソーリーがいれば安心だった。
そこを抜けるとバニ川に出た。
大きな川だ。
「明日の朝、川を遊覧しよう。
 朝は気持ちいいぞ〜!」
「ほんと?楽しみだな!」
川沿いでは卓上サッカーゲームで
夢中になっている人たち、
屋台をベッド代わりにして
眠っている人たちがたくさんいる。
まあ、考えてみれば暗くなると家に帰り、
家の中で寝るという日本人的発想よりも、
暑いなら別に外に寝ても屋上に寝ても
涼しく眠れるのなら
それでいいんじゃないかな〜。















その辺りを一周して再び我が家に戻った。
屋上に上がるとお兄さんとソーリーが
寝床の準備をしてくれた。
今日は屋上に寝るのだそうだ。
なんだかすごい展開になってきたぞ〜!
マットを敷き、その両サイドに
机とイスを逆さまにして足で柱を作り
その柱に蚊帳を取り付けてくれる。
「なんだか、大統領扱いだね!」
「トムは日本の大統領だからな!」
そう言って三人で笑った。















大統領とは俺のことよ、ハハハ・・・
大統領の寝床













荷物の整理をして、
蚊帳に入りロウソクの灯りの下で日記を書く。
アフリカじゃの〜ここは・・・
モスクからはまだお経のようなコーランが聞こえ、
外からは人々の話し声が聞こえる。
たくさんのアフリカ人の中に混じって
俺も眠るというのは、
なんともうれしい気分だった。
今日はリラックスしているので
ゆっくり眠れそうだ。
明日は川の遊覧に7:00出発だ!
早く寝よっと!
おやすみなさ〜い・・・


                    21:15













その日の日記の落書きより

あ〜、はるばるマリだぜ 
あしたからどうなるんだろ 
ちょっとずつでも慣れて 
快適なたびになるといいな〜
ゆっくり眠れたら気分も晴れるかな!! 
おやすみ〜




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