TRIP



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この船で渡るんだ!
ニジェールのカーフェリー








11月27日 日曜日 はれ       (その4)

この川はニジェール川の上流になり、
幅が150mくらいの川岸にカーフェリーが停まっていて
これで川を渡るようだ。
フェリーにはすでに乗用車とマイクロバスが
一台ずつ乗っていて、
俺たちのタクシー・ブルースが乗るといっぱいになる。
マイクロバスには天井には、
ものすごくたくさんの荷物が積まれており、
自転車まで積んである。
これらは明日のジェンネの月曜市で
売られるものなのだそうだ。










本やインターネットで調べたところによると、
「古くからサハラの貿易都市として栄えたジェンネは、
 普段は静かな田舎町なのだが、
 毎週月曜日になると巨大な泥のモスクの前で市場が開かれる。
 周辺の村からたくさんの人が集まり、
 この市に来るために着飾った女性の装いも見事だ。」
と書いてあり、うまく曜日を合わせて
ジェンネを訪ねたいと思っていた。
明日がその月曜日にあたる。 楽しみだ!!!
ちなみに巨大な泥のモスクとその周辺の民家は、
今では世界遺産に登録されている。











バスの積荷








車を降り、船に乗る。
船の中では飲み物を売っていたので、
コーラをもらって(500CFA 約100円)飲むと、
とてもよく冷えていてすごくおいしかった。
乗っている時間はそんなに長くはなく、
コーラを飲み終わる頃には対岸に着いたのだが、
船から降りるのも大変だ。
日本のように桟橋なんて無いから、
船底が川底に付かない程度のところまで川岸に近づくと、
そこから数メートルは川の中を歩いて渡らなくてはならない。
靴を脱いで裸足になり、ズボンを捲り上げた。
I’m in AFRICA!
船は鉄板で出来ているらしく、
裸足の足にはかなり熱い。
飛び跳ねるようにして急いで川の中に入った。
ニジェール川に浸かるのは
肉体的にも精神的にも気持ち良かった!
川の中を渡るのは人間だけではなく、
車も水しぶきを上げながら水の中を走っていく。
お〜ぉ、ストロング!










スッゲー景色!!!
ジェンネの街並み













対岸に着くと、靴を履いている間もなく再び車に乗り込み、
そこから数分も走るとジェンネの町の入り口に着いた。
まだ濡れている裸足のままの足に土が付いていたけど、
構わず靴を履き直しソーリーについて歩く。
ここの町の風景もすごかった。
舗装もされていない土の道の両サイドには、
泥で出来た家々が建ち並び、
その間を縫うように歩いていく。
「この町は、マリで一番古い町で、
 紀元前250年からあるんだよ。」
「へぇ〜、そんなに古いの?!
 泥の家は、雨に降られて壊れたりすることは無いの?」
「いやいや、そんなことは決して無いよ!」
ソーリーは笑いながら答えてくれたが、
実際には崩れてしまった家の跡も見られる。
後日調べたところによると、
泥のモスクやこのあたりの家々は毎年雨季に備えて
表面に泥が塗り直されるのだそうだ。









3分くらい歩くと、あるひとつの泥の家の中に入っていく。
「今日はここに泊まるんだ!」
「えぇ、ここに泊まるってことは、ここはソーリーの家?」
「あぁ、そうだよ。
 モプティの家は小さい家族の家で、
 ここは大きい家族の方の家なんだ。」
いったいアフリカの家族事情はどうなっているのだろう。
今でも一夫多妻制のところがあるというから、
ひょっとして昨日の家は一番目のお母さんの家で、
ここは2番目のお母さんの家とか、
そういうことなのだろうか?
なんとも不思議だし、それよりも何よりも、
この泥の家に泊まるということは
世界遺産に泊まるということなんじゃないだろうか?!
それって、すごくない?











宿泊することになった家





ここで寝るの?
宿泊先の部屋









泥の玄関をくぐると中庭を囲むように部屋があり、
突き当りの部屋から出迎えてくれた
ソーリーのお姉さんに挨拶をして二階に向かう。
二階や屋上に上がるには
やはり泥で作られた階段があり、そこを上がる。
「トムの部屋はここだ。」
 こっ、これは・・・
部屋の中を覗くと砂埃の土間に
大きなベッドが置いてあるだけの部屋で、
周りは土壁に覆われ、
もちろん電気など無さそうだ。
こりゃ、すごいや!!!










ソーリーが何か叫ぶと、
妹さんが下からバケツと小さなほうきを持ってきて、
掃除をしてくれる。
砂埃が舞うといけないので、
日本と同じように最初に水を撒いてから
掃き始めるのが面白い。
「メルシー(ありがとう)」
妹さんに声を掛けてみたけど、妹さんはムッとしていた。
仕事を増やしてしまって申し訳ない。
部屋に入りしばらくくつろいでいると、
ソーリーがやってきた。
「シャワーはどう?」
「そうだなー、浴びさせてもらうかな!
 洗濯もしたいんだけど、少し水をもらえないかな〜?」
「洗濯なら妹にさせるから、出しといて。」
「いや、それくらい自分でするよ。」
「いいからいいから!」
なんだか申し訳ないな〜・・・











部屋の中からの景色














うまく入れるかな〜?
シャワー室










シャワーの準備をしてシャワー室に行くと、
当然のことながらシャワー室も泥で出来ている。
大きなバケツに水が汲んで置いてある。
昨日のような失敗をしないように、
綿密に計画を立ててから浴び始める。
まずは身体を少し濡らし、
ボディー・シャンプーはタオルには付けず
身体に直接擦り込む。
そしてそのまま身体を洗い流さず
泡の着いたままでシャンプーをし、
またまたシャンプーも洗い流さないままで
顔にも洗顔石鹸を塗り、
全身が泡だらけになった状態で、
一気に頭から水をかぶって洗い流す。
これなら少しの水で大丈夫!
最後にリンスをして、少し残しておいた水で流せば
パーフェクトだ!!!
よ〜し、これでいいぞ〜!
履いていたジーンズと下着も洗濯したかったので、
再び水を少しもらって洗わせてもらった。
バッチリじゃ!










先ほど妹さんが洗ってくれた洗濯物が
干してあるところに干させてもらおう。
おやっ?
すでに干してある洗濯物を見ると、
全部裏返しにして干してある。
なんでなんじゃろ?
しばらく考えた。
先ほど、ソーリーと話をしているとき、
マリにはサソリが出ることもあるので、
気をつけるように言われたのだが、
干してある洗濯物にサソリが紛れ込むことだって
あるかもしれない。
だから、最初から裏返しにしておけば、
着る時に自分でひっくり返さないといけないので、
そのときにサソリがいれば
解るからじゃないだろうか!
なるほどね〜!
よし、俺も裏返しで干そっと!

裏返された洗濯物








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