TRIP



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11月28日 月曜日 はれ       (その1)

お〜、もうこんな時間じゃ!
時計を見るとすでに6時を20分ほど回っていた。
今朝は6:00に起きることにしていたのだが、
どうせ早く目が覚めるだろうと思って
目覚ましはかけなかった。
案の定、夜中に2回トイレに
行きたくなって目が覚めた。
ジェンネの夜はニワトリの鳴き声は聞こえてくるが、
モプティのようにうるさくはない。
そして、空にはモプティで見たよりも
たくさんの星が出ている。
こんなにきれいな星を眺められるのなら、
夜に起きるのも案外悪くない。
それに考えてみたいことはたくさんあったので、
少々眠れなくても苦にはならなかった。













マリに着いてから今までの出来事が、
頭の中でぐるぐる回る。
マリに到着した当初は、
あまりのカルチャー・ショックに、
ちょっと外出するのも恐ろしかったが、
今なら夜でも一人で外を歩けると思う。
マリの様子に慣れてしまえば人々はみんな親切だし、
異国人である僕に対しても
何の遠慮も無く接してくれる。
変に気を使ってもらうよりは
そのほうが楽に旅ができる。
それに夕べはアフリカ人と路上でセッション。
日本を出発する前に、確かに
『アフリカでは今でも路上で太鼓を打ち鳴らして
 踊っているのではないだろうか・・・』と、
なんとなくは思っていたけど、
本当に目の前でそれを見ることができ、
しかも一緒に演奏することができるなんて、
なんて俺はラッキーなんだろう。
寝袋に包まりそんなことを考えていたのだが、
少し考え疲れたので
暇つぶしにちょっくら寝るか〜、
なんて思っていたらいつの間にか
グッスリ眠ってしまい、
アッという間に朝が来ていて
ビックリするように飛び起きた。















慣れるまではなかなか難しい・・・
男女兼用アフリカのトイレ























「グッドモーニング!!!」
ソーリーもすでに起きていた。
「よく眠れたか?」
「う〜ん、まぁまぁだね!ソーリーは?」
「俺はグッスリだよ!
 目覚めにシャワー浴びるか?」
「いや、トイレに行きたい(大)から、
 水を少しもらえる?」
アフリカで“大”をするときは
ティッシュは使わない。
あらかじめ計量カップを少し大きくしたような
プラスチック製の容器に水を汲んで、
トイレに持って入る。
アフリカでは未だ水道がちゃんと整備されていないので、
外から汲んで持って入らなくてはならないのだ。
そして用を済ませると、
この水の入った容器を右手に持ち、
容器半分の水を後ろからかけながら
左手で洗い流す。
そして残しておいた水で手を洗って終了。
インドを旅行したときも同じようにしたのだが、
インドの場合は水道が整備されているので、
水を汲んで入らなくてもいいところが
アフリカとの違いだ。
そして、ここ、マリでもインド同様、
食事をしたり、人と握手をするときには必ず右手を使う。














懐中電灯を持って(朝でもトイレは真っ暗)
トイレまで行くと、大きなバケツに水を
いっぱいに汲んで置いてあったので、
“大”を済ませた後シャワーも
浴びさせてもらうことにした。
まだ涼しい朝に水を浴びるのは少し寒いけど、
一度身体にかけてしまえばあとは快適だ。
ふ〜、グッド・モーニング!
直訳すれば“良い朝”と言う意味になるが、
その言葉がピッタリな気分だった。
朝ごはんの前に屋上に上がってみると、
太陽はすでに昇っていた。
今日も暑くなりそうだ!















グッド・モーニング!!!
朝の屋上















結構おいしいよ!
“オーレンマル(中)”と“ンゴミ(左)”






































しばらくすると、ソーリーとオスマン君と、
もう一人男の子の3人がご飯を持ってきてくれた。
朝ごはんのメニューはジェンネの伝統料理、
“オーレンマル”と“ンゴミ”だ。
オーレンマルは“羊の頭”という意味で、
その名の通り羊の頭が入った煮込みスープだ。
バマコのマーケットで売っていた羊の頭は
このオーレンマルに使われるようだ。
“ンゴミ”というお米でできたパンを
この煮込みスープに浸して食べる。
「トム、この水で手を洗って。」
「オスマン君、お先にどうぞ〜!」
そう言って、手洗い用の小さな器に入った水を
オスマン君に差し出した。
「いや、トムが先に洗うんだ。
 マリでは、お客さんや目上の人から
 先に洗うのがしきたりなんだ。」
「なるほど。」
先に手を洗わせてもらい、早速食べてみる。
右手だけで食べるのだが、
これがなかなか難しい。
それに、煮込みスープはかなり熱く、
なかなか手がつけられないでいると、
ソーリーが右手だけで上手に
羊の肉を引き剥がしてくれる。
「ソーリー、熱くないの?」
「ハハハ・・・熱くなんてないさ。
 これ食べてみろよ!」
ソーリーが手渡してくれたものを口に入れてみると、
レバーのような、なんとも不思議な味がする。
「どうだ、うまいだろ?」
「なんとも不思議な味だな〜・・・」
「それ、羊の脳みそだよ。」
「・・・」
子供たちは朝からすごい食欲で、
オスマン君は羊の頭蓋骨を
わしづかみにして食べている。
お〜こわい!















食事が終わると、
ソーリーはコーヒーの用意をしてくれ、
子供たちは後片付けだ。
皿を下げ、小さなほうきできれいに掃く。
全てのことに関してそうなのだが、
家族の中でおじいちゃん、おばあちゃんが一番偉くて、
みんなから尊敬されている。
歳の小さいものは大きいものを敬(うやま)い、
決して逆らうことはない。
素晴らしい生活だと思う。
入れてもらったコーヒーを飲みながら
くつろいでいると、
急にお腹の調子がおかしくなってきた。
そろそろ下痢の洗礼が来るのかもしれない。
トイレに行ってみると、やはり下痢気味だった。
部屋に戻って日本から持ってきておいた
正露丸や胃腸薬を飲む。
うまく効いてくれればいいのだが・・・
目がとてもきれいでしょ!
食欲満点の子供たち







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