TRIP



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11月29日 火曜日 はれ       (その1)

ひゃ〜、今日もよく寝たぜ〜!
今までの不眠症はなんだったんだろう?
夕べ日記を書いたあともすぐに眠っていたのだが、
4:30頃に一度トイレに行きたくなって目が覚めた。
懐中電灯を持ってトイレに行く。
夜空は相変わらず素晴らしい眺めだ!
気分良くトイレに入ったのだが、
中に入って驚いた。
というのも、正面の壁にでっかいイグアナが
身動きひとつせずへばりついているではないか!
う〜〜〜わ〜〜〜、気色わり〜い!!!
昼間にあちらこちらの家の壁等を這い回っているイグアナは
あまり気にならなくなってきていた。
そして夜になると、昼間見かけるあれだけの数のイグアナは
いったいどこに消えるのだろう、
と思うくらい見かけなくなるが、
まさかトイレの壁にいるとは・・・
最中にこちらに跳びついてきたらどうしようかと
ハラハラしながら、なんとか無事に用を足した。












シェラフに戻り、少し眠って今度は6時前に目が覚めた。
今日はドゴンの村まで移動するので、
早めに起きて荷造りをしよう!
ドゴン族の村・・・
ここは、今回の旅の中で最も訪ねてみたい場所のひとつだ。
「マリ中央部、バンディアガラ山地に住む農耕民族で、
 次第にイスラム化されていくのを避け、
 彼ら独自の伝統文化を守りながら、
 人里離れた絶壁に暮らしており、その景観は独特。
 毎年乾季の終わりの4〜6月上旬頃、
 仮面の儀礼が行われ、
 様々な動物や鳥、人などを象徴した仮面をつけた人々が
 村にあふれ出し、彼らの神話が象徴的に演じられる。」
 (『アフリカを知る辞典』平凡社)
「西アフリカで最も古い伝統宗教が
 現存しているといわれるドゴン族は、
 独特の宇宙神話を持っており、
 自分たちの先祖は恒星シリウスから来たという
 ユニークなものだが、西洋社会が発見する前に、
 ドゴン族は、肉眼では見ることのできない
 恒星シリウスBの存在を知っていたという。」
 (『タムタムアフリカ』山と渓谷社)
今日の日本社会は情報社会だといわれるほど、
様々な情報が飛び交い、人々はその情報に翻弄されている。
しかし、流入してくる情報や文化をかたくなに拒み、
自分たちの伝統を重んじながら生きている、
そういった人々が今でも実在していて、
その人達の生活を垣間見ることができるのなら、
是非訪ねてみたい。
今は11月だから、
仮面のダンスを見ることはできないかもしれないが、
ドゴン族の伝統文化を少しでもいいから見てみたい、
そう思っていた。













いつもは静かな田舎町なんだよ
平日のモスク












荷造りは昨日市場で買った泥染めがあるので少々かさ張るが、
なんとか入りそうだ。
朝ごはんの前にもう一度トイレに行く。
昨日くらいからお腹がグルグルいってて
少し下痢気味だが、痛いという感じは無い。
トイレには相変わらずイグアナがいる。
も〜、いやだな〜・・・
荷造りもひと段落して、朝ご飯だ。
メニューは昨日と同じで、オーレンマルとンゴミだ。
ソーリーとオスマン、もうひとり男の子の四人で
羊の頭にむしゃぶりつく。
小さい子は本当によく働くし、よく食べる。
感心するね!!!













食事も終わり、いよいよ出発なのだが、
相変わらずお腹の調子がよくなくて、
イグアナの待つトイレに何度も行きたくなってしまい、
下痢止めを飲んで予定より15分遅れて出発となった。
バス停までオスマンと男の子が見送りに来てくれ、
荷物を持ってくれた。
土の町を歩く・・・
ここも歩き納めだ。
大モスクの前の広場の一角に、
ワラでできているバスの待合室があり、
出発までの間荷物を持ってくれた男の子に
折鶴を作ってあげることにした。
その子は、俺の手元を興味深そうに見ている。
ようやく出来上がり、男の子の手のひらに
「ハイ!」って手渡すと、
とてもうれしそうに「メルシー(ありがとう)」
と言ってくれた。
それを横で見ていた、
かわいらしい足の不自由な女の子が、
身振りで「私にも作って〜」というので、
作ってあげると、女の子はメルシーを連発して
握手してくれた。
さては俺に惚れたな〜!!!













朝は気持ちがいい!
朝のモスク























すごい造りでしょ
バスの待合室






今日もタクシーブルースで移動するらしく、
今日は人が少なければいいな〜
なんて思っていたが、とんでもない。
8人乗りの車に全部で16人も乗るようだが、
なんとか乗ってみると子供が多いせいか、
想像していたよりは楽だった。
8時を少し過ぎて出発!
見送りに来てくれた男の子と握手をして別れた。
15分くらい走ると、この前のフェリー乗り場に着く。
また裸足にならなきゃいけない。
水の中を歩き船に乗ると、
まだ朝早いからか鉄板のデッキは熱くはなかった。
対岸で再び車に乗り込み再度出発!













この車に乗っているのは運転手、
助手席には男の子と女の子のふたりを連れたマダム、
二列目には俺、ソーリー、マダムふたりに
それぞれ一人ずつの子供、
後ろの列にはマダム3人に
それぞれ一人ずつの子供の計16人。
俺の隣に座っているマダムは、
まだ小さな子供を抱きかかえており、
その子はお腹が空くとマダムのおっぱいを、
まるで自分の道具のようにむんずと掴みだし、吸い始める。
マダムの民族服は子供のためかどうかは解らないが、
横が開いていて簡単におっぱいが出せるようだ。
そして、しばらくすると子供は安心したのか、
おっぱいをくわえたままで眠りにつく。
マダムもこのギュウギュウ詰めの車の中で眠り始める。
車内はかなり暑いのに、よくこんな状態で眠れるな〜、
なんて思っていたら、俺もいつの間にか眠っていた。













いろいろお世話になりました
子供たちと一緒に
















小さな村でトイレ休憩のため、車が止まった。
つかの間のひとときを過ごすと、
またギューギューの車に乗り込む。
ぐぁ〜くるしいよ〜・・・
さあ、出発と思いきや車のエンジンが掛からない。
だが、運転手はたいしてあわてることもなく車を降りると、
フロントのエンジンルームを開けて
セルモーターを手で回すと、
ブルーンとエンジンが掛かった。
やれやれ・・・













炎天下の中オンボロ車が走る。
暑い、とにかく暑い!
乗る前にミネラルウォーターを
出しておくのを忘れたので、
何も飲むことができない。
う〜ん、失敗じゃ〜!!!
これじゃ、脱水症状になりかねない
と思っていたら、隣のマダムが先ほどの休憩のときに買った
オレンジを一切れ分けてくれた。
なんだかとてもうれしかった。
喉が渇いていたせいもあって、すごくおいしく感じた。
ありがたくいただき、そのお礼に
マダムの娘さんに折鶴を作ってあげることにした。
揺れる車の中での折鶴は難しかったけど、
出来上がった鶴を手渡すと、
まだ赤ちゃん並みに小さい娘さんに
「ほ〜ら、もらったよ〜!」というように見せ、
大切に自分のカバンの中にしまった。
「大切にしまっておくからね、ありがとう!」
マダムの目がそう語っていた。




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