TRIP



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このホテルに帰ってきました。
ラフィアの中庭















12月3日 どようび  はれ時々くもり       (その1)

も〜、シッコばっかり行きたくなる。
何回行ったじゃろうか?
昨夜はさぞかしぐっすり眠れるだろうと思っていたけど、
結構バスで眠ったせいもあってあまり寝付かれず、
結局8:00には起き上がった。
部屋の中はとにかく暑いので外に出てみると、
入り口すぐの所にあるイスに
日本人らしき男性が座っている。
海外で日本人に会うと、
話し掛けようかどうしようか迷ってしまう。
というのも、旅慣れている人なら
日本人に話し掛けられることを
嫌がられるんじゃないかと思ってしまうからだ。
この人も髪が伸び放題のボサボサで、
風貌からして旅の達人に違いない。
しかし、このまま黙って『にらめっこ』してても
しょうがないので、
恐る恐る話し掛けてみた。














「日本の方ですよね?」
「えぇ、そうです。」
話によると、10日前くらいに
このホテルに来たと言ってらっしゃるので、
俺がツアーに出掛けたのと入れ違いに
ここにやって来たのだろう。
「ここに来る前はどちらから?」
「東アフリカから西アフリカのガーナに行って、
 その後ここに来ました。」
「ガーナですか・・・
 ガーナのチョコレートは美味しかったですか?」
“ガーナと言えばチョコレート”
こんな単純な発想しかできないのは少々恥ずかしいが、
実際のところすごく興味があった。
「いや、実はチョコレートは食べてないんですよ。」
「僕は食べましたよ!」
そこへもう一人、メガネを掛けた日本人が
話しに加わってきた。
「で、どうでした?」
ふたりの視線がその人に向けられる。
「う〜ん、まずくはないけど、
 特別美味しいものでもなかったな。」
ガーナは確かにカカオの輸出が多い国だけど、
現地のチョコはそんなに美味しいものでもないようだ。














「出掛けるまでまだ時間があるから、
 一緒に朝飯行きません?」
「是非連れて行ってください。」
三人で街を歩きながらお互い自己紹介をした。
ボサボサ頭の彼は平塚さん、
25歳くらいでドラムをやってるらしく、
ガーナでは“パンロゴ”という
聞いたことのない太鼓にハマって
現地の人にいろいろ教えてもらったのだそうだ。
旅をしている間もスティックをカバンの中に入れてあるので、
後ほどドラムを教えて欲しいとの要請あり。
まさか、はるばるアフリカまで来て
ドラムのレッスンをすることになるなんて思いもしなかった。
メガネの彼は三宅さん、31〜2歳くらいで、
南アフリカからず〜っとアフリカを周り、
アフリカ大陸を一周する予定なのだそうだ。
そして、今日9:00過ぎのバスで
ブルキナファソに向かうとのことだった。
「もう8:30になりますよ。
 あんまりゆっくりしてたらバスに乗り遅れませんか?」
「まぁ、アフリカン・タイムということで・・・ははは・・・」
う〜ん、たくましい!














これがパンロゴだ!
パンロゴ
(写真提供 平塚さん)













歩いて10分くらいの所に、小さなレストランがあった。
ちゃんとコンクリートの壁に囲まれており、
昨日までのカンプメントに比べれば、
やはりここは首都なんだな〜と実感させられる。
注文したものも目玉焼きにパン、そしてカフェオレだ。
食事をしながら旅の話を聞いた。
「アフリカをずっと回ってきて、
 危ない目には遭わなかったんですか?」
「う〜ん、細かいことはいろいろあったけど、
 大きなトラブルは今のところ無いな〜。」
「病気は?」
「マラリアには気を使ってますよ。」
ふたりとも口を揃えて答えてくれた。
三宅さんの話だと、マラリアの発症率は
日本人旅行者100人に対して
2.5人くらいの割合なのだそうだ。
アフリカ旅行をするときは
黄熱病の予防接種は義務付けられているが、
マラリアには種類がいくつかあるようで、
予防接種をしていても
違うタイプの菌を持った蚊に刺されると
効果がないことからか、
どうしても受けなくてはならない
予防接種にはなっていない。














「上野さんは、ドラムやってるんですよね。」
「ええ、まあ・・・」
「こちらで何か楽器を買わないんですか?」
「う〜ん、ジャンベを買おうかどうしようか
 迷ってるんですよ。」
ジャンベは日本で買うより、
こちらで買った方が安いんだろうけど、
日本で5〜10万円くらいするんだから、
いくらこっちで安いといっても
1万円は下らないだろうし、
見る目がない人はプレイヤー用ではなく、
おみやげ物用の粗雑な作りのものを
高い値で買わされることがよくあると聞いていた。
それにどうやって日本に持って帰ればいいのかにも
困らされることになりそうなので、
買うのはやめるつもりでいた。
「せっかくだから買って帰ったらどうです?
 こっちで買うとかなり安いらしいですよ。」
「そうは言っても1〜2万円はするんでしょ?」
「いやいや、僕の知り合いは
 30,000CFAくらいで買ったみたいですよ。」
「え〜と、30,000CFAってことは〜・・・」
「だいたい6,000円くらいってことかな。」
「ええ、そんなに安いんですか〜!!!」
ここまで安いとは・・・
こりゃ買って帰るのも悪くない。














久々に日本語で話しながら食事をするのはとても楽しかった。
こんなに長い間日本語を使わなかったのは初めてなので、
何の気兼ねもなく会話できることの
喜びというものを初めて感じた。
旅慣れている人は日本人に話し掛けられることを
嫌がるんじゃないかと思っていたけど、
三宅さんや平塚さんのように長旅をしている人は、
逆に日本人と話せるのがうれしい、
というのもよく解るような気がする。
食事を終えてホテルに戻ると
三宅さんは元気良く
ブルキナファソに向かって出発していった。
よいご旅行を〜!














レッスンの時間ですよ〜!
ラフィアの部屋














さ〜て、シャワーシャワー。
昨日は浴びることができなかったので2日ぶりだ。
ここのシャワーはマりの初日に入った時には驚いたが、
他の村のカンプメントやシャワーのことを思うと、
かなり整備されていると感じる。
ドゴンの村では洗濯もほとんどできなかったので、
ついでに洗濯も終わらせた。
ドミトリーに戻ると、平塚さんがスティックを出して
枕を叩いていた。
「上野さん、少し教えてもらってもいいですか?」
「ええ、いいですよ。」
そんなわけで、アフリカでのドラム教室が始まった。
平塚さんは、エイトビートや16ビート
(主にロックやポップスで使われるリズム)より、
基礎的なことが知りたいようで、
スティックの持ち方やストロークの仕方の説明をした。
「ダブルストロークってどうやるんです?」
ダブルストロークというのは、
通常スティックを右、左、右、左と交互に叩くところを、
右右、左左、右右、左左と2回ずつ叩き、
コツを掴めば、かなりの高速で
連打することが出来るようになる奏法のことだ。
「最初は跳ね返りを感じて・・・だんだん早くして・・・」
説明しながらソファーを叩いて実演すると、
平塚さんは目を丸くして驚いていた。
「すごいですね〜!」
「いや、平塚さんも練習すれば
 出来るようになりますよ!」
「そうですよね、頑張って練習してみます。」




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